2004年03月04日

ゼブラーマン【5】

前回の続き


新市さんは宙を飛び、巨大な宇宙人と対峙します。
昔の特撮ヒーローならば、ここで「白と黒のエクスタシー! ゼブラーマン!」と名乗りをあげていたことでしょう。
しかし何故、云わなかったか?
それはきっと、自分はテレビのゼブラーマンではないと自覚しているからだと思います。
そして今の自分は、ゼブラーマンのコスチュームを着た「市川新市」という一人の人間として、みんなを救いたいという想いがあったからだと考えます。
なんだか、仮面ライダーアギトの最終回を思い出しますねぇ。
主役の仮面ライダー3人のうち、G3−Xというライダーに変身する人は、特別な能力を持っている訳ではありません。
そもそもG3−Xは、パワードスーツでして、それを普通の人が装着して戦うだけなのです。
ある意味、ゼブラーマンに近い存在。
しかしG3−Xを装着した若き警察官は、他のライダーと同じぐらいの強さで敵と戦います。
敵の怪人が、G3−Xがあまりにも強いので、「お前は何者だ!」と問います。
それに対し彼は、「俺は、ただの人間だ!」と叫びました。
あくまで自分は一人の人間として戦ったのです。
もの凄い燃え展開。
今回のゼブラーマンも、普通の人間が使命感を持って戦うところに、燃える要素があるんですよね。
ゼブラーマンは果敢に挑みます。
そして遂に、ゼブラーマンは究極の姿へ変身し、宇宙人を倒すのでした。


新市さんは、警察の護送車に乗せられて、及川さんに連衡されています。
新市さんの両手には、冷たい手錠が・・・。
正義の為に戦ったとはいえ、結果的に学校やその他施設を破壊してしまった為、「器物破損」という事で逮捕されたのでした。
護送車は警察署に到着しました。
及川さんは、手にしたゼブラーマンのマスクを新市さんに被せます。
新市さんの手作りのマスク。ボロボロのマスク。
「さあ、行こうか」と、及川さんは護送車の扉を開きます。
すると、何百人という市民が、歓喜をあげて待っていました。
物凄い拍手喝采。
その中を新市さんは連行されていきます。
浅野さん親子、新市さんの家族達も駆けつけていました。
ダメ人間のレッテルを貼られていた人間が、守るべきもの見つけ、一生懸命努力して救ったのです。

そうです。
新市さんは今、みんなの正義のヒーローとなったのでした。

<fin>

長きに渡って書きつづけてきましたが、皆さんいかがでしたでしょうか?
おそらく、神ナナに来られた方の99%は、この映画を見ていないし、今後もせいぜい、テレビで放映される時に見るぐらいでしょう。
それすら見ない人が大半かも。
だから、私はこういう形で、素敵な映画を紹介しました。
少しでも、その映画の良さが伝わっていれば幸いです。

これは、特殊な能力を持った男が大活躍して、それを賞賛する作品ではありません。
製作側はスーパーヒーローを造りたかった訳ではないと想います。
ヒーローに憧れている中年と、それをとりまく普通の人々へ愛情を注いで造ったのです。
なんだかね、「お前も夢を持って努力すれば、必ず願いは叶うんだよ」と云われているような気がしました。

この映画に対して、いろいろとイチャモンを付けている人がいます。
確かにツッコミどころは多いでしょう。
それでもこの作品は、愛すべき映画なのだと思いました。
一生懸命に社会で頑張っている普通の人達への応援歌なのです。

映画通ぶった人達の意見に、
「どうして本物のゼブラーマンになったの?」
「どうして普通の人が空を飛べるの?」
というのがありました。
それを読んで、「なっちゃーねーなー」と思いましたよ。
本当にこの人達は分らないのでしょうか?
ならば答えを云ってあげますよ。
それは、努力して夢が叶ったからです。

(終)

Posted by kanzaki at 2004年03月04日 16:28
コメント

本来、及川さん(渡部篤朗)目的で見ていた『ゼブラーマン』でしたが、結構、良かったと思います。見た後に、このページを見て『え!そんなとこあったの??』と、思う部分もありましたが、ものすごく、この映画を好きになった気がします。もう一度、見直そうと思いました。
及川さんの「あんたヒーローなんだろ? だったら敵なんて、ちゃっちゃと、やっつけてよ」は、何回きいても、特撮ヒーローを愛する少年が『ヒーロー頑張って!!』と、応援してるように思います。

Posted by: 綾波 飛鳥 at 2004年08月29日 21:36

綾波 飛鳥さん、書き込みありがとうございました。
私は観る前、渡部さんがこんなに登場回数が多いとは思いもよりませんでした。
それどころか、非常に大事なポジションでしたよね。
私も、その台詞が非常に気に入っています。
クドカン脚本の中で、一番の名台詞だと思いますよ。
ヒーローではなく、ヒーローに憧れていた人が努力して、いつしか皆のヒーロになる・・・素敵なストーリーでしたね。

Posted by: 神崎 at 2004年08月30日 08:33
コメントする
名前(ニックネーム可)とメールアドレスは必ず入力してください.
メールアドレスは管理者にのみ通知されます.










名前、アドレスを登録しますか?