2007年09月19日

映画「HERO」を見た感想【1】

先日、映画「HERO」を見ました。
その感想を書こうと思います。

この映画を見るまでが大変でした。
何故かと言いますと、テレビシリーズを一度も見た事が無かったからです。
当時、毎回30%を越える視聴率だった事や、男性視聴者も多い事をニュース等で知っていて興味はあったのですが、仕事が忙しくて見ることが出来ませんでした。
そして昨年のスペシャルも同様に、見ることが出来ませんでした。

流石に何の予備知識も無しに、テレビドラマの映画化作品を見るのは辛いと言うもの。
映画公開にあわせて、テレビシリーズの再放送をやっていたので、それらを全て録画しました。
しかし、1時間ドラマを1クール分、全てを見るのは大変ですよね。
そこで、録画した動画を変換して、全話をプレイステーションポータブルに入れてしまいました。
テレビの前で長時間そのままの姿勢でいるのは大変ですが、ポータブルプレーヤーで見るならば、スタイルフリーなので気軽に見ることが出来ます。
寝っ転がるのも自由、出先で見るのも自由。
作品の出来が良い事もあり、週末に一気に見ることができました。

hero01.jpg

しかし残念ながら、昨年のスペシャル版は再放送されなかったので、見ずして映画館へ足を運びました。

***********************************

(注釈)今度の日曜日に再放送があります。

「ドラマレジェンド HERO スペシャル」(仮)放送決定!

9月23日(日)21:00〜23:24「ドラマレジェンド HERO スペシャル」(仮)放送決定!!(フジテレビ系全国ネットにて)
連続ドラマから5年を経てスペシャルとして帰ってきた2006年放送の「HERO」に今回新たにスペシャルな演出を加え放送されることが決定!
連続ドラマ放送から5年の空白もすっと納得させ、視聴者から大反響を得、30.9%の高視聴率をたたき出した「HERO」を、今回2007年版として新たな演出を加えてお届けします。
映画の伏線ともなるストーリーが展開されるだけに映画を観た後でも、観る前でもぜひ見ていただければより映画を楽しんでいただけること間違いありません!
お見逃しなく!!!

***********************************

うーむ、23日のオンエアを見てから劇場へ行くべきでした。
映画の中の小ネタ等は、テレビシリーズよりも、(推測するに)スペシャル版のネタが中心だったからです。
テレビシリーズには出ていないキャラクターが突然現れても、私には理解できず、楽しむ事ができませんでした。

そもそも、何で今の時期に「HERO」を映画化したのでしょうかね。
テレビのスペシャルをやるまでの5年間、この作品を放ったらかしにしておいて。

同局がやはり映画化した「踊る大走査線」の場合、テレビシリーズからそれほど間を置かずにテレビスペシャルを二本オンエアし、映画へ繋げました。
少しずつ、「踊る〜」の世界観が構築されていき、それに比例してじわりじわりと人気を上げていき、大きなムーブメントになったように思います。
つまり、製作側と視聴者側の両方から育てていった感じです。

「HERO」にはそういう流れが無いせいか、スロースタートなような気がしました。
勿論、現在において唯一、主演の役者一人で視聴率を稼げる男・木村拓哉さんが主演する映画ですから、人気が無い訳がありません。
実際、私が映画を見た日も、館内は満杯でした。
興行収入も良いみたいです。
けれど、世の中的には「社会現象」とは言えないように思います。
ファンの熱気と言うのが無いんですよね。

でもまあ、実際に見た感想としては、非常に楽しめました。
色々と不満が無い訳ではありません。
しかし、2時間を越える映画で、派手な映像や派手な内容でも無いのに、飽きさせずに最後まで見させたのはお見事だと思います。
特に、クライマックスの法廷での木村さん演じる主人公・久利生公平の長丁場は、とても良かったですね。
作品に引き込まれましたよ。
あの人、ただのアイドルじゃないわ。
きっと、こういう事を書くと、自称映画通な人からは鼻で笑われるかもしれないけれど、実際にそう思ったのだから仕方が無い。

この作品の魅力は、「派手じゃない」ところでしょう。
映画版の中で起こる事件は、社会全体から見たら、本当に小さな殺人事件です(政治家の話しはあくまでサブ)。
そういう小さな事件でもおろそかにしない姿勢。
作品と言いますか、この主人公のキャラは良く描けていたと思います。
主人公・久利生公平のキャラはテレビシリーズ初期から、全くぶれずに描かれていますね。
これは製作側が一貫して、検察のあり方を問い、現実的な検察の理想を描いているからでしょう。
志に芯があるから、この主人公を魅力的に描けるのだと思います。
変なキャラ設定で好評を博した「トリック」の主人公とは、キャラの創作過程が違うのでしょう(あの作品も大好きですが)。

この主人公は、他のミステリー作品の主人公のような驚異的な推理力がある訳ではありません。
仕事の最中も私服だと言う事や、通販の健康グッズ好きと言う部分以外、飛びぬけた特徴がありません。
事件を解決する手がかりを見つけるのも、偶然なんかじゃなくて、地味に足を使って捜査をした末に得られるものばかりです。
木村さんが演じるドラマの主人公って、どの作品も殆ど同じなのですが、この作品ではその「木村カラー」がかなり抑えられています。
無理に木村カラーを出さなくても、製作側が自然とドラマの中にエッセンスとして嫌味なく取り入れているおかげかも。
だから木村さん自身も、「木村拓哉」を演じる必要が無かったのでしょう。

普通ならば自分にとって有益なものを優先するはずなのに、この主人公はそんな事をせず、常に事件の被害者の為に戦っている。
その事件解明の為ならば、普通だったらやらないような他愛ないことでも頑張って行う。
青臭いと他人は言うかもしれないけれど、内心、誰もがそれを良いことだと思い、素直に動けるのを羨ましいと思っている。
そしていつの間にやら、そいつを応援している(観客は作品の中で動く事が出来ないから、劇中の脇役達が、その行動を代わりにやってくれる)。
みんなを引き込ませる魅力。
この主人公は、本当にいいなあと思います。

ストーリー中心の作品は骨太で社会派な作品に多いのですが、そういう作品の場合、キャラがストーリーを展開させる為だけのコマになっている事が多いです。
私はそういう作品より、キャラ中心の作品の方が好きです。

【続く】

●次回の記事:
神崎のナナメ読み: 映画「HERO」を見た感想【2】
http://kanzaki.sub.jp/archives/001538.html

Posted by kanzaki at 2007年09月19日 21:24