2004年10月08日

映画「ヘルボーイ」の感想【2】

映画「ヘルボーイ」を見た感想の続きを書きます。

前回の記事:映画「ヘルボーイ」の感想【1】
http://kanzaki.sub.jp/archives/000409.html

主人公のヘルボーイは全身が赤く、尻尾の生えた悪魔のような外見。
長い髪は、まるでお相撲さんのマゲのように後ろで結んであります。
(監督によると、マゲは黒澤監督と三船敏郎へのオマージュ)
タバコを吹かし、ちょっと不良に憧れている少年のようなツッパリ感もあるけれど、育ての親のマニング博士への愛情は深いです。
額にあるゴーグルのようなものは、角の折れた跡。
男性が出勤前に髭剃りで髭を剃るように、彼はグラインダーを使って、この角を削って伸びるのを抑えています。
本人は、この角の跡を気にしているらしく、相手が自分の顔を真正面を向いて見るのを嫌がります。
ヒロインのリズに愛の告白をしたくても、自分の容姿に対するコンプレックスから、なかなか胸を張って云えないところがあります。
リズに「(容姿の酷い)俺と一緒に歩くのが嫌だろう」とか、そんなナイーブさも見せる彼。
リズとマイヤーズがデートをしているのをこっそりと尾行し、ビルの上からマイヤーズに向けて石を投げるなんてことも。
(このシーンで、ヘルボーイと一緒にデートを見張っていた子供とのやりとりがまた微笑ましい。子供も、ヘルボーイに偏見や恐怖を感じなかったせいでしょう)
気はやさしくて力持ち。
敵との戦いの最中、本能的にピンチになった子猫を助けたりと、非常に良い奴です。
こんな容姿と性格のキャラを最近、どこかで見たことがあるなあと思ったら、「攻甲殻機動隊」・「イノセンス」に登場するバトーに似ていますね。
戦闘方法は、特殊な拳銃も撃ちますが、基本は肉弾戦。
殴ったり蹴ったりで相手を撃墜します。
現実的な戦い方なので、CGとかが鼻につくことはありません。
原作だと、「ヘルボーイが機械をいじると大抵壊れる」「ヘルボーイは射撃が下手」という設定だそうです。
ヘルボーイの拳銃は壊れるか無くして、早々に肉弾戦になってしまうとか。
映画では、射撃が苦手という印象は無かったですけれどね。
日本の特撮ばっかり見ているせいで、「必殺技」が無いのが物足りないと云えば物足りません。
そういや、「スパイダーマン」にも必殺技がないですね。
スパイダーマンの劇場版1作目は、グリーンゴブリンが武器を後ろからスパイダーマンに突き刺そうとしたのをヒラリとかわされたせいで、自分に突き刺さって自爆。
2作目は、タコ人間がまともな心に戻り、巨大なエネルギーを抱えて海の底へ潜って消えていったし。
どちらにしても、スパイダーマンが必殺技で倒した訳ではありません。
日本の東映版スパイダーマンならば、巨大ロボ・レオパルドンで一撃でしょうが(w。
更にヘルボーイは強い存在なので、ピンチになって死んでしまうというハラハラ感は希薄です。
敵は、みんなあっさり倒されるし、ラスボスすら爆弾で一撃。
一つ一つの戦いもそんなに時間は長くないし、それらが作品の中で連続せず、マバラに配置されているせいで、やはり薄味な感じになっていますね。
私のお気に入り(否、見た人ならば皆が好きになる)のクロエネンも、案外、簡単に倒されちゃいましたしね。
ラスボスを倒した後、クロエネンがもう一度復活し、マスク半壊で素顔が剥き出し、コスチュームもボロボロ状態でヘルボーイに襲い掛かってきて、等身大同士の戦いを持ってきてくれたら良かったのになあ。
原作だと、ヘルボーイやエイブ(味方の魚男)って普通に街に溶け込んで生活していますが、映画では存在を隠していますね。
映画では、大衆紙に写真を掲載されても、雪男やUFOみたいな扱いです。
世間から存在を隠し、悪を退治するっていうのが、先週から放映開始された「ウルトラマンネクサス」の「ナイトレイダー」という組織みたいな感じですね。
上映時間が長い割には、各キャラクターの個性が強すぎて、それらを紹介&掘り下げる時間が無かったのが残念です。
登場してるキャラが、なかなか良いだけに本当に惜しい。
下手に巨大なラスボスとか登場させたり、魔界とか壮大な設定に拘るより、スパイダーマンみたいに、敵も味方も知り合いにして、大風呂敷を広げずにコジンマリとしたストーリーにして、個々のキャラを掘り下げた方が良かったと思います。
リズとの「美女と野獣」のようなラブストーリーを盛り込んで、そちらに時間を割いたせいで、コンビを組んで戦うFBIのマイヤーズとの友情とかを戦いのシーンに組みこんだりというのが出来ませんでした。
今回の映画だけじゃ、ヘルボーイとマイヤーズって、ただの恋敵程度の扱いにしかなりませんものね。
後半の敵の基地での戦いですが、途中からパーティーを二つに分けて行動してしまっています。
迷路のような基地ですし、ヘルボーイ達パーティーの人数が多かったので、そういう展開にしたのでしょうが、ヘルボーイとマイヤーズを別々のパーティーにしてしまった為、お互いのやりとりが無かったのが残念。
アクションもの・・・特に特撮ものは、特殊能力を持った主人公と、普通の人間だけれども主人公の良き理解者で、戦いの際には後方支援をするという形式がお約束。
そして、これが燃える展開。
(平成の仮面ライダーが良い例です)
マニング博士も死んだことだし、続編では、ヘルボーイとマイヤーズがちゃんと戦いの中で協力しあって、お互いが理解を深めるストーリーにして欲しいです。
本当、個々のキャラや設定がいいんだから。

次回作ですが、シナリオ次第では大バケする予感がある作品。
続編に期待しましょう!

Posted by kanzaki at 2004年10月08日 12:50 | トラックバック (0)
コメント
コメントする
名前(ニックネーム可)とメールアドレスは必ず入力してください.
メールアドレスは管理者にのみ通知されます.










名前、アドレスを登録しますか?