2022年05月01日

映画「Ribbon」(監督・脚本のん)の感想〜芸術作品が完成するまでを描いたとても理系な構成の作品

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●映画「Ribbon」公式サイト
https://www.ribbon-movie.com/

監督/脚本/企画 のん

【あらすじ】
女優のんが、劇場公開の長編映画で初メガホンをとり、自ら主演・脚本も務めた青春ドラマ。
コロナ禍の2020年。
美大生の主人公は大学の卒業制作展が中止となり、1年かけて制作した作品を持ち帰ることに。
絵を描くことに夢中になるきっかけをくれた同級生との再会や、友人との本音の衝突によって心を動かされた主人公は、自分の未来を切り開くため立ち上がる。


【映画「Ribbon」】主題歌入り予告篇30秒2022年2月25日(金)ロードショー



映画「Ribbon」メイキング


※※※


【感想】


新潟市での公開は全国でも遅い方だったのですが、ようやく鑑賞することが出来ました。
夜の時間帯だったので、なんと私一人しかいませんでした。
大きなスクリーンを独り占めしての鑑賞となりました。


コロナ禍で、一度は"ゴミ"となった自分の作った芸術作品。
いろんな出来事を経て、再びきちんと一つの作品として作り上げるまでのお話しです。
タイトル「Ribbon」は、「Reborn(再生、生まれ変わり)」を意味しているのではないでしょうか。


折々でCGで描かれたリボンが動き回るのですが、主人公とリボンの関係性・必要性みたいなものは語られていません。
子供の頃は、髪にリボンをつけるのが好きな女の子だったとか、そういうエピソードは無し。
やはり、「Reborn」という意味ありきなのかな。


初の長編作品ということですが、話しの構成がきちんとしています。
扱っているのは芸術ですが、構成は理系です。
ちゃんと迷うことなくゴールへ向かって進んでいく展開なので、観客は不安を感じずに見終えることができました。


一つの芸術作品を作り上げるというゴールがあり、その完成をさせるには、様々な部品・経験・やる気が必要です。
そういった一つ一つの要素を少しずつ集めていきます。
それを劇中で一つ一つ時間をかけて描いていきます。


ひとつのエピソードごとに、画面に登場するのは基本2名だけ。
のんが演じる主人公と、もう一人(友達や家族など)が会話して展開します。
2人芝居みたいな感じなので、無駄な登場人物がいないのです。
初の長編作品ということだそうですが、画面の構成や人数がシンプルだから、観ている方も理解しやすいです。


アート系というか創作過程を描いた作品としては、かなりまともな作品だと思いました。
大抵、アート系は自分の心に向かって崩壊しがちなのに、ちゃんと外へ向かって感情が動いていたからです。
この路線、意外と今は創る人がいないから、監督業としても大成するのではないでしょうか。


のんさんの演技といえば、「怒り」の表現が代名詞です。
この作品でもいかんなく発揮していました。
もう「怒り」とかの心を爆発する演技に頼らなくても問題ないなとも思いました。
強みではあるのですが、個人業ではなく監督業としてまとめていくなら、その感情は封印してよいと思うのです。


のんさんは、相手を思う優しい心も兼ね備えた女優さんでありクリエイターです。
今回の作品でそれを強く思ったのが、中学時代の同級生である青年との再会です。


この青年の性格が、とても穏やかなんです。
このコロナ禍で擦り切れた心を癒してくれます。
この性格、感情こそが今の社会状況に必要だし、ちゃんと描けてましたよ。


のんさんのイメージって、私には下記のCMのような感じがあります。
現在は28歳。
20代で様々な表現をしてきましたが、これからの創作も楽しみですね。



2篇 能年玲奈 のん CM LINEモバイル 「愛と革新。デビュー」「交差点」


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●映画『私をくいとめて』を観た感想〜のん(能年玲奈さん)以外で、「怒」の感情で評価される若手女優さんを私は知りません。共感できる「怒」の演技に注目してください
http://kanzaki.sub.jp/archives/004752.html


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Posted by kanzaki at 2022年05月01日 20:39