2004年04月13日

中島美嘉さんのコンサート【2】

前回の続きです。

曲が終ってステージが暗くなるや、一礼してからスッと消えていく様が、とてもスマートで奇麗でした。

暗いステージの端、キーボードを弾いている人にスポットライトが当たっています。
薄い幕がしてあるので、ボヤーっとした感じでその姿が見えます。
ステージ中央の奥より、衣装替えした中島さんが登場。
ヒザより少し上ぐらいのスカートを着た衣装です。
モーニング娘。の衣装のように、キラキラ・ピカピカ・ペラペラな感じではありません。
何て云うんでしょう、麻の生地というか、レースのカーテンというのか、生地自体が複雑な織り込みをしていて、照明が当たって本人が動き出しますと、その微妙な陰影が美しくも儚い感じがします。
古い時代、絵画に描かれた高貴な血筋の令嬢みたいでした。
彼女の前に降りている薄い膜には、無数の星々が照明を使って表現されています。
歌っているとやがて、その星々達は、私達観客へ向かって流れていきます。
この曲に限らず、気になったのが、彼女を照らすスポットライト。
普通は上からピンポイントで照らすものなのでしょうが、彼女のステージの場合、真横からも照らします。
縦と横から直線状の白い光が伸びている様は、まるで十字架のような印象を受けます。
曲の雰囲気も合わさり、何となく宗教的な美しさを感じさせます。

曲が終わってMCとなりました。
「ありがとうございます」と云うと、多くの女性から歓声が。
いろんな場所に座るお客様が、彼女へ手を振ると、ちゃんと手を振って返してあげます。
「新曲聞いたよ〜」と云う声には、「ありがとう」と素直に笑顔を作って云いました。
お客様が何か云ったり質問すると、ちゃんと答えてあげる所に好感が持てました。
お客様の多くは、中島さんと殆ど同い年です。
同じ学校の友達が、芸能界で歌を歌っているという感じなのかなあ。
だから軽い感じ(憧れも過分に含む)で声をかけるし、中島さんも気さくに返事をするのかも。
中島さんは「今回のツアー、3分の2ぐらいまで行いました。色々と勉強になっています。今日も楽しい1日になりそうです。どうもありがとう」
そんな謙虚な姿勢の彼女に惜しみない拍手と歓声が巻き起こります。

ご本人と演奏者達は、前の方に設けられた椅子に座ります。
ここから2曲は、アコースティックバージョンで歌声を披露しました。

次は、彼女のデビュー作となるドラマ「傷だらけのラブソング」の主題歌「stars」を披露。
ステージ全体に、無数の星々達が揺れながら輝いております。

何曲か歌ってMCの時間。
中島さんは、ステージ横の影の方へ向かって、何か聞いています。
イラク日本人人質事件の様子が気になるそうです。
どうやら開放されたとかなんとか(帰宅してから知ったのですが、それは誤報でしたね)。
「ニュースが気になりながらコンサートをやっているのですが、勿論、ちゃんと歌は歌いますから。大丈夫です」と云ってました。

新潟へは初めて来たそうです。
「普通の話しですが、御米が好きです。新潟は御米が美味しいんですよね。お弁当屋とか、普通のところでも美味しいと聞いていました。後ろの方で御米を炊いてもらったんですけれど、とても美味しかったよ」
「新潟へは昨日の夜に入ったのですが、どこへもまだ行ってません(残念そうな口調)。お客さんが温かいね。心が和んで、良いライブが出来そう」
と感想を漏らしていました。

次は、ご自身が大事にしている曲という「雪の華」です。
歌いだすと、新潟は桜が満開の陽気な気候なのに、一瞬のうちに冬の景色が心に浮かんできました。
ステージの床は、ドライアイスで白く包まれていきます。
ステージの上の方から、たくさんの雪が舞い降りてきました。
照明で作ったものではなく、ちゃんと質量を持ったものです(しかし、落ちているうちに消えてしまうので、床は汚れません)。
途中、歌詞が飛んだのか、音が出にくかったのか分かりませんが、歌えなくなってしまいましたが、お客様の声援に支えられて持ち直し、最後まで歌いきりました。

とある曲の最中でした。
曲の終盤になっところで、ドラムの人が、ドラムスティックを両手に握ったまま、大きく上段に手を振っております。
最初、客席に向かって手を振っているのかと思っていたのですが、それにしても随分と長い。
しかも演奏中だし・・・。
じょじょに、他の演奏者の楽器の音色が減っていきました。
そして最後に、不思議に思った中島さんも歌をやめました。
何とドラムが不調で、音が出なくなったのです。
スタッフの人が来て調整をします。
中島さんも驚いた様子で「やっちゃったよ〜。こんなの初めてだよ」と、混乱するステージの上の様子が、少しでもお客様の不安にならないように、笑顔を観客席へ向けていました。
しばらくして中島さんは、ドラムの人に「大丈夫?」と聞いて、どうやら復旧したので、「気を取り直してやりますか!」と一声。
かえってこのトラブルのお蔭で、観客席も盛り上がったものです。
「ぐだぐたになっちゃったけれど・・・」と、バックミュージックと共に、演奏者達メンバーの紹介を始めました。

曲は進みまして、最後のMC。
「素晴らしい1日になりました。次が最後の曲です」と云うと「早〜い!」とか「え〜」「もっと歌って〜」とか、まるで「笑っていいとも」のテレフォンショッキングのお約束のような声が至るところから聞こえてきます。
けれど本当にみんなそう思って云っているようでして、ついでに云えば、本当にコンサートの時間そのものが短いのです。
1時間20分ぐらいしか無かったかと思います。
そんな声をなだめながら、「また今度ね。また足を運んで来てくださいね」と云い、最後の曲「FIND THE WAY」を歌います。
この曲、ガンダムヲタクには馴染みの曲です。
「機動戦士ガンダムSEED」のエンディング曲として使われていたものです。
まあ、この観客席の中で、「FIND THE WAY」→「ガンダム」という脳内変換が出来るのは私だけであろう事に異論は無い訳でして・・・。
中島さんの身体がライトに照らされて、全身が青色に光ります。
白い衣装・白い肌は、ライトに照らされているというより、それ自身が発光しているかのように奇麗でした。
背景には、回転する地球が映し出されています。
しばらくして白いライトが中島さんを横・斜め・縦から照らし、その白いライトが巨大な翼に見えます。
10本ぐらいの羽が広がっているようで、まるで「機動戦士ガンダムSEED」の主役機「フリーダム ガンダム」が羽を展開(ハイマット・モード)させたように見えます。
これはきっとスタッフが、ガンダムを連想させるように意図した効果に思えたのは私だけでしょうか。
ああ私だけですか、そうですか。
この曲はとても荘厳で、まさに物語りの終焉へ静かに進む際に相応しい曲です。
「ガンダムSEED」の最終回のラスト、この歌が流れてきた時、「ああ、遂に終わるんだ・・・」と深い感傷に浸ったものです。
私は中島さんの歌の中でも、これが一番好きですね。
歌い終わり、一礼して中央奥へ消えていきました。

中島さんと演奏者達が消えた後も、拍手は鳴り止みません。
モーニング娘。とかだと「アンコール」の連呼なのですが、ここでは拍手を続けるようです。
しばらくして、演奏者達が出てきました。
Tシャツ姿のラフな格好です。
更にしばらくして、中島さんが駆け足でやってきました。
観客席からは黄色い声! 声! 声!

緑色のドレスを着ています。
胸の部分から下がスカート状態になっています。
下は素足でした。
「この間、新曲を出したんです。”SEVEN”。詞は自分で書きました」と云うと、観客席からは、怒涛の拍手が。
作曲は、クラブイベントで注目を集めるCOLD FEETのLori。
「FIND THE WAY」もこの人の楽曲だったかと。
ちょっと気になる人物ですね。

次に、珍しくアップテンポなナンバー。
その後、中島さんが、演奏者達が着ているTシャツについて説明します。
「メンバーが着ているのが、ミカTです」
ご自身がデザインしたものです。
観客席の後ろの方を指して「(売店で)売ってるから」と云い、笑いを誘います。
「まだまだコンサートツアーは続くのですが、もっと経験して、感動をもらったり、与えたりしたいと思います。また来てください」と深々とお辞儀をしました。
演奏者達もそれに続いてお辞儀します。
そして、ステージの幕が下りて、見えなくなっていきました。

以上がコンサートの一連の長れです。
中島さんはトークに関して、そんなに饒舌な訳ではありません。
MCの際も、何を話したらいいか迷ったりしている事もありました。
けれど、観客席からの質問、歓声などに丁寧に反応し、答えてくれていました。
無視する事が出来ないんですね。
なんかいいなあ。
真面目な人なんだなあ、なんて思ったりしました。
だからこそ、素敵な曲を彼女へ提供してくれるアーティストが次々と出て来るんだろうね。
この方はまだ若いです。
けれど、若い時だけしか輝いていないアイドルとは何かが違いますね。
「30年後の彼女の歌声も聞いてみたい」と思わせるものがありました。
将来、歳を重ね、知識と経験に裏づけされた重みのある歌を是非聞きたいものです。

Posted by kanzaki at 2004年04月13日 07:00 | トラックバック (0)
コメント

私もこのコンサートに行きましたよ。良かったですよね。行ったことのないコンサートのものを読むと行きたかったなあって気持ちになってたので行ったコンサートのものを読むのは嬉しいですね。映像を再生してる感じでした。楽しい時間が蘇ってきます。意地悪なんですが違うところがないかなって読んでみましたが見事に再現してありました。お見事です。

Posted by: ゆうり at 2004年04月13日 21:25

ゆうりさん、書き込みありがとうございます。
これからも、見に行った人は勿論、会場へ行けなかった人にも、その時の雰囲気を感じてもらえるように頑張っていこうと思います。

Posted by: 神崎 at 2004年04月13日 21:56

今月末ライブ収録あたりに行こうと思っています。隠れファンの一人ですが、今回嬉しい事にオープニングの映像(バクが出てくる)の効果音を担当しました。なるほど言われてみると町並みなんかインド風ですね、音はレトロでとらえどころの無い不思議な夢のシーンを演出したつもりでした。自分もコンサートを楽しみに行って来たいと思います。とっても参考になりました、ありがとうございます。

Posted by: kiichi at 2004年04月17日 15:50

kiichiさん、こんにちは。
コンサートに携わった方からの書き込みに、とても感激しています。

あの不思議な映像に音がとてもマッチしていて、観客の皆さんはジッと見つめて魅了されていましたよ。
私はコンサートへ行く際、小さな手帳とボールペンを持ち、コンサートの模様をメモしながら観ているのですが、あの映像の時は、書くのも忘れて見ていました。
メモをしなくても、あの部分は今でもハッキリと覚えています。
それだけ印象深いものだったんでしょうね。
そんな的確な音を創り出す才能が凄いと思います。
どうかこれからも、私達を魅了するお仕事を頑張ってくださいね。

是非、コンサートを楽しんできてください。
kiichiさんの書き込みを見て、「ああ、ホームページやっていて良かったなあ」と思った嬉しい午後のひと時です。

Posted by: 神崎 at 2004年04月17日 17:05
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