実績以上に自分をアピールする人は多いです。
これが会社組織の場合、意識的に実績以下にとどめる部下の方が、上司の印象がよくなるそうです(雑誌PRESIDENTより)。
実績以下アピールの理想像は、マジシャンのマギー司郎さんです。
颯爽とスマートなマジシャンが多い中、彼は大抵、舞台にヨタヨタした感じで現れます。
「僕の人生終わっている」
「上手に手品ができる自信がない」
そんなネガティブな言葉が口からこぼれます。
最初に簡単な手品をわざと失敗します。
しかしその後、一転鮮やかな技を決めるのがお約束です。
「僕の人生終わってる」と下げ、手品も失敗して観客の期待値をぐっと下げます。
そんな自己開示によって観客は親しみを感じます。
そうやってマジシャンと観客の心理的距離を縮めます。
その上で、技を披露すると、「おお!」となるのです。
それほど高度な技ではないけれど、向こうの世界に引きこまれているから、観客は拍手喝采をするのです。
ビジネスマンも虚勢をはらず、大事なときに戦力になるタイプが、上司から一目を置かれるのです。
※※※
自分を卑下したポジションで立ち振る舞う人と言いますと、サーカスなどの「ピエロ」です。
ピエロは馬鹿にされる芸風です。
けれど、悲しみの象徴と捉える人もいることでしょう。
なぜなら、ピエロのメイクには、涙のマークが描かれているからです。
涙のマークは、馬鹿にされながら観客を笑わせているが、そこには悲しみを持つという意味を表現したものだからです。
けれど、マギー司郎さんの場合は違います。
マギーさんの顔には、涙マークがありません。
なぜならマギーさんは、「自分の弱点は武器になる。弱点をさらけ出せば人は強くなれる」という事を知っているからです。
そういう人に、多くの人びとは応援をしたくなります。
マギー司郎さんが舞台に出てくると、素直な笑顔になれますよね。
冒頭の動画を観てお分かりのとおり、マギーさんとお客さんの間に壁がありません。
自然と会場が、優しい笑顔に満ち溢れます。
日本でマギーさんを超す人気マジシャンは、今後も出ないと思います。
勿論、別のマジシャンが行う、モノを一瞬で消したり、移動させる手品は、凄いスキルです。
けれど、会場を一瞬で笑顔にさせる方が、もっと凄いスキルです。
マジシャンは己のスキルに絶対的なプライドを持ち、お客さんより上から目線で戦っています。
なにせ、観ている人をトリックで騙すわけですから。
マギーさんとは対極にあります。
世界の舞台は私には分かりません。
おそらく、物凄いスキルを持った人が称賛されるのでしょう。
そんなマジシャンが来日したら、そのショーは正に「日本よ、これがマジックだ!」といわんばかりでしょう。
しかし、ここは日本です。
その時はもてはやされるでしょうが、長年に渡って人気を保つことは出来ないでしょう。
マギーさんが長年愛され続けるのは、弱さを強さに変えられるマギーさんの心と、それを受け止める風土だからでしょう。
弱さを認められる人になりましょう。
必ず受け入れてくれる人がいますから。
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