●映画『リボルバー・リリー』公式サイト
https://revolver-lily.com/
・監督:行定勲
・原作:長浦京
・出演:綾瀬はるか、長谷川博己
【あらすじ】
大正末期の1924年。
関東大震災からの復興で鉄筋コンクリートのモダンな建物が増え、活気にあふれた東京。
16歳からスパイ任務に従事し、東アジアを中心に3年間で57人の殺害に関与した経歴を持つ元敏腕スパイ・小曽根百合は、いまは東京の花街の銘酒屋で女将をしていた。
しかしある時、消えた陸軍資金の鍵を握る少年・慎太と出会ったことで、百合は慎太とともに陸軍の精鋭部隊から追われる身となる。
綾瀬はるか主演で、ハードボイルド作家・長浦京の代表作「リボルバー・リリー」を映画化したアクションサスペンス。
「窮鼠はチーズの夢を見る」「パレード」「世界の中心で、愛をさけぶ」など、さまざまな話題作を送り出してきた行定勲監督がメガホンをとった。
2023年製作/139分
映画『リボルバー・リリー』予告 / 8月11日
リボルバー・リリー』≪大ヒット上映中≫市街戦編
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【感想】
東宝には無い、東映ならではのアクション映画でした。
ネットで酷評している方々がいるので心配していましたが、むしろ良かったですよ。
昭和から平成初期の東映ヤクザ映画、Vシネマを彷彿とさせるものがあります。
オープニングの東映マークの映像はあえて、昔の荒磯に波が打ち付けられる例のものを使用していましたが(現行のCGを使用したものじゃない)、そういう意味合いもあるのではないかと。
東映独特の生々しく泥臭い感じ。
舞台は、「鬼滅の刃」で注目を浴びた大正時代。
日本古来のものと、西洋のハイカラなもの、電気(灯り、電車、電話など)が入り混じり、とてもサイケデリックな雰囲気が漂っていました。
その再現にはお金がかかっているんだろうなあと感じました。
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多分、酷評しているのは、全編アクションに次ぐアクションという展開を期待していた人じゃないかなと。
政治などの主人公とは別のところでも話しが展開するので、アクションが連続で続くわけじゃありません。
最初の20分なんて無くても問題なくて、電車の中で少年が軍の者に捕まりそうになったところを主人公が助けるアクションから始まっても問題ありませんでした。
それだけで2時間に収まります。
軍に追われている少年を守り、最終の場所へ連れて行くというシンプルな軸だけで進めれば、アクション中心になったんじゃないかなあ。
少年は、主人公の旦那が別の女性に産ませた子。
全く縁が無いわけじゃない。
しかも、主人公は赤ん坊を戦いの中で失っている。
少年を守る理由が強くなるのは、後半になってから。
一層のこと、最初からいろんな事情を主人公が知っており、それで少年を助けにやってきたという方がわかりやすかったかも。
いってみれば、「ターミネーター2」みたいな感じね。
どのみち、原作はボリュームがあるのだから、全てを語りきるなんて無理。
小説には出来ないアクションという動きを全面に出せば、もっと評価されていたように思います。
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動きがあまり無いシーンや、長時間上映でも飽きさせないのは、ひとえに綾瀬はるかさんの存在です。
やはり芸能人としての華があるというか、惹きつけますよねえ。
映像が映えます。
綾瀬はるかさんは同年代の男性よりも、一回り上の男性・長谷川博己さん、豊川悦司さん、野村萬斎さんとの組み合わせがしっくりくる。
そういう俳優陣が脇を固めているのも、この作品の良いところです。
そして、仲間の女性陣がこれまたいい。
シシド・カフカさん、古川琴音さんは美味しいポジションでした。
感情を抑え、主人公並みに強いシシド・カフカさん。
お店の前の銃撃戦では、ライフルを構えて2階から着物姿で下へ降りてくるアクションがめちゃくちゃかっこいい。
古川琴音さんは、幼いあどけない表情の女の子(何故かこの子も射撃がうまい)。
長谷川博己さん演じる元軍人の弁護士(?)は、情報収集能力抜群。
主人公とこの3人がいれば、いくらでもお話しが作れそうです。
今回、話しが大きすぎて収集・まとめるのが大変。
「シティーハンター」みたいに事件はコンパクトでも、その中で濃ゆくキャラを動かせば面白くなるんじゃないかなあ。
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観ていて、この作品に一番近いのは、2006年に製作されたテレビアニメ「009-1(ゼロゼロナイン・ワン)」だと思います。
原作は、故・石ノ森章太郎先生による青年向け漫画作品です。
●TBSアニメーション「009-1」公式HP
https://www.tbs.co.jp/anime/009-1/
漫画は『009ノ1』(ゼロゼロナイン・ワン)というタイトルで、『漫画アクション』にて1967年から1970年、1974年に連載されました。
(アニメの他、大昔にドラマ化したり、近年に実写映画化しています)
いわば、『サイボーグ009』のアダルト版です。
女性秘密諜報機関員009ノ1(ゼロゼロナイン・ワン)が、冷戦下で活躍するスパイもの。
身体はサイボーグ化されています。
「リボルバー・リリー」も、多数の要人暗殺に関与した伝説の殺し屋。
あまり感情を多く出さず、戦いの中で自身を見出す。
本格的な大戦が起こる前の大正時代は、「009-1」の冷戦時代設定に近いものがあります。
アニメならば、いくらでも身体能力の高い女性スパイを描けますが、これを実写でやるのはなかなか大変。
綾瀬はるかさんは、体格や動き、拳銃さばきが様になっていましたよ。
166センチあるから、やはり映像映えしますね。
拳銃で相手をどんどんやっつける様は、東映の任侠映画を彷彿とさせますよ。
戦うならば本来、防弾チョッキやら厚手の服を着るべきですが、この主人公にはこだわりがあり、美しい衣装で戦います。
ポスターでも着ている白いドレスで戦い、じょじょに血で紅く染まっていくのは、映像的にも印象的です。
ぜひ、続編を作ってほしいですよ。
原作のその先のお話しになりますが、あのラストシーンからいくらでも作れそう。
東映さんに期待しています。
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