2009年07月05日

なぜお菓子を食べる男が増えたのか〜職場でのリフレッシュメント「オフィスグリコ」

以前、甘党男子について書きました。

●神崎のナナメ読み: 甘党男子とは? 今、甘党男子が増えているそうです
http://kanzaki.sub.jp/archives/001825.html

自分自身が甘党なので、こういう人が増えている事になんら疑問はわきません。
お酒やしょっぱいものが嫌いな訳ではありませんが、普段はお酒を全く飲まないし、飲みたいとも感じません。

さて皆さんは、「オフィスグリコ」なるものを知っていますか?

●職場でのリフレッシュメント「オフィスグリコ」
http://www.ezaki-glico.net/officeglico/index.html

これの開発経緯について、雑誌「PRESIDENT」に記載されていました。

グリコの相川昌也さんは、「ポッキー」などの定番商品を小袋に詰めて売る「ピックパックシリーズ」を発案したヒットメーカーです。
彼は12年前、こう考えました。

相川
「まったく新しい販売チャンネルを創造できないだろうか?」

そしてアンケート調査の実施を会社へ提案し、小学生から60代後半までの約800人の二週間の生活実態調査を行い、どこでお菓子と接点を持っているかを調べ上げました。
結果、最大の接点は、予想通り家庭でした。
約70%が家庭でお菓子を食べていました。
意外だったのは、オフィスが第二位だったことです。

19%の人が、オフィスでお菓子と接触して(食べて)いました。
そして、オフィスでの消費には不満の声が多かったのです。

相川
「オフィスの場合、夕方になって小腹が空いても、わざわざ買いにいかないんです」

出勤途中にコンビニでお菓子を買って、机の中に入れている人は多いのですが、一旦、オフィスに入ってしまうと、買いに出るのは面倒だし、周囲の目もうるさい。
ましてや、オフィスは男性社会だから、コーヒーはO.Kでも、お菓子は市民権を得ていないそうです。

世間はそうなんですね。
私の勤めている会社には、コンビニが併設されているのでそういった不満はありません。
いつでも買いに行けますし、若い女性社員が多いせいか、お菓子を食べる男性への偏見もありません。
まあ、こういう環境にいる私の方が特殊なんですかね。

グリコの相川さんは、このオフィスの状況に大きな可能性が潜んでいると考えました。
しかし、どうやってオフィスでお菓子を売ればいいのかが問題です。

最初の頃はオフィス内にて、「駅弁スタイル」で販売をしていました。
大阪の第一ビルのテナント100社に飛び込み営業をしたところ、60社から販売許可を取り付けました。
成約率は非常に高かったのですが、問題は販売に対する制約です。

「お昼時ならばいい」「三時のおやつの時間ならばOK」「就業時間中は駄目だから夕方に来てくれ」・・・こういった時間的制約に加え、購入費用を経費で負担してくる会社は一社もありませんでした。

訪問販売は時間的制約が厳しいし、代金は個々に集めなければいけない。
有望な接点を発見しながらも、そこで販売をできないジレンマ。

長い時間をかけて社内で検討している中、ふと相川さんの脳裏に「野菜の無人販売所」が浮かび上がりました。

相川
「置き菓子で、貯金箱方式や!」

諸問題の解決の糸口をつかんだ彼が調べたところ、野菜無人販売所の代金回収率は90%程度だと分かりました。
その後、置き菓子方式を試験的に実施して手ごたえをつかんだ彼は、2002年2月、東京進出を断行し、事業の本格展開を始めました。
自ら推進部のマネージャーに就任し、現在も陣頭指揮をとっています。

オフィスグリコの急成長は目覚しく、営業センターは56か所、無人販売所であるリフレッシュボックスの設置数は10万8000台。
年間売り上げは35億円を突破しました。

販売形態が特殊ですし、代金回収方法もユニーク。
ちなみに回収率は95%。
日本人の良識もこの数字に反映されているかと。

このオフィスグリコにはいろんなアイディアが満載されています。
冒頭のオフィスグリコのリンク先を見ていただきたいのですが、無人販売所であるお菓子を入れたリフレッシュボックスのサイズは、高さ40センチのB4サイズ。
グレーと紫の中間色で、三段の引き出しが付いた文具整理箱の形。
真っ赤なロゴが鮮やかなグリコのトレードマークとはかけ離れた地味なイメージです。

相川
「男社会のオフィスでは、基本、"さぼっている"のがお菓子。お菓子を肯定してもらおうと思ったら、目立ってはいけないのです」

ちなみにオフィスグリコでは他社製品も提供しています。
一番人気は「グリコ フレンドペーカリー(10枚程度入ったビスケット。各種あり)」、二位は「ビスコ」。
一般的な売れ筋であるポッキー、プリッツは売れません。
オフィスでは一口で頬張れるお菓子が好まれます。
オフィスグリコの商品は全て100円です。
一口菓子、ワンコイン・・・このシンプルさも秘訣なんでしょうね。

補充方法も変わっています。
販売員が週一回訪問して商品補充と代金回収を行う際、売れたものだけを補充するのではなく、アイテムを入れ替えてしまいます。
その背景には、過去の失敗があります。

グリコは以前、「ジョイモア」というお菓子の自動販売機を開発したのですが、販売不振で失敗しました。
清涼飲料水の自販機は、生理的な必用に迫られた消費が主。
しかし、嗜好品であるお菓子はそうではありません。

相川
「チョコの次はせんべいが食べたいというのがお菓子。同じものを続けては食べてくれません」

買いに来る人の顔ぶれが変わる場所でしか、お菓子の自販機は成り立ちません。
そしてオフィスは、買う顔ぶれが全く変わらない場所の代表格。
相川さんは、定番商品を定期的に入れ替えることで消費意欲の持続を図るという、大胆な戦略を採用しました。

相川
「人が動かないなら、商品の方を動かせ、ということですわ」

オフィスグリコの利用者の多くが男性でした。
小腹が空いた時に買う人が多かったのです。
利用者の中には、部門長クラスの人もいました。
彼は会議の前に500円分ほど買って会議の席でふるまいます。
そうすると、場が和むのだそうです。

相川
「女性の利用頻度は予想より低かった。
お菓子に関心が高いので、選び方が細かいんです。
女性だけの職場も売れません。
男女がいる職場のほうが売れます。
菓子は男女の会話の潤滑剤の役割を果たすんですね」

売れ筋商品の中に「ビスコ」があります。
昔食べたことのある中高年の男性が懐かしがって買うのだそうです。
中高年の男性がコンビニのレジに並んでビスコを買うのは「何かの罰ゲームですか?」状態ですが、オフィスグリコならばそれもクリアです。

年間売り上げ35億円の現在。
まだ規模は小さいかもしれませんが、「店に買いに行かない人々」という未開拓のマーケットが日本全国のビルにごまんと眠っており、私のような甘党男子がそれを待っているのです!

Posted by kanzaki at 2009年07月05日 18:39