2009年07月07日

映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」の感想(ネタバレ無し編)

子供の頃って一日がとても長く感じましたよね。
あれは体験する情報量が多いから、そう感じると聞いた事があります。
確かに子供にとっては毎日が新鮮で、日々覚えていくことばかりです。
大人になると逆に、忙しい日というのは、あっという間に過ぎるのは何でなのでしょうかね?

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二週連続で興行収入一位に輝いた映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』。
この映画を日曜のレイトショーで鑑賞しました。
次の日から学校や仕事が始まるというのに満席。
とてもインディーズ映画とは思えない盛り上がりです。
私のこの映画に対する評価ですが、100点満点中100点です。
ここ最近の映画の中でぶっちぎりです。

もともと前作「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」が面白かったし、更に「新劇場版:破」を先に見た人達が大絶賛でしたので、とてもハードルを高くし、斜に構えて見るつもりでした。
しかし、そんな私の予想を軽く上回る出来栄え。
シリーズ作品ならば普通、真ん中のエピソードは「繋ぎ」扱いで、テンションも力も抑えるところなのに、そんな事を考えずにハイクオリティなものを提供したスタッフに感謝ですよ。
むしろ、二作目にしてここまでテンションを上げまくって、どうやってラストを迎えるのだろうかと心配になるぐらいです。

この映画は108分しか無いのですが、見ている途中で「長いなあ」と思いました。
決してツマラナイからではありません。
むしろ、良いタイミングで次から次へと見せ場がやってきて、落ちついてみている場合じゃありません。
話しの内容も映像も情報量が膨大なので、ついていくのが大変なぐらいです。
私が「長いなあ」と感じたのは、冒頭で書いたような子供の立場になっていたからだと思います。
情報の洪水にまもれ、頭がオーバーヒートして疲れたのでしょう。
これだけ密度の濃い映画ですから、リピーターが多いのも頷けますよ。
今回、「ネタバレ無し編」として感想を書いているのも、1回だけではとても細かい事を書けないからです。

いつもですと、アニメや特撮作品などは、その作品を見る前にある程度、各雑誌やネット等で情報を仕入れて、ネタバレをした状態で見ていました。
しかし「新劇場版:破」に関しては、全く情報を入れていない状態で見ました。
やはり純粋に楽しみたいですし、過去の作品のリメイク(という名の続編)なので、それでなくても頭の中に予備知識が入っている訳です。
だからこれ以上、事前準備なんてしたくありませんでした。

私が見る前に知ったのは、「惣流・アスカ・ラングレー」の名前が「式波・アスカ・ラングレー」になった事と、「真希波(まきなみ)・マリ・イラストリアス」という新キャラの登場、局地仕様仮設5号機のデザインだけです。
そんな予備知識無しで高密度の作品を見たのですから、冒頭のような子供の感覚になってもおかしくありません。

昔のテレビアニメ版や映画版と違い、「新劇場版」のキャラはみんな成長しています。
みんな前向きなんですよね。
昔はみんな「現実から逃げるキャラ」だったように思うのですが、これは製作側が意図的に変えていることなのでしょうね。
人とのふれあいを否定していた作品なのに、「新劇場版」は逆にそれを求めようとします。

置かれている立場は以前と同じなのに、どうやったら他の人が笑顔でいられるのかを考えるキャラばかりですから、憂鬱になる事がありません。

10年前の「新世紀エヴァンゲリオン」が変化球で視聴者を魅了していたとすれば、今回の作品は近年まれに見る直球の作品だと思います。
だから見ていて気持ちよいのです。
10年前の劇場版ラストの台詞「気持ち悪い」という感情はありません。

私がこんな風に感想を書く映画なんて、今後10年、ヱヴァンゲリヲンシリーズ以外に無いかもしれません。

10年前のシリーズでは、テレビ版も見たし、更にレンタルもしたし、映画も見に行った。
関連グッズも買いあさった。
これだけ大量に時間もお金も投資した人にとって、今回の「新劇場版」シリーズは最高のプレゼントだと思います。

過去のシリーズを見ていない人が、今回の「新劇場版」シリーズだけを見た場合はどう感じるのでしょうかね。
過去のシリーズを見ていた私ですら情報の洪水にもまれたのだから、大変かもしれません。

これだけクオリティの高い作品をシリーズ途中で作ってしまったのですから、次回は製作が遅れても何年でも待っていますよ。
我々ファンの期待以上のものが生まれてくるのを楽しみにしています。

Posted by kanzaki at 2009年07月07日 21:54