2004年04月15日

ビートたけしの21世紀毒談【いかりや長介さん】

北野 武さんと、たけし軍団の皆さんが出演している番組があります。
Sky PerfecTV!のフジテレビ721で毎週土曜日好評放送中の「チャンネル北野」です。

「チャンネル北野」オフィシャルサイト
http://www.office-kitano.co.jp/channel-kitano/

その番組のコーナーで、「ビートたけしの21世紀毒談」というモノがあります。
今回は、先日お亡くなりになられた、いかりや 長介さんについて語られていました。
この二人から連想するのは、土曜夜8時の「俺達ひょうきん族」「8時だよ!全員集合」でしょう。
云ってみれば、二人はお笑い界のライバル。
そして時代は移り、北野 武さんは「座頭市」等で映画監督兼俳優、いかりや 長介さんは「踊る大捜査線」等で俳優活動。
共に大成功を収めております。
昨年、神ナナにて、お二人の出演されている映画について書いた事があったので、以下へ記しておきます。

映画「座頭市」(September 22, 2003)
http://kanzaki.sub.jp/archives/000044.html

映画「踊る大捜査線2」(September 13, 2003)
http://kanzaki.sub.jp/archives/000045.html

私の、いかりや 長介さんについての思い出話しというと、あくまでテレビの視聴者としてのスタンスでしか語れず、また、どうしても英雄化・美談としてまとめてしまいそうです。
同業者でありながら、少し離れた場所から見た人物像というものは、なかなか興味深いものだと思います。
そこでここは一つ「チャンネル北野」内で語られた、北野さんから見た、いかりやさんのお話しを聞きたいと思います。

ホームビデオカメラで撮影した画面。
撮影場所は、テレビ局の控え室。
北野さんは椅子に腰掛け、タバコを吸っています。
聞き役は、スタッフ(画面には登場せず、声だけの出演)。
控え室で雑談をしているような、ラフな形での収録です。
それ故、北野さんの本音が聞こえてきます。

○ひょうきん族 vs 全員集合

北野
ひょうきん族には(俳優などの)スターなんて出ていなかったから、その分、お笑いの連続でやるべきだったんだろうね。
全員集合は舞台的にちゃんとしたお笑いをやっていて、それだけでも充分なのに、当時のアイドルなんかも起用していたなあ。
お笑いだけのひょうきん族の方が、お笑いについてしっかりしていない感じだったね。


○いかりや 長介さんは役者として、結構、活躍していましたよね。「独眼流正宗」とか。

北野
さすがのいかりやさんも、全員集合が終わってから、(役者として認められるまで)相当かかっているんだよね。
お笑いの人が、役者として認められるには時間がかかるよね。
「オイッス!」というイメージが残っていると、それだけで役者として見てくれないし。
最近「いかりやさん、いい味出しているよね」と云われるけれど、それまでには時間がかかっているんだ。


○そういう難しさがある中、武さんは、お笑いと役者のを両方やっていらっしゃいますよね。

北野
俺も「線場のメリークリスマス」をやって、あの時、みんなに笑われてから10年かかったなあ。
両方ともやれるという風に認識されるには時間がかかるね。


○今朝の新聞で、高田文夫先生が、66年のビートルズ来日の際、ドリフターズの前座を見たと書いてありましたが、武さんはビートルズをご覧になられましたか?

北野
見てない。いかりやさんは死んじゃうし、長島さんは倒れるし、いよいよ俺の番だなあ・・・。
そろそろ、お迎えが来るかなあ・・・


○いかりやさんは72歳ですよ。長島さんだって、確か68歳。

北野
もうちょとだなあ(冗談ぽく)。


○いかりやさんとお話しした事は?

北野
何回か番組で会った事があるけれど、一番長く隣同士でずっと話したのは、何年か前の「世界まる見え」の打ち上げの時だね。
なんかすごい敬語を使うの。
「武さん」って(笑)。
だから俺も「いかりやさん」て呼んじゃうんだけれど。
俺が番組で、シャンパンか何かを振り回して大暴れして、スッ転んだの。
いかりやさんが、それを見ていて、
「あんた上手くやるねぇ。シャンパンを持ちながら、一番良いところで倒れる所を探しているんだから。あそこの位置じゃなきゃ、倒れる時に皆から見えないもんね」
って云うんだよ。
ああ、舞台の人なんだなあって思ったなあ。


○今となっては遅いのですが、武さんといかりやさんのツーショットをじっくりと見たかった気がしますね。

北野
(しばし間をおいて)いかりやさんは、メンバーをまとめるの大変だったろうね。
ドリフターズのメンバーの中にいて、商売としては一番つまんないポジションだもの。
ツッコミ役に徹してやっているんだから。
あのメンバー達を活かすのは大変だったろうね。
その代わり、しっかりギャラは沢山もらっていた(笑)。
志村けんも「いかりやの野郎、みんな金を持っていきやがる」って云ってたね。


○欽ちゃんもそうだけれど、長い会議から面白いネタとか出てくるものなのですか?
そういう儀式が必要なのかなあ。

北野
まあ、みんなで笑ったネタは、ウケねぇよなぁ。
その場で笑ったネタは、その場で消化しちゃっているから。
ちゃんと、くだらない事をくだらなく見せる練習ってのがあって、(ガタルカナル・)タカが、「座頭市」で頭をポカッて叩かれる場面は、順番を覚えて稽古しなくてはいけなくて、見た目は簡単なんだけれど、3か月ぐらいかかってるんだよなぁ。
ただタイミングをずらすだけのギャグなんだけれど、あれは時間がかかっている。
ドリフはちゃんと練習して、リズムとかを合わせてやっているけれど、ひょうきん族は練習を一切せずにやった。
アドリブだらけだったね。
その時は、それで良かったのかなあ(自問自答)。
本当は、アドリブとか嫌いだった。
漫才をやっていたからね。
番組中、せめてコントぐらいは、ネタをちゃんと考えてやりたいと思ったんだけれど、如何せん全員のスケジュールが合わない。
忙しくて、他にレギュラーを何本も持っている奴ばかりだったから。
ドリフのレギュラーは、1本か2本。
後は特番をやるぐらい。
だから、あれだけのモノを出来たんだと思うよ。


・・・武さんも、全員集合の「ちゃんと考えて作られたお笑い」に対して、敬意を示しているようですね。
そういや最近、そういう練りに練って作るお笑い番組が少ないですね。
その場のノリで行うバラエティ番組ばかり。
その方が事前に練習をしなくても、タレントさんが現場に来てすぐに収録が出来て、簡単に作成できますからね。
ウッチャンナンチャン、ネプチューン達が「笑う犬の生活」を深夜にやっていた時、放映時間は30分だけれど、実際は相当製作に時間が費やされているよなあと感心していました。
ゴールデンタイムへ進出して1時間番組になったら、コント以外の即席で作られたようなコーナーが増えてつまらなくなっていきました。
とんねるずの「みなさんのおかげです」も、当初はコント満載だったのに、今では、「食わず嫌い」とか、コント以外のコーナーばかりになってしまいました。
やはり時間のかかるモノは、継続しにくい大変なモノなんでしょうね。
大昔、タモリさんが「今夜は最高」という番組をやっていました。
これも好評だったのですが、楽器の練習等に数日を要し、製作にとても大変すぎて終わりました。
現在も時間をかけて作成しているコントと云うと、スマップの「SMAP×SMAP」ではないでしょうか?
あれだけ忙しいメンバー達ですが、週に二日、この番組の為に完全に時間を割いて作成しているそうです。
スタッフとSMAPの連携と集中力無しでは成立しえない番組でしょうね。
手の込んだものを継続してやっていこうとする努力は、本当に尊敬します。

私の運営する神ナナも、毎日更新するという無謀な事をやっています。
ドリフの「全員集合」と違い、全員が顔を揃えないと作成できない訳ではありません。
とにかく本人が時間を割いて書く事を続ければ良い訳です。
ジャンルを特定していないので、世間の全方向にアンテナを張り巡らし、ネタを考えている毎日です。
正直、大変です。
けれど、本人が限界ギリギリの所で必死になって考えてやっているモノは、その熱意とか完成度とかが、必ず読者へ伝わるものだと考えています。
「全員集合」のように、ちゃんと考えて作ったモノを提供していきたいと思います。

Posted by kanzaki at 2004年04月15日 07:00 | トラックバック (0)
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