2020年10月24日

映画「きみの瞳が問いかけている(吉高由里子さん、横浜流星さん、三木孝浩監督の舞台挨拶あり)」を観てきた感想

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公開したばかりの映画「きみの瞳が問いかけている」を観てきました。


●映画『きみの瞳が問いかけている』 公式サイト - Gaga



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【舞台挨拶】


上映前に、吉高由里子さん、横浜流星さん、三木孝浩監督さんの舞台挨拶もありました。
全国の映画館へ生中継で配信されました。


このアイディアは、横浜流星さんなのだそうです。
吉高由里子さんが、「起業家!?(になれるんじゃないの)」と、それに感心していました。


横浜流星さん、極真空手の世界大会で優勝しただけあり、若いのに落ち着いていて精神が大人ですね。


「烈車戦隊トッキュウジャー」で数多くのイベント出演していたせいか、話す際に客席へまんべんなく視線を送るのはさすがだと思いました。
すっと立つ姿勢の良さは、ちゃんと体幹を鍛えている人だなあと分かります。


私の時代の役者だと、安藤政信さんのルックス、そして鍛え抜かれた肉体は西島秀俊さんを彷彿とさせます。
40代になった時、その時代を代表する役者さんになっているのではないでしょうか。


この映画を観たあとだと、男性にも人気が出る役者さんだと感じます。



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【感想】


韓国版「ただ君だけ」と違い、横浜流星さんが演じたキックボクサー塁は、吉高由里子さんが演じた目の見えない明香里よりも年下の設定にしたのだそうです。
三木監督のアイディアだそうですが、これは大正解ですよ。


監督は「わざと汚して、その姿が母性本能をくすぐる。雨に濡れた子犬理論と言うか、守ってあげたくなる感じを出したかった」そうですが、まさにその通り。


そして、怒りで暴走する危険な側面は、若い青年の方があっていると思いますもの。



ただ君だけ 特別予告編


この映画の更にオリジナルは、チャールズ・チャップリンの「街の灯」。
ある浮浪者が盲目の花売り娘の目を治すため、あれこれ奮闘する物語。
幼いころに、テレビかなにかで観た映画なのですが、こんなにも胸に突き刺さる映画はそうそうないです。
ボクシングへ出場する場面があるのですが、これも今回の映画に共通する部分でしょうか。



街の灯 チャールズ・チャップリン Charles Chaplin / City Lights


横浜流星さんは、少年のガラスのように壊れやすい心と、割れたガラスの鋭い心を持った役を本当にうまく演じていました。


悲しい生き方、不器用な生き方しかできない青年が、どうやったら彼女を幸せにできるか考えます。
その考え、生き方が、男から見ても「不器用だけれどいいやつだなあ・・・ラストは幸せになって欲しい」と感情移入しました。


実はまったく予備知識なしで観たので、最初は「年上の彼女、そして人生の挫折・・・ドラマ『ロングバケーション』みたいな感じなのかな」と思ってました。
しかし、そんなライトでスローな話しではなく驚きました。


地下格闘技で、相手の選手が予定と変わって、とんでもない強敵になったのですが、ここも「街の灯」のオマージュですね。
吹き替え無しで横浜流星さんが戦っていたのですが、本当にすごいですわ。
あれだけ迫力ある、生死をかけた格闘シーンは、これだけでもかなり見応えあります。
こういう格闘シーン、邦画だと安っぽく偽物になりやすいのですが、この作品では「痛そう・・・」と本当に思えます。


しかも、これだけ迫力ある格闘シーンを演じながら、更に優しい涙も流せるのですからね。
そりゃあ、女性に人気ありますよ。
後半、ヒロインと再会したシーン。
自分だとバレないように声も出さず、手の甲の入れ墨痕も隠します。
ヒロインが去った後に涙するシーンは、観客席のいたるところですすり泣きが聞こえました。


多分この映画、女性より男性の方が感情移入できると思います。
だって劇中、横浜流星さんはヒーローなんですもの。


男は誰だって、好きになった彼女を幸せにしてあげたいという思いがあります。
しかし、多くの男は不器用なんです。
やり方がよく分からんのです。
はたから見たらスマートではない行動かもしれないけれど、それでも彼女のために奮闘する姿に、自分を重ねるのです。


こんな良作に出会えてよかったです。
三木孝浩監督は、私の認識では「世界で一番、小松菜奈を魅力的に表現できる監督」だったのですが、さらに「世界で一番、横浜流星を魅力的に表現できる監督」となりました!



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Posted by kanzaki at 2020年10月24日 21:41