2012年03月21日

元少年シャンプ編集長・鳥嶋和彦さん(Dr.マシリト)は新潟県出身(2)〜打ち切り寸前だった「ドラゴンボール」が人気浮上した理由

それで結局、「相棒」の新相棒は誰なの?
最終回で発表されませんでしたよね。
明日にでも記者会見するのでしょうかね。
噂通り、水嶋ヒロさんや向井理さんなのか。
私の予想は、長谷川博己さんなのですが。

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左の写真は、1980年ころの鳥山さん(左)と鳥嶋さん(右)です。
アフロ田中でも、宇宙兄弟でもありません。

●【前回の記事】元少年シャンプ編集長・鳥嶋和彦さん(Dr.マシリト)は新潟県出身(1)〜Dr.スランプの主人公が女の子へ変更した理由
http://kanzaki.sub.jp/archives/002604.html

以下、地元新聞紙に答えた鳥嶋さんのインタビューです。

【ドラゴンボール誕生秘話】

鳥山明先生の「Dr.スランプ」は大人気となり、アニメにもなりました。
人気とは裏腹に、鳥山さんは漫画連載を辞めたがっていました。

鳥山さんは執筆場である愛知県から上京し、鳥嶋さんに黙って編集長と辞める約束をしてしまいました。
1984年迄の4年余りで終了しました。

連載を辞める条件は、代わりの作品を出すことでした。
新連載の基になる読み切りをジャンプに掲載したのですが、なかなか人気が取れませんでした。

鳥嶋さんは普段、鳥山さんと電話・FAXで打ち合わせをしています。
どうにもらちが明かないので、鳥山さんの自宅へ行きました。
なかなか良いアイディアが出ません。
そんな時、奥さんの一言がヒントになりました。

「この人はジャッキー・チェンのカンフー映画を見ながら漫画を描くんです」

そんなに好きならカンフーを題材にしたものを描こうということになりました。
2話の読み切りを掲載したところ、読者アンケートで1位になり、新作の準備にとりかかりました。

【打ち切り寸前だったドラゴンボール】

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誕生した漫画は「ドラゴンボール」です。
武術を操る主人公・孫悟空の活躍する物語です。

1984年から1995年まで連載。
単行本は1億5千万部以上売れました。
アニメは世界的にヒットしました。

連載当初は好調でした。
やがて10週目くらいからベスト10からはずれました。
このままだと連載打ち切りです。
あやうく、「ご愛読ありがとうございました!!鳥山先生の次回作にご期待下さい!!!」になってしまうところでした。

鳥嶋さんと鳥山さんは毎日電話して分析しました。
結論は、「主人公の"強くなりたい"というキャラクターが生かされていない」ということでした。
そこで登場人物を絞り込み、「(亀仙人のところで)修行」をさせることにしました。
その途端、人気が回復しました。

当時、ジャンプで一番人気は「北斗の拳」でした。
どうやって、その作品を追い抜くか。
鳥山さんの絵には奥行きとスピードがあります。
これを生かし、「天下一武闘会」という武術大会で悟空が強くなった姿を描きました。
数週間には北斗の拳を抜き、ずっとトップになりました。

【ピッコロ大魔王誕生】

鳥山&鳥嶋コンビは、本格的ストーリー漫画を目指しました。
その頃、物語の展開の軸になる「悪役」がいませんでした。

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鳥山さんは「悪者をイメージ出来ない」と言います。
鳥嶋さんは毎日、電話で歴史上の人物の話しをしました。
例えば、ローマ皇帝ネロは人が苦しんだり悲鳴を上げたりするのが何より楽しいとか。
そこから鳥山さんは、「ピッコロ大魔王」という悪役を作り上げました。
実は、そのモデルは鳥嶋さんだそうです。
Dr.マシリトの再来。
また、その頃から、絵柄が丸い線からシャープに変わりました。

【悟空が大きくなった】

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次の壁は、「悟空の体のサイズ」でした。
3頭身で腕も短く、本格的な戦闘シーンを描くには限界があります。
鳥山さんは、「悟空を大きくしたい」と言いました。
漫画のセオリーは、いかに主人公を読者に浸透させるかです。
身長を伸ばすと、主人公を替えることになってしまいます。
悩んだ末、設定を数年後に変えて身長を伸ばしました。
しかし、心配していた人気は衰えることはありませんでした。

鳥嶋さんは10年間、鳥山さんの担当をしました。
今も数ヶ月に一回、電話したり会っているそうです。
今はなかなか仕事をせず「コマを割る(漫画を描こうとする)とくしゃみが止まらない」と言っているそうです。

※※※

私もその頃はジャンプを毎週読んでいたので、どんどん物語の形が変わっていくのをリアルで体験しました。
ジャンプは人気が無ければ打ち切りなので、同じ漫画でも、途中から路線変更は当たり前です。
その先駆けは、「キン肉マン」でしょうかね。
ただ、どの漫画もテコ入れとして似たようなパターンばかりだったので、さすがに私も途中から買わなくなりました。
スピリッツとかヤングサンデーに目が向きました。

今、唯一読んでいるのは「アフロ田中」だけになってしまいました。
しかも、病院の待合室かコンビニで立ち読み。
なんというか、あれは出来の悪い親戚を観察するような感じです。

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漫画が嫌いになったわけじゃないのですが、いつの間にか読まなくなるものですね。
ちなみに最後にインパクトを受けた漫画は「寄生獣」です。

●寄生獣 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%84%E7%94%9F%E7%8D%A3

グロさの中にも真理があり、一気に読んでしまいました。
ハリウッド実写映画化が予定されているそうです。

ハリウッド版ドラゴンボール「DRAGONBALL EVOLUTION」の二の舞にだけはならないでね。
あの映画は賛否両論じゃなく、否定しか巻き起こりませんでしたから。



●関連記事: サッカーJ1アルビレックス新潟が、映画「ドラゴンボールZ 神と神」とのタイアップキャンペーンを実施〜3月9日ホーム開幕戦の特製ポスターを作成
http://kanzaki.sub.jp/archives/002848.html

Posted by kanzaki at 2012年03月21日 23:17