2004年06月20日

布袋寅泰 in トップランナー【8】

前回の続き

テロップ
『future』

ナレーション
「2002年5月 布袋さんは、妻 今井美樹さんの父親の葬儀中に転倒。
頭蓋骨骨折という大怪我を負い、数ヶ月に渡って音楽活動を停止しました」

本上
「おととし、布袋さんは大きな怪我をされて、それが布袋さんにとって大きな転機になったと伺っているんですけれど」

布袋
「自分の不注意から招いた事故だったんだけれど、頭蓋骨を骨折しまして、本当にこう今思っても、震えてしまうんだけれど。
もしこの傷が何ミリかズレて、病院に辿りつくのが何時間か遅れていたら、もうこの世には存在してなかったという大きな事故だったんで・・・。
生まれ変わったというのは、本当にこういう事だと思うのね。
それまでは命自体を見つめる暇も無く走ってきたし、逆に云えば、一番大切なものには目をつむってきたというか、そういう、ヤンチャな生き方ばかりしてきたから罰が当たったんだと思うんだけれどね。
義理の父親が亡くなって、僕が事故にあって、その後に娘が産まれる訳なんですけれども。
結局、義理の父親は孫に会えずに旅立ってしまって、ともすれば、僕も自分の娘に会えなくて、今この世にいないかもしれないと思うとさ、やっぱり今生きている事が、非常に不思議だし、奇跡のようにも思えるし、当たり前にあることが当たり前じゃなくなってきたしね。
仕事にしたってそうだし、散歩して木が揺らぐこの音だってそうだし、なんか目の前にあったものが全部、良い方向に変わった。
かなりこう、キツイしっぺ返しが来たと思うけれど、これぐらい無かったら、僕はきっとこう何も成し得ずに消えていく人間だったんじゃないかと気もするし。
それと同時にチャンスが巡って来る訳ですよ。
タランティーノもしかり。
自分の心をほぐした瞬間に、いろんなお話しが出来るようになったりとか。
ただ、僕は今、元気でいられるからこそだと思うけれど、あの事故に感謝しているし、それこそ神様が俺に罰を与えたんだとしたら、その神様に感謝しているし、あの事故は大きいですねえ」

本上
「これから布袋さんは、どこに向かって行くんでしょうね」

布袋
「どうなんでしょうね。
さっきも云ったけれど、凄くエスケープ癖があって、とにかく問題があったら問題を見なかったりするというか、何か逃げてきたように思うのね。
見たくないものは見ないできた。
凄く中途半端な生き方をしてきたなと思って、その中途半端なおかげで、ギターに集中できたから、どっちとも云えないんですけれどね。
ただ、苦しみとか、自分の弱いところとか、駄目なところと云うものと、これからは戦っていかなきゃいけないと思うし。
いいとこ取りじゃ、どこへも進めないから、その勇気みたいなものを自分自身で試していくんだろうなっつう気はするよねえ。
格言があって、"幸運は勇者の味方をする"。
勇者は勇ましい者なんだけれど、やっぱり、幸運というのは待っていれば降りかかってくるものじゃなく、何か小さくてもいいから、一歩を進みだす小さな勇気に幸運の女神が注いでくれるんだろうな。
この格言が最近、好きなんだけれど、大それた事じゃないと思うのね。
今、どこへ行っても"世界の(布袋)"と云われるけれど、"そんな大それた気持ちでは無いんです"と云うのが正直な気持ちなんですけれど。
でも、大好きなギターをもっと弾くために、日本で理解してくれる何万人というファンの皆さんを相手にずっとこれからも、5年、10年も楽しくやって行ったって良い訳ですよ。
ただそこをおっかないけれど、1歩踏み出して勇者になって、本当の幸運に出会いたいと云う気持ちが今、強いよねえ。
この男、これから何をやらかすのかなあと、自分にも期待があるし、不安もあるし、今までと違った自分が楽しい・・・と云う時ですね」

本上
「本当に長い時間、どうもありがとうございました」

布袋
「こちらこそ楽しかったです。
また呼んでください」

本上
「本日のゲストは、ギタリストの布袋寅泰さんでした。
ありがとうございました」

握手して、拍手の中、布袋さんはスタジオを後にします。


これにてお終い。
いかかだったでしょうか?

自分の弱い部分を見せられる人って、私は尊敬します。
また、どんなトラブルも、自分の気持ち次第で、良い方向へ転換できるという事を知っている人も尊敬します。
この二つを知っていると、あなたの人生にも、何かしら女神が降りてくるかもしれませんよ。

Posted by kanzaki at 2004年06月20日 19:01 | トラックバック (0)
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