2023年11月12日

映画『愛にイナズマ』の感想〜恋愛モノではなく家族モノ

aiinazuma01.jpg

●映画『愛にイナズマ』オフィシャルサイト
https://ainiinazuma.jp/

・監督、脚本:石井裕也
・出演:松岡茉優、窪田正孝、池松壮亮、若葉竜也、佐藤浩市

【あらすじ】
26歳の折村花子は幼少時からの夢だった映画監督デビューを目前に控え、気合いに満ちていた。
そんなある日、彼女は魅力的だが空気を読めない男性・舘正夫と運命的な出会いを果たす。

ようやく人生が輝き始めたかに思えた矢先、花子は卑劣なプロデューサーにだまされ、全てを失ってしまう。
失意の底に突き落とされた花子を励ます正夫に、彼女は泣き寝入りせずに闘うことを宣言。

花子は10年以上音信不通だった“どうしようもない家族”のもとを訪れ、父や2人の兄たちの力を借りて、大切な夢を取り戻すべく反撃を開始する。

2023年製作/140分

ーーーーーーーーーー

【感想】

主役級の芝居が上手と言われる俳優をよくこれだけ集めたものです。
監督の人徳なんでしょうね。


せっかくこれだけ多くの俳優を集めたのに・・・松岡茉優さん、窪田正孝さん、池松壮亮さん、若葉竜也さん、佐藤浩市さんが集まって、外で立ち話しをしているか、居間のちゃぶ台の前に座って話しをしているだけなんですよね。
舞台向きの話しだったのかもしれません。


140分の内、前半は不要というか不愉快です。
主人公が監督をする映画のプロデューサーと助監督のキャラがとにかく不愉快。
主人公が監督から降ろされるまでの話しは無くても問題ありません。
さっさと主人公が地元へ戻って、自分の家族の映画を撮影するところから始まった方が良いと思いました。


恋愛モノと思わせておいて、実は家族モノです。
下手したら、窪田正孝さん演じる、主人公が好きになる人も不要かもしれません。


前半の不愉快エピソードをばっさり切ったら90分で収まると思うし、テーマがはっきりすると思います。
主人公の父親・兄弟もそれなりにキャラ付けしているし、前半をカットして、もっとキャラを活かした方が良かったのでは?


完成した映画を自主映画として、地元の公民館で小さくも温かく上映し、そんな中で父親が息を引き取っていけば良かったのに・・・。
「映画を作る」という、この作品の根幹を最後まで続けていないのも残念です。


主人公が地元で、「自分の家族の作品を撮影する理由」を変えると良かったのかも。
監督を降板させられた怒りがきっかけでしたが、別の理由でさっさとスタートしたら良かったのに。


今回で言えば、父親のガンが分かったのと、不倫して家を出ていった母親の訃報を知ったのがきっかけとか。
本当、前半の不愉快エピソードを無くして欲しいです。


主人公の父親(佐藤浩市さん)と、彼が働く配送会社の社長(北村有起哉さん)の立ち話しのシーンが好きです。
子どもたちの前と違ってすごく低姿勢で父親が社長に話し、社長も偉ぶるでもなく彼をねぎらうシーン。
なんでも無いシーンなのですが、本当の日常社会ならごく普通にあるけれど、映画だと見かけないシーンです。


主人公の父親の友人(益岡徹さん)が、父親が過去に逮捕された理由・・・自分の娘のためだったことに感謝するシーンも良かったなあ。
年配の役者さんの、ごく普通な感じのシーンが印象に残る作品でした。


aiinazuma02.jpg

Posted by kanzaki at 2023年11月12日 11:27