2016年12月12日

映画「この世界の片隅に」を観た感想〜本当はこの世の中、一着の綺麗に仕立てた服より、いろんな柄のツギハギでつながったもののほうが綺麗で大切なんだと感じることができました


映画『この世界の片隅に』予告編

●劇場用長編アニメ「この世界の片隅に」公式サイト
http://konosekai.jp/


「この世界の片隅に」を観てきました。


・時代が時代なら、これはスタジオジブリが制作していたんだろうなあと思いました。
流れる空気は、ジブリです。
戦争を扱っていますが、今のお子さんでも、素直に鑑賞できるのではないでしょうか。


・戦争ものですが、私はどことなく「魔女の宅急便」のテイストを感じました。
両作品とも主人公は、大人しめの女の子。
見知らぬ土地、見知らぬ人の中で生活することになります。
唯一の能力が、「魔女の宅急便」では、ホウキで空を飛ぶこと。
「この世界の片隅に」は、上手に絵を描くこと。
後半、その能力が使えなくなったとき、主人公がどう現実と向き合い、前へ進むのかが見どころです。
あとでwikiで知ったのですが、本作品の片渕須直監督は当初、「魔女の宅急便」の監督として準備班を指揮していたのですね。
宮駿監督の現場復帰に伴い、演出補に退いたのだそうです。


・全編ほとんどに、主人公すず(声・のん(能年玲奈))が出ています。
主人公から観た世界だからでしょうか。
のんさんの声がいいのですよ。
普通に考えたら、アニメの声優には向いていないはずなのにです。
台詞以外の「はあ・・・」「ふえ〜」「へへへ」みたいな台詞にならない部分が自然でいい。
そして、普段はおとなしいけれど、がっと感情が湧き出す時の台詞が、すごく胸につきささります。


・戦時中の広島・呉が舞台。
段々畑みたいになったところから見下ろすと、戦艦大和などの軍艦などがあり、海軍の人たちが大勢いる日本一の軍港。
生活している人も、その関係者の家族。
まるで、「新世紀エヴァンゲリオン」の舞台となる「第3新東京市」みたいな特殊な場所だと思いました。
重要拠点なので、敵の戦闘機がひっきりなしに攻撃をしてきて、そのたびに、市民は避難しなくてはいけない。
映画を観て知ったのですが、大砲やら何やらを撃つと、いろんな破片がいたるところに吹き飛び、建物の屋根などに突き刺さってくるのですね。
戦闘機から落とされた爆弾は、空襲が終わって落ち着いた頃になってから時限爆弾のように爆発するものもある。
直接的な攻撃以外もあって、このなかで生活するというのは、本当に大変なんだなあと思いました。
主人公の心理描写を水彩画で表現したり、それこそTV版エヴァンゲリオンのラスト2話みたいな映像表現を使ってたりもしていました。
けれどそういう表現も、変に厨二病っぽくなく、とても自然に使われていました。


・当時の日々の生活が、とても細かく描かれていました。
ファンタジー・SFの舞台と違い、現実にあった本当のことですから、適当には描けません。
だからそれを再現するには、相当の取材量と、それを描く技術が必要だと思うのです。
その膨大な情報量を優しいテイストで画面に表現しているのが、すごいなあと感じました。


・どんなに戦争が深刻化していっても、ご飯を食べて、洗濯・掃除・繕いなど家事をして、またご飯を食べ、お風呂に入って寝るという繰り返しなんですね。
とにかく、食事を作って、みんなで食べる。食べる。食べる。
この繰り返しが、今につながっているのだと思うと、歴史の教科書に出てくる内容よりも、ものすごく「時」というものに深みを感じるのです。


・この主人公のすごいところは、自分の心の中に逃げ込まず、周囲のみなさんの中に飛び込んだことだと思います。
主人公自体、なにも特殊なことはできません。
けれど、いろんな人とのつながりを不器用ながらも頑張る。
今どきのアニメの主人公は、世間とのつながりを拒絶する傾向がありますが、それとは真逆です。
服のツギハギのようにつながる。
いろんな柄の生地がつながって、きれいな模様になる。
本当はこの世の中、一着のきれいに仕立てた服より、そういうものが大切なんでしょうね。


・私は戦争について詳しく知らないし、広島の時代背景も語れるだけの知識はありません。
劇中で描かれた広島の原子爆弾ですが、私の住む新潟も投下の候補だったそうですね。
もし投下されていたら、今とはまた違う歴史になっていたのでしょうね。
他界した祖父・祖母から、もっと戦争当時について聞いておけば良かったです。


・今を生きている私は、世界に影響を与えるようなすごいことができるわけではありません。
若い人も年配の人も中二病なこの世界では、異質なほうがもてはやされています。
そんな世の中ですが、私はとにかく日々、ご飯を食べ、働き、風呂に入って寝るを繰り返します。
社会とつながりをもち、このあたり前の生活を繰り返していこうと強く思いました。


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Posted by kanzaki at 2016年12月12日 21:09