2017年04月16日

映画「夜は短し歩けよ乙女」を観た感想〜押井守監督のTVアニメ「うる星やつら」のようなサブカル系なノリが好きな人向け。観客は「私、普段はアニメは観ないんです」と言いそうな女性ばかりで驚きました

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(この前、木村拓哉さんが新潟市の試写会に来ていました。地元の番組出演の際、とても礼儀正しい方でしたよ)



『夜は短し歩けよ乙女』 90秒予告


●映画『夜は短し歩けよ乙女』公式サイト
http://kurokaminootome.com/


映画「夜は短し歩けよ乙女」を観てきました。
以下、その感想です。


・日曜の昼間の公演。
かなり大きなスクリーンでの上映でしたが、半分ぐらいはお客が埋まっていました。
客層は、ほとんど若い女性でした。
「私、普段はアニメは観ないんです」と言いそうな人ばかり。
アニヲタ風情は私ぐらいです。
サブカル好き女子を映画館へ足を運ばせる魅力があるのですから大したものです。


・星野源さんをはじめとする芸能人が声優をやっています。
みんな上手で、まったく違和感がありませんでした。
誇張された舞台劇調のストーリーに、本当にピッタリ。こ
れには驚きました。


・勢いのある台詞の応酬で、サブカル系演劇集団の舞台のノリでした。
台詞を一字一句追いかけて理解しても、あまり意味がないと思います。
台詞はノリだけ追っていけばいい。
ストーリーはあってないようなものなので、起承転結のしっかりした現代劇を期待すると90分でも辛いと思います。


・京都の一夜のお話し。
酒場、古本市、学園祭など、いろんな場所で登場人物たちがドタバタ大騒ぎをします。

まだフジテレビが元気な頃の、大人向け深夜アニメという感じ。
・・・否、それより、押井守監督のTVアニメ「うる星やつら」の方がノリ的に近いかも。

高橋留美子先生原作の漫画「うる星やつら」ではなく、押井守テイストのアニメ「うる星やつら」です。
小説、演劇、サブカル好きが構築した不条理とエロが混じったもの。
ホイチョイ・プロダクションズのエッセンスも入っているかも。


・私は原作を知らないし、公式サイトもチェックせず、予備知識無しで映画を観ました。
サブカル系ドタバタ劇は嫌いじゃあないです。
けれど、あまりにも全キャラクターに「心」が無さすぎ。
各場面でストーリーを展開するための「駒」にしかなっていません。


・女の主人公「黒髪の乙女」はハイスペックすぎて、すべてなんでもこなしてしまうから、葛藤もなにもありません。
それでいて、劇中でいろんな人達から好感を持たれるのですから、ちょっと嫉妬してしまいます。

男の主人公「先輩」が黒髪の乙女を好きというのも、「設定」としてだけで観客には伝わってこない。
なんか単に、「おっぱいが揉みたい」だけなんじゃないかと思ってしまう。
男の登場人物達はすべて、それが原動力になっているように思ってしまうのは、私の勘違いでしょうか?

誰一人人間味が無い「駒」なので、最後ぐらいはちゃんとしてほしかったなあ。
人間味が無いのならないでかまわないけれど、せめてオシャレでウマイと思わせる台詞を語ってほしかったです。

ドタバタ劇というのは、一言でいいから、もの凄く印象に残る真面目な「名台詞」があるからいいんであって、終始不条理な展開をだけ見せられるだけだと疲れるだけです。


・新潟県人的には、亀田製菓の米菓「ハッピーターン」という言葉が出てきたことと、「久保田」という新潟の日本酒が背景に描かれていたことがツボかな。


・京都が舞台です。
新しさと古さが同居している街なんだろうなあと思いました。

夜の古本市「下鴨納涼古本まつり」が魅力的でした。
京都には三大古本まつり(春の古書大即売会・下鴨納涼古本まつり・秋の古本まつり)があるそうなのですが、ちょっと興味があります。
新潟には、そういうの無いですから。

もうちょっと、他県の人が観ても「京都っていいなあ」という描き方をしてほしかったなあ。
正直、描き方的には別段、東京でもかまわない感じでしたから。

Posted by kanzaki at 2017年04月16日 22:11