10月13日、94歳で亡くなった漫画家・やなせたかし先生。
地元の新聞紙でも取り上げられていました。
1995年に出した自伝「アンパンマンの遺書」にて、中国大陸での戦争体験が描かれています。
敗戦と同時に、それまでの「正義」は崩壊。
それを目の当たりにして、こう思ったそうです。
「正義のための戦いなんてどこにもないのだ」
「正義はある日突然逆転する」
「正義は信じがたい」
骨身にしみたことが、思想の原点になりました。
偉そうな人達が唱える「正義」が信用できないなら、弱々しくも変わらぬ正義を貫きたい。
アンパンマン哲学はこうして生まれました。
※
「被災地の子供達を励ます気力を届けたい」と、
中越地震、中越沖地震、東日本大震災でも、募金活動などを通して子供達を支え続けました。
3年前、地方紙・新潟日報の「ふるさと復興キャンペーン」にて、一遍の詩「希望」を寄稿しています。
一寸先は闇といいますが
一寸先は光かもしれません
あんまりあっさり絶望してあきらめないでください
せっかちに絶望するのはもったいない
(抜粋)
※
10月19日、やなせたかし先生が責任編集している季刊誌「詩とファンタジー 24号」が発売されます。
巻頭用に「もうおしまいです」と遺言を書き、本編用に死をテーマにした詩とイラストの二つの作品を完成させ、入院中だった9月上旬に編集者へ原稿を渡したそうです。
今号巻頭の「編集前詩」にて心情を綴っています。
死ぬ時も
未熟のままで
かえって
よかったような
気もします
また、「天命」と題した遺作では、死を達観したような言葉が並びます。
ゼロの世界へ
消えていくでござる
もう一つの作品「チャーリー」では、道化師が登場し、ユーモラスに語ります。
ぼくの人生喜劇
シリーズ
ついに全巻の終り
※※※
私は「夢はきっと叶う」みたいな、安直な歌が好きではありません。
超ネガティブ思考&中二病な私が、それを受け入れられる訳がありません。
けれど、一周回って達観した人ならば、それすら笑顔で受け入れて、本当に実現させてしまうようにも思うのです。
そういう人が語る言葉というのは、とてもシンプルなものを使うので、結局「夢はきっと叶う」に行き着いてしまうのかもね。
「愛」とか「勇気」を歌詞に使えるのも、大きな人生観があってのことだと思います。
やなせたかし先生の言葉と絵が、子供達にも愛されるほど優しくシンプルなのは、その大きな心が源になっているからではないでしょうか。
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