2015年03月10日

映画「ショーシャンクの空に(日本公開1995年)」を観た感想〜20年を経てなお色褪せないのは、そこに「希望」があるから

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作家のゴア・ヴィダルは、こんな事を語っています。


「友人が成功するたびに、私は少しずつ死んでゆく」


祝福をしつつも、心のどこかで誰しもが感じるものです。
特に、自分の心が弱っている時はね。


これは友人に限りません。
相手が自分とは無関係な人だったとしても(TVショーの有名人とか)、勝手に比較して落ち込みます。


同じような事をしていても、その才能を認められず、自分は貧しい生活を送っている。
こんな暗い下水道のような人生をいつまで這いずり回るのかと。


大人になると、心が少しずつ死んでゆくものです。
「心が折れる」というような強力なショックではありません。
日々の生活の中で、ちょっとした事で傷つくのです。
少しずつ、少しずつ、まるで小型のロックハンマーで壁を削るように、心が欠けてゆくのです。


心が再生することだってあるじゃないかと言う人もいます。
多分、それはNO。
一度欠けた心は再生しないと思います。
しかし人は、減った中で工夫して、歩み続けないといけないのです。


大抵の人は、ちょっと心が欠けただけで、その歩みを止めてしまいます。
自暴自棄になって脇道へそれ、二度と元へ戻れない事もある。


しかし世の中には、決めた道への歩みを止めない人もいます。
その歩みは遅く、誰が見ていなくても、少しづつ、少しずつ進んでいく。
途中、幾度と心が欠けるような事があっても、尚、続けるのです。


その違いは、なんでしょう。
多分それは、「希望」です。


「希望」というのは決して、綺麗なモノでもないし、信じたからといって約束された将来があるわけでもありません
それでも人はこの漢字二文字に託し、自分自身で解決しようとするのです。


本当に強い人というのは、こういう人の事なんじゃないかな。



そんな強い人が主人公の映画があります。
映画「ショーシャンクの空に」です。


1月1日、NHK BSプレミアムにて放送されました。
ようやく録画したものを観ました。
否、自分の心が本当に強く求めたのが、「今」だったのでしょう。
映画や本というのは本当に不思議なもので、望むべくものが、タイミングよく具現化して目の前にあらわれます。
この作品も、定期的に私の前にあらわれます。


この映画は、1994年(日本は1995年)に公開された作品です。
20年も前になるのですが、この映画を好きな人(特に男性)は多いことでしょう。
この映画ほど、「希望」を信じて諦めなかった主人公はいないからです。


主人公は何十年もの間、諦めなかった。
表情に大きく出すことはあまり無いし、まわりは気付かないけれど。
本人の才能もあるけれど、やはり最後は、希望を信じて諦めなかったのがハッピーエンドにつながった。
これほど不屈な精神は、普通の人にありません。
だから平凡な私のような男には、ヒーローなのです(マントをつけて空を飛ぶようなことはなくても)。


主人公・アンディーの良き友人となるレッド(役者:モーガン・フリーマン)。
彼は、私達に近い存在です。
彼も希望が無いわけではない。
けれど、あきらめも襲ってくる。
希望とあきらめが交錯し続けるのです。
けれど最後は、希望が勝った。
主人公の存在が大きかったからです。


最後のメキシコのあの青い海。
人間賛歌に相応しい景色でしたね。


20年も前の映画を今、この時期に感想を書くのは私ぐらいでしょう。
でも、色褪せないこの物語をまだ観ぬ人(心が求めている人)に伝えたいものです。



【映画データ】



●Amazon.co.jp: ショーシャンクの空に [Blu-ray]
http://www.amazon.co.jp/dp/B003GQSYHQ/

ショーシャンクの空に
1994年(日本公開1995年)・アメリカ
監督 フランク・ダラボン
出演
ティム・ロビンス,モーガン・フリーマン,
ウィリアム・サドラー,ボブ・ガントン,クランシー・ブラウン,
ギル・ベローズ,マーク・ロルストン,ジェームズ・ホイットモア

1949年、妻とその浮気相手を殺害した罪で終身刑の判決を言い渡されたアンディーはショーシャンク刑務所に収監される。物静かなたたずまいを見せるアンディーだったが、元銀行員の知識と不屈の精神によって、尊厳を取り戻し、そして自らの運命の切り開いていく…。


●ショーシャンクの空に - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%81%AE%E7%A9%BA%E3%81%AB


『ショーシャンクの空に』(原題:The Shawshank Redemption)は、1994年に公開されたアメリカ映画。刑務所内の人間関係を通して、冤罪によって投獄された有能な銀行員が、腐敗した刑務所の中でも希望を捨てず生き抜いていくヒューマン・ドラマ。
原作はスティーブン・キングの中編小説『刑務所のリタ・ヘイワース(Rita Hayworth and Shawshank Redemption)』。
監督・脚本はフランク・ダラボンが務め、彼の初監督作品でもある。
原題の「The Shawshank Redemption」は直訳すると「ショーシャンクの贖い」になる(作品解説も参照のこと)。
本作は興行的には成功したとはいえないが、批評家達からの評価は高く、AFIのアメリカ映画ベスト100(10周年エディション)において72位にランクインしており、日本では1995年のキネマ旬報ベストワン(洋画)に選ばれている。
また受賞には至らなかったが、第67回アカデミー賞で7部門にノミネートされた。

Posted by kanzaki at 2015年03月10日 21:55