2021年06月13日

映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の感想〜ガンダムシリーズの新世代感を堪能できる作品です

hathaway.JPG
(映画館に貼ってあった横4メートルぐらいのタペストリー)

●『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』公式サイト
http://gundam-hathaway.net/



『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』予告2



機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ|冒頭15分53秒+オープニング



公開最初の日曜日・朝9時台の上映を観ました。
客席は3分の2以上は埋まっていたかな。
今年観た映画で一番混んでいました(シン・エヴァンゲリオンより多い)。


物凄い行列が出来ていたのは、劇場鑑賞購入特典目当てだと思います。
私はそういうの興味ないので、自宅からネットで席を予約し、劇場の機械でチケットを受け取り、そのまま上映スクリーンへ。
だから、何ももらっていません。


上映前、他の映画作品の予告が、物凄く長く流れていました。
書かれていた上映開始時間から15分ぐらい続き、本当に疲れましたよ。



●私は、既に小説を読んでいます。
発行当時、リアルタイムで読んでいるのですが、あまり細かい部分は覚えていません。
ラストの衝撃だけは未だに覚えています。


●3部作の第1作。
わずか95分の上映ですが、生身のアクション、モビルスーツ戦がかなり盛り込んでいたせいか、2時間作品並みに満足できました。


●ガンダム作品ですから登場人物は多いです。
エンディングのスタッフスクロールの声優さんの数がそれを物語っています。
しかし、ハサウェイ・ノア、ギギ・アンダルシア、ケネス・スレッグのほぼ3人の行動のみに絞って話しが展開していたおかげで、観ている方は混乱しません。
偶然出会った立場の全く違う3人が、心通わせる流れはとても自然です。
丁寧な描写です。


●主人公のハサウェイ・ノアは、過去の作品の主人公と違い、立ち振る舞いが大人です。
行動に無駄がない(ギギには振り回されるが)。
テロリスト組織のトップで、多くの人間の上に立つからでしょう。
しかし、常に自分の行動に疑問を持っており、心の中はもやもやしている。
初代ガンダムやエヴァンゲリオンの主人公のような、10代の葛藤(自分だけの心の中の葛藤)とはちょっと違う。


ハサウェイが乗ったタクシーの運転手が語る、テロリスト組織マフティーの行動への感想が、この映画の根幹テーマかもしれない。
(ネタバレになるから、あえて言わない)


●初代主人公アムロ・レイが「逆襲のシャア」にて、シャアにこう言います。


「世直しのこと、知らないんだな。
革命はいつもインテリが始めるが、夢みたいな目標を持ってやるからいつも過激な事しかやらない」


「しかし革命のあとでは、気高い革命の心だって官僚主義と大衆に飲み込まれていくから、インテリはそれを嫌って世間からも政治からも身を退いて世捨て人になる。だったら・・・」


ハサウェイの行動は、アムロの目にどう映るのでしょうか・・・。


●今回、モビルスーツ戦はすべて、夜間ばかりです。
そのせいで画面が暗くて、細かい動き・ディテールがよく分からないというのが正直な感想です。

パソコンのモニターとかで観たら問題ないのでしょうが、劇場スクリーンだと観にくいかなあ。
夜間だからこそ、ビームや爆炎といったエフェクトの効果は、とても良い表現でした。
劇場版「鬼滅の刃」も夜の戦いばかりだけれど、あれは見えにくいとか全く感じませんでした。
それゆえ、そこが残念。


●市街地でのモビルスーツ戦は、ハサウェイがギギを連れて逃げ惑うシーン。
ここも映像も見どころです。
人間の目から見たモビルスーツ戦を描いています。
20メートルのロボット同士が戦えば、当然、物凄い被害になります。
住民がどんどん死にます。
実際に戦ったら、こんな風になるのでしょうね。
恐怖を感じるリアルさでした。
そういや昔、「ガンダムF91」という作品で、連邦軍のモビルスーツが撃ち放った後の薬きょうが、地面にどんどん落下するシーンがありました。
その薬きょうが、子供を抱えて逃げ惑う女性の頭に当たって死亡するシーンはインパクトがありました。


●本作は、モビルスーツだけではなく、細かい部分までCGを使っています。
炎、煙、蒸気、海の波のような自然現象。
モビルスーツのコックピット内に映し出される情報(単に機械の塊ではなく、コンピューター制御されたものなんだと感じられる)。
上映時間を短くした分、細かい部分まで行き届いた映像になっています。
背景は本物の映像を元にした感じなのですが、作品の世界観・現実的な内容にマッチしています。


現在、「ガンダムSEED」の劇場版が製作中ですが、あれも、モビルスーツの作画はCGがメインなのかな。
今年は、エヴァンゲリオン、ダイナゼノン、シドニアの騎士、閃光のハサウェイ・・・そして秋から始まるサンライズの新作「境界戦機」と、ロボットモノが立て続けです。
現在、CG技術の発達を十分に生かせるのはロボットだと思うので、これは嬉しいです。
手描きの線も好きですが、昨今の複雑なディテールのメカを表現するには、適していますからね。


●第2部はいつ公開かは分かりませんが、とても期待できる第1部でした。
私は原作を読んでますが、映像化に当たり「原作との間違い探し」とかする人間ではありません。
話しの展開が変わったっていい。
昔と今では世界情勢も、人の考えも変わっていますから。
ユニコーンガンダムが新世代のガンダムの始まりだと思っていましたが、本作の方が新世代を感じさせます。
映像のレベルが一段上がっています。
どうか、我々の想像を超える作品になっていってほしいです。

Posted by kanzaki at 2021年06月13日 19:34