2022年09月07日

映画『ぜんぶ、ボクのせい』の感想〜主人公の心が成長しない作品

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●映画『ぜんぶ、ボクのせい』公式サイト
https://bitters.co.jp/bokunosei/


監督・脚本:松本優作
出演:白鳥晴都・オダギリジョー・川島鈴遥


【あらすじ】
児童養護施設で母の迎えを待ちながら暮らす優太は、ある日偶然母の居場所を知る。
母に会うため施設を抜け出す優太だったが、たどり着いた先で見たのは、同居する男に依存し自堕落な生活を送る母の姿だった。
絶望に苛まれ当てもなく海辺を歩く優太は、軽トラックで暮らすホームレスの男・坂本に出会う。
坂本は何も聞かず優太を受け入れ、2人はわずかな日銭を稼ぎながら寝食をともにするように。
裕福な家庭に生まれながらも居場所がない少女・詩織とも知り合い、心優しい彼女にひかれていく。



映画『ぜんぶ、ボクのせい』予告編


※※※


【感想】


低予算だと思うのですが、顔面偏差値が高い出演者たちでした。
有名どころの俳優がたくさん出ています。


オダギリジョーさんは、いつものオダギリジョーさんでした。
批判はしないし、むしろ期待どおりではありますが、言ってみればキムタクと同じです。


主人公の中学生が、オダギリジョーさん演じるダメ人間に魅力を感じ、一緒にいたいと思うのは理解できます。
心が落ち込んでいる時って、そういう人の横にいる方が落ち着くものです。


ラスト、オダギリジョーさん演じる男のクルマが放火された後の展開は残念です。
無理があるというか、無理やり終わらせた感があります。


主人公の中学生は、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」のラストから、「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」の前半あたりの、心を閉ざした碇シンジ君です。
シン・エヴァは、ちゃんと主人公が立ち直って前へ進みました。
だから、あんなにも爽やかなラストとなりました。


同様に、今回の映画の主人公も、最初と最後で考えが変わり、前へ進んでほしかったです。
警察が、主人公を放火の犯人扱いして威圧的に決めつけている部分は、脚本にものすごく雑さを感じました。
脚本がまとめ上げられてないですね。
作品タイトルを主人公に言わせたいだけ。



母親に捨てられ、施設で母の迎えを待ちながら暮らす主人公。
中学生になっても一向に迎えに来てくれなくて、心が内側に向いています。


主人公が施設を飛び出し、母親とヒモ男が住む家へ行きます。
残念ながら、母親は自分が来たのを歓迎してくれませんでした。


失望して出て行った先で、オダギリジョーさん演じる男や女子高生と出会います。
そこからが本編。


ただね、親に捨てられた少年を主人公にするなら、主人公の少年とその母親、ヒモ男、そして施設の若い先生を中心で作るべきだったんじゃないかなあ。
その方が、テーマがブレずにしっかりしたお話しが出来たと思います。


施設の若い先生を木竜麻生さん(新潟出身)が演じています。
このキャラクターが、ものすごく勿体ないと思いました。
あれだけキャラ作りしておきながら、オダギリジョーさん登場後はまったく出番なし!!
普通なら、少年を立ち直らせようと奮闘したり、母親の心を子供へ向けるように活躍させるべきキャラです。
本当に勿体ないです。


本当は、主人公の少年とその母親、ヒモ男、先生で作らなきゃいけないお話し。
監督がこの作品を自分で作っておきながら、作品から逃げてしまっています。
主人公の心の成長物語が作れないから、オダギリジョーさんや女子高生とのエピソードとか、別の話へ展開させてしまったように思います。
本当に残念でした。

Posted by kanzaki at 2022年09月07日 06:47