2008年06月11日

チーム男子とは〜「ちりとてちん」「相棒」の人気の秘密

ここ数日、非常に忙しくて疲れました。
帰宅して「NEWS ZERO」を見ながら夕食をとるのは寂しいですorz

さて、個人的に嬉しい記事を一つ。

●NHK「ちりとてちん」、DVDでは「おしん」抜く
http://www.zakzak.co.jp/gei/2008_06/g2008061111.html

3月に終了したNHK朝の連続テレビ小説「ちりとてちん」。4日に発売されたDVDボックスが1万7000セットを販売。朝ドラ77作のうちDVD化された13作中、2位の「おしん」(少女編)の9000セットを大幅に上回る新記録を樹立した。放送で関東地区の平均視聴率が15.9%のワースト1だったが、DVDで借りを返した。

やりましたねえ、ちりとてちん。
視聴率が低いのは、リアルタイムで見られない男性会社員のファンが多いからではないでしょうか。
放映中からコアなファンによる盛り上がりが凄かったですね。

このドラマ、主人公の女の子の成長物語が軸になっていますが、もう一つの魅力として、「徒然亭」一門の男性落語家たちが非常に人気でした。
そして何とこの夏、徒然亭4兄弟を主人公にしたスピンオフドラマが放映されるという異例の事態となりました。

●人気朝ドラ『ちりとてちん』のスピンオフドラマが実現! - 4兄弟の再集結
http://journal.mycom.co.jp/news/2008/05/22/010/

今年3月まで放送され、熱狂的なファンを数多く生んだNHK連続テレビ小説『ちりとてちん』のスピンオフドラマ・ちりとてちん外伝『まいご3兄弟』が21日、NHK大阪放送局でクランクイン。出演者の"徒然亭4兄弟"こと桂吉弥、茂山宗彦、加藤虎之介、青木崇高が記者会見に臨み、ドラマの裏話や見どころなどを語った。
『ちりとてちん』の続編を望むファンからの熱い要望に応えて実現したというこのスピンオフドラマは、ヒロインの貫地谷しほりが演じた女性落語家・喜代美をとりまく個性的なキャラクターの中でも、特に人気の高かった徒然亭一門の兄弟子たち、草原(吉弥)、小草若(茂山)、四草(加藤)を主役に、3人が福井県小浜市から大阪へ車で帰る途中の珍道中が描かれる。彼らの兄弟弟子・草々(青木)が、この道中記を創作落語にして高座で披露するという形でストーリーが展開していく。
なお、ちりとてちん外伝『まいご3兄弟』は、NHK総合テレビ・近畿ブロックの"かんさい特集"枠で7月25日(金)20:00〜20:43放送(関西地区のみ)。8月には、NHK総合、衛星第2テレビで全国放送される。

そして、これまた私の大好きなドラマ「相棒」。
こちらの映画「相棒-劇場版」は、公開1カ月で観客動員300万人を突破しました。

●右京はケーキも「細かいことが気になってしまって…」 - 『相棒』堂々凱旋
http://news.goo.ne.jp/article/mycom/business/it/20080604-n03-mycom.html

ちなみに大ヒットの影響を受け、6月14日の土曜ワイド劇場枠にて、Pre Season第3話の再放送があります。
少し前にPre Season第1話が新撮映像を加えて放送されました。
今回も新撮映像が加わっているそうなので、非常に楽しみです。
またこの日は午後7時より、古畑任三郎の中学時代を描く「古畑中学生」も放送されます。
難事件を解決してきた人気ミステリーのキャラが、同日に連続で放送されるのは面白いですね。

「NIKKEIプラス1」にて、「相棒」の人気の秘密が書かれていました。
もともと常人とは違う視点を持つ名探偵として杉下右京(水谷豊)を設定。
それを受け止める凡人として亀山薫(寺脇康文)をつくったそうです。
しかし8年の年月の間で、コンビの絆や、お互いが補い合っている関係の良さが画面に現れはじめ、視聴者に人気となりました。
対照的なキャラクターが、意図せずにチーム感を出すことに成功したのです。
この作品、年配の男性ファンが多いです。
社会の中で阻害された二人が活躍する様を自らの立場に置き換えて爽快に感じているようです。

さて、「ちりとてちん」と「相棒」、両作品に共通するキーワードは「チーム男子」です。
「チーム男子」とは、男子の集団にビジュアルだけではなく、人間関係や絆、友情、ドラマ性に注目した萌え属性の一つです。
「メガネ男子」「スーツ男子」のような若い女性が好むビジュアル重視の萌え属性ではありません。
「ごくせん」「花より男子」「ルーキーズ」のような作品に登場する若い美男子の集団だけがチーム男子ではないのです。
そしてもう一つの特徴として、同性である男性からも人気がある事です。
判官びいきで、弱い者が強い者に勝って欲しい、理不尽なものを打ち破って欲しいという思いが、日本人には昔からあります。
損得抜きで、誰かの為、何かの為に必死になって頑張る。
ぶつかり合う個性から生まれる絆、新たな人間関係。
そこにファンは満足感や達成感を覚えるのです。

野球だったら、スター選手がいなくてホームランは出ないけれど、全員野球でコツコツとヒットでつないでくみたいな。
ちょっと昭和、ちょっとダサくて頑張っている姿が、チーム男子の魅力になっているのです。

スポーツ漫画は、特にその傾向がありますね。
一人の強烈なキャラの主人公だけで話しが展開するよりも、複数のキャラがぶつかりあって活躍する方が、見ていて面白いです。

そういや、ジャニーズ事務所のアイドルも、殆どが何かしらのグループに所属し、グループでの活動と個人の活動を両立させ、相乗効果を生んでいます。
特に芸能界の場合、芸能界全体を相手に、たった一人で目立つのは至難の業。
しかし、グループという小集団の中で、自分なりのキャラを確立して目立つのは有効的です。
司会業がうまいキャラ、演技がうまいキャラ、面白いことが言えるキャラ、アホキャラ、秀才キャラ、スポーツ万能キャラ・・・。
個人の活動で注目された際、その人が所属しているグループの存在を知られ、他の全く個性の違うメンバーにも注目が行くという事がありますよね。

最近だと、「水曜どうでしょう」で人気者となった大泉 洋さんが所属する演劇集団「TEAM NACS(チームナックス)」でしょうか。
大泉さん以外のメンバーも活躍が目覚しいです。

●TEAM NACS Official Site
http://www.teamnacs.com/profile/index.html

リーダーの森崎博之さんも、「水曜どうでしょう」で大泉さんのファンになったのをきっかけで、自分達の舞台を見に来てくれるならば、それはそれで嬉しいと、大泉さんの「客寄せパンダ」を肯定しています。
そして結果、大泉さん以外のメンバーもいろんな所で見るようになりました。
最近だと、メンバー全員で江崎グリコの「DONBURI亭」のCMに出ていますね。

大泉さんの出ていた「水曜どうでしょう」も、出演者とディレクター達が、全くカッコよくない、情けない旅の中で、それでも必死に頑張ってゴールへたどり着く姿が共感を覚えましたね。

「チーム男子」は今後も、世の中でヒットを生み出すための重要な要因であることは間違いありません。

さて、「水曜どうでしょう」の話しを少ししましたが、この「水曜どうでしょう」のタイトルは、「水曜ロードショー」をもじって作られたものです。
その「水曜ロードショー(後に"金曜ロードショー")」でおなじみだった映画評論家の水野晴郎さんが10日、肝不全のため都内の病院で亡くなられました。

7月26日に公開される『ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一発』が最後の俳優としての出演になりました。

●ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一発
http://www.cinemacafe.net/official/guilala/

水野さんのご逝去を悼み、謹んで哀悼の意を表します。
いつか脚本は完成済みの『シベリア超特急ファイナル』が、映像化されるといいですね。

Posted by kanzaki at 2008年06月11日 21:45