2015年05月04日

映画「シンデレラ(2015年実写版)」「アナと雪の女王 エルサのサプライズ」を観た感想

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映画「シンデレラ(2015年実写版)」と「アナと雪の女王 エルサのサプライズ」を観てきました。


●シンデレラ|映画|ディズニー|Disney.jp |
http://www.disney.co.jp/movie/cinderella.html

●アメリカ公式
http://movies.disney.com/cinderella/




(吹き替え版を観たのですが、シンデレラと王子様の吹き替えをした高畑充希さん・城田優さんは、全く違和感の無い声でした)


映画「シンデレラ」の内容は、みなさんが知っている内容そのまま。
批判を受けそうな大きな改変はありません(好意的なアレンジはある)。
1時間45分をかけて、丁寧にトレースしています。


それ故、インパクトは低いです。
しかし、短編アニメーション映画「アナと雪の女王 エルサのサプライズ」が同時上映ということで、劇場へ足を運んだ人も多いと思います。


映像の美しさに感心しました。
決して最新映画のような、ツルツル・テカテカのCGではありません。
むしろ、あえて昔の映像のようにしてあります。
それがかえって、油絵の具で描いた西洋の絵画のように見えます。
それが動いてしまうのですから、本当にうっとりします。
特に、城で行われる舞踏会は、圧巻です。
その部分は殆んどCGを使っていないと思うのですが、実写で再現したのは素晴らしいの一言です。


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見どころはやはり、シンデレラが魔法の力で綺麗なドレスを身にまとうところから、12時の鐘の音に焦ってガラスの靴を落として去ってしまうところでしょう。


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シンデレラが身にまとう青いドレスは、私が見たことのあるドレスの中で、最も美しいと感じました。
青色という冷色は、普通だったら目立たないはずなのに、それ自体が発光しているかのように見えます。
特にその存在感は、舞踏会で発揮されます。
王子様の嫁さんになりたい女性たちがあまた、それぞれ高級なドレスを着ています。
そんな中でも、この青いドレスは、抜群に目立っており、どれにも負けていません。
舞踏会全体を映し出すシーンでも、シンデレラがどこにいるか、一目で分かるほどです。
お城の外の暗闇ですら、その青いドレスは存在感をあらわしていました。
王子様が連れて行った秘密の花園で、それがさらに印象的になります。


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この魔法のドレスは、アカデミー賞を3度獲得した衣装デザイナー サンディ・パウエルさんの作品です。
一つの青色だけではなく、紫っぽいもの、ターコイズ・緑・銀かかった青など、何層にも重ねあわさって、動くたびに色が変化します。
ガラスの靴よりも、この青いドレスがとても印象的でした。



映画を観る前、ちょっと心配だった事があります。
それは、継母(トレメイン夫人)と、その娘姉妹(ドリゼラ&アナスタシア)が、シンデレラをいじめるシーンです。


PTA的な意味で、いじめシーンを批判するのではありません。
最近は、いじめのシーンとか、陰惨なシーンを観たいと思わなくなったからです。


現実社会で辛いおもいをしているのに、何でわざわざお金を払ってまでして、嫌な思いをしなければならないのかと。
(たとえそれが、芸術的・文学的で意味があるものだとしても)


なるべく、そういうシーンが控えめであって欲しいと思いました。
実際の映画本編では、全く無いわけではありませんが、大分控えめだったような気がします。


それは、継母が単に意地悪ではなく、王宮の人間をも丸め込んで、自分の都合の良いように策略する頭の良い策士だということ(頭の良さの方向を間違ってしまっていますが)。
一方、娘姉妹は、単にアホでバカで無邪気故に、他人に迷惑をかける性格だということ。
そういった性格が際立っていた為、シンデレラへのいじめが、そこまで陰惨にならないようにしてありました。



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シンデレラ役のリリー・ジェームズが、めちゃくちゃ可愛い。
26歳とは思えない。
他の作品や、今回来日した際の印象とは、また違った感じ。


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継母たちに家事などこき使われている時の、質素な衣装、シンプルなメイクが特にいいです。
そりゃあ森の中で、王子がはじめて出くわした時に一目惚れしますよ。
日本人から観ても、親しみを感じられるルックスです。


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そんな彼女が、綺麗なドレスを身にまとい、舞踏会で注目をあびるというのは、やはり女の子ならば憧れるシチュエーションでしょう。



このシンデレラという物語の良い所は、主人公が「不思議な力」にあまり頼っていないことです。
フェアリー・ゴッドマザーという魔法使いは、魔法の力で、シンデレラに綺麗なドレスを着せて、かぼちゃの馬車などを用意しかしていません。


父親が死んで、シンデレラがつらい目にあっている時には、助けてくれませんでした。
また、舞踏会から戻ってから、一度も姿をあらわしません。


この魔法使いの不思議な力を使えば、あらゆる困難も簡単に解決していたはずです。
しかし彼女はあらわれません。


結局、シンデレラは自分の不幸な生い立ちを自分の力で切り抜けて、幸せを手に入れたのです。
(手助けしてくれるのは、昔から仲の良い、屋根裏のネズミたちだけ。なんだか、小公女セーラみたい)


そこが、この物語の良い所なのかもしれません。
なんでもかんでも、不思議な力とか、気合いとかで解決する少年漫画と違います。


魔法使い以外、劇中で不思議な力、非現実的な能力を持っている人はいません。
それぞれがもっている才能・性格は、あくまで現実的なものです。


そんな中、シンデレラが持つ武器は、母の遺言でもある「勇気と優しさを忘れないで」という言葉に基いて生き抜くこと。
単に忍耐強いだけではありません。
舞踏会に行きたいと強く思う心情は、過去の作品より強い。
王子を好きになるのも、王子の内面(優しさ、心遣い)に惹かれているところに注目。


行動的だけれど、がさつにはならない。
丁度良いさじ加減になっています。



劇中、「ありのままで」「ありのままで」とセリフを耳にしました。
「アナと雪の女王」の影響でしょうか。
あまりに耳につきすぎて、ちょっと無理やり過ぎかな。
けれど、この映画のテーマでもあるから致し方無いです。


シンデレラが王子と再会した際、本当の自分を知られる事に不安を抱きます。
自分はどこぞの姫様でもないし、裕福でもない。
身の上は、とても自慢できたものではない。
質素な身なり。


それでも王子の元へ足を進める原動力は勇気。
継母の今までの悪行も、全て許すと言い切るのも勇気。
強さも感じさせるヒロイン・シンデレラでした。


※※※



同時上映「アナと雪の女王 エルサのサプライズ」は、僅か7分。
曲は1曲のみ(そんなに印象的ではない)。
メッセージ性はありません。


けれど、前作の主要人物がほぼ全て登場しているのは、ファンには嬉しいと思います。
途中、「少しも寒くないわ♪」があったのは、良いファンサービスです。


エルサがくしゃみをすると、可愛い小さな雪だるまが生まれます。
もの凄い数です。
最後、氷の城へ行きましたが、次回作にも登場しそうです。

Posted by kanzaki at 2015年05月04日 19:46