2012年02月21日

「ない」から生まれる力〜水球日本代表・中野由美さん

日経のスポーツ欄に、『「ない」から生まれる力』というタイトルのコラムがありました。
それは、女子の水球界の話しでした。

女子の水球は、国内で試合がありません。
せいぜい、日本選手権ぐらい。

チームメイトもバラバラ。
メンバーの顔合わせが試合当日なんてこともあるそうです。
エキサイティングすると、すぐに水着も駄目になるのでお金もかかります。

それでも、水球もやめなかった選手がいます。
水球日本代表・中野由美さんです。

nakanoyumi01.JPG

●中野由美-水球日本代表PoseidonJapan
http://poseidonjapan.net/YumiNakano.html

ドライバー
1986年7月1日生まれ
兵庫県出身
160cm B型 左利き
所属:藤村スイムスクール/都立桜町高校教諭
代表初出場:2005年1月(サザンクロストーナメント)

学生時代、水球留学の為、兵庫から東京へ上京しました。
現在25歳。
高校教員をしながらプールで練習しています。

実は、一度は製薬会社の社員になったのですが、水球への情熱から3か月で退社しています。
彼女にとって、水球は自分の人生の中心柱なのです。

中野さんは、水球に打ち込める環境が無くても、塞ぎこんだりしません。

中野
「だって、ないから。自分で動き、つくっていくしかない」

マイナー競技に「ない」はつきものです。
けれど、「ない」から生まれる工夫や力があるものです。

私のようなスポーツを観る側の人達は、そうやってひたむきに努力している選手たちに共感し、応援します。

なでしこジャパンだって、女子サッカーW杯で世界一になるまでは、多くの人達が興味を示しませんでした。
練習する環境だって、満足なものではありません。
選手の皆さんたちは、サッカーだけに時間を費やすことは出来ず、別に仕事をして生計を立てなければいけません。

女子サッカーで有名どころである「INAC神戸」ですら、給料は月額10万円前後です。
それでも、昼間に練習できるだけ優遇されている方です。
昼に、温泉旅館の仲居、農家という選手もいるそうです。
そういう方達は、夜に練習しなければいけません。

水球のプロ選手で青柳 勧(あおやぎ かん)さんという方がいます。

●プロ水球選手 青柳勧のオフィシャルウェブサイト「A」 AOYAGIKAN.COM
http://www.aoyagikan.com/

彼は2009年10月から新潟産業大学で教員を勤めています。
彼は水球を続けていく為、その道へ進みました。
その時の心境を自身の下記ブログで書いています。

●「2つの理由」
http://www.aoyagikan-blog.com/?eid=217

2016年には私は36歳になっています。 私が36歳までプロ選手として海外でプレーすることは、問題はないことですが、残念ながらプロの世界では、その後の生活が保障されているわけではありません。 水球が好きならば「水球では一生飯を食っていけない」と言って夢をあきらめるのではなく、「水球関係で飯を食い、競技を続ける」というのが現実的で、リスクが少ないことだと思うのです。 そこでこの新潟産業大学のお話を頂、この大学を基盤として、 2016年まで競技を続けさせていただこうと思い決意させて頂きました。

スポーツに限らず、文学・芸術などの分野でも、好きな事でご飯を食べていくのは本当に難しい事です。
特にスポーツの場合、肉体には加齢と共に「老い」がありますから、一生プレイ出来るわけではありません。
怪我で苦しむこともあります。
かなりハイリスクです。

きらびやかなスポーツ選手生活が出来るのはごく一握りだけ。
多くの選手には、いろんな「ない」の言葉がつきまといます。

そんな辛い環境でも、好きな事の為に貫き通す姿勢。
スポーツ選手の、そんなメンタルの強さに尊敬します。

長い人生の中、一生懸命やってもなかなか芽がでない。
そんな時間が長く続くと、挫折へ向かってしまいす。
そんな迷いの時期に読むのに良い本があります。

●一生折れない自信のつくり方(著・青木仁志)
http://amazon.jp/dp/4902222795

自信がある人には、多くの共通点があります。
例えば、「逆境は最大のチャンス」と思えたり、毎日を一生懸命に生きていたり、他者への感謝を忘れないところです。

人生は、先天的特質、環境、本人の選択が組み合わさって決まります。
決して生まれつきのものだけで決まるわけではありません。
人生は、自らの力で後天的に変えられるのです。

他人や自分の過去と比べるんてことはせず、勝つことよりも強くなることが大切だという発想が自信へ繋がります。
自分の人生は、自分で舵をとりましょう。
誰のものでもありません。
自分の人生です。
「すべて自分の生み出した結果なんだ」と思えるような生き方が大切です。

冒頭で紹介したコラムを読んで、この本の内容を思い出しました。

Posted by kanzaki at 2012年02月21日 21:35