2011年04月07日

「池上彰の新聞活用術」を読んだ感想・レビュー【7】〜批判は結局、自分に返ってくる

前回の続きです(今回が最後)。

●前回の記事:「池上彰の新聞活用術」を読んだ感想・レビュー【6】〜誰もがカメラマンの時代
http://kanzaki.sub.jp/archives/002324.html

(第七章・発想・コミュニケーション力を磨こう)

●全国紙でも、地域によって中身が違う

例えば朝日新聞。
全国紙ですが、東京本社、大阪本社、西部本社などが、それぞれ独自の編集をしています。

全国紙は、どこに住んでいても同じ記事が読めるものだとばかり思っていましたよ。
日本は広いです。
地域密着を目指す新聞社としては、各地域で地元のニュースを大きく扱います。
東京本社管内の紙面には関東地方の話題が多く、西日本のニュースは少ない。
大阪本社管内は、その逆です。

「近くの出来事は大きく扱い、遠くの出来事は小さく扱う」
これが報道の原則なのだそうです。

毎月、定期購読をしている読者が、どんな話題を求めているか。
それは同じ地域に住んでいる編集者が選択した方が、きっと感度が高いでしょうね。

神ナナは、サイト管理人が新潟に住んでいますが、内容としましてはそれほど地域密着型ではありません。(けれど、お世話になっている方々の活躍は、一生懸命に全国へ伝えているつもりです)
地方に住んでいても、色々なネタが書けるという実験的な側面の方が大きいかもしれません。
神ナナをスタートして来年1月で丸10年になりますが、そのスタンスは変わっていません。

ネット上にてブログ形式で配信するメリットは、手軽さや速報性だけではありません。
どちらかというと私には、「修正加筆が頻繁に出来る」事がメリットだったりします。

本業の仕事で、印刷物のリスクの高さというものを知っています。
刷り始めたら最後、後戻りが出来ません。
在庫が無くなりかけて、次の印刷をしようかと考えた際、ようやく修正することが出来ます。
それまでに物凄い時間が空きます。
間違った部分があるのを知っていながら、それが市場に出回っている現実に胸が痛みます。

間違いではないけれど、「ああ、もっとこういう表現で書けば良かった・・・」とか、あれこれ思ってしまいます。
そう思った際、いつでも修正加筆できるブログというものは、非常にありがたい存在なのです。

神ナナに一度掲載した記事でも、何回か修正加筆をする事があります。
更新しない日は大抵、以前の記事を書き直ししています。
決して、ボケーっとアニメを観ている訳ではありませんよ。
同じ内容でも、表現の仕方は幾らでもあるのが文章の面白いところです。

新潟という片田舎の人間が世の中を見渡すと、こんな風に見えるんだという事を文章から感じ取ってもらえたら幸いです。

●批判は結局、自分に返ってくる

新聞のコラムというのは、とても難しいものだと池上さんは語っています。
限られたスペース、迫り来る締め切り。
そんな中で意を尽く論旨(ろんし・議論の筋道。議論の主旨)を展開するのは至難の業。

そんなコラムで他者を批判するのは、なかなか大変です。
新聞がすべき批判には二種類あるそうです。

ひとつは、本来すべきことをしていない人や組織に対する批判。
社会保険庁に対する一連の批判がそれにあたります。

もうひとつは、してはいけないことをした人に対する批判です。
談合や汚職がその例です。

批判する際、的外れな事を言えば、必ずそれに対して抗議が届きます。
以前、新聞には双方向コミュニケーションの側面があると書きました。
書かれた内容に対する抗議の投書も、同じ新聞の紙面で掲載されることがあります。
池上さんは、「これぞ言論のあるべき姿」だと語っています。
こういうやりとりが活発に行われることで、紙面は活性化します。

池上さんも新聞記事を批判したりしますが、「他者への批判は、結局自分に返ってくる」ことを自覚しています。
「お前は、そんな偉そうなことを言えるのか」と、常に自問自答。
くたびれるし、読者からの批判の投書を読んでは落ち込むそうです。
自分が批判する相手の「批判される痛み」に想像を馳せた上で、「温かい批判」をするように意識しているようです。

新聞は、紙の形で戸別配達されるからこそ、パソコンが苦手な人も、パソコンの電源を入れる時間のない人も、様々なニュースを瞬時に一覧できます。
自宅で新聞が読めるのも、新聞配達の方たちの苦労があってこそ。
そんな方たちの苦労が報われるような文章を自分は書いているだろうかと、池上さんは考えるそうです。

いろんな人達に支えられていめから、こうやって表現できる。
そういう謙虚な姿勢は大切ですよね。
文章は、時として凶暴な武器にもなりえます。
血は流さずとも、心を切り裂く事が出来てしまう。
媒体は違えど、神ナナも幾重にも連なった文章の集合体です。
相手を傷つけないように意識しないといけないと、改めて思いました。

※※※

以上でおしまいです。
数日に渡って読んでいただき大変ありがとうございました。

池上さんの発言、文章は、非常に勉強になりました。
今後の神ナナに反映させたいと思います。

実は他にもう一冊、池上さんの書籍を入手しております。
こちらは、とても実践的な内容です。
それはまた次回の機会に、ご紹介したいと思います。

Posted by kanzaki at 2011年04月07日 23:18