2008年03月16日

デスノート・スピンオフ「L change the WorLd」の感想-今週金曜まで上映

(追記あり)
こんにちは。
次期広末涼子の旦那・神崎です。
今日は久しぶりに、映画の感想を書きたいと思います。

●「L change the WorLd」公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/L-movie/

●中田秀夫監督公式サイト「Hideo Nakata 0fficial Page」-製作裏話
http://hw001.gate01.com/hideonakata/L_NOTE_T.htm

●松山ケンイチ公式サイト(HORIPRO SQUARE Men)
http://www.horipro.co.jp/hm/matuyama/

上映ラスト一週間前になって、ようやく見てきました。
土曜日のレイトショーで見たのですが、観客は20人ぐらいでした。
割かし前の方の席に座ったので、視界には観客が誰一人いなくて、ホームシアター状態でした。
私が映画を見る時は大抵、上映期間ラスト直前が多いです。
映画館を貸しきり状態で見ることが出来るからです。

デスノートは漫画にはじまり、映画、アニメ、小説、ゲームなど、マルチな展開で広がりました。
私自身は、映画「デスノート前編」、「デスノートthe Last name」を始めに見て、その後にアニメを見ました。

普通の人は、漫画を最初に見るのでそれが基準となり、映画を見れば「こんなのデスノートじゃない」と言い、アニメを見れば「ここが原作と違う」とウンチクを言うところでしょう。
やはり最初に見たもののインパクトは強いですからね。

そういう意味では私の場合、映画を最初に見たので、映画が基準となっています。
そんな人の場合、強烈な印象に残ったキャラは、松山ケンイチさん演じる「エル(L)」ではないでしょうか。

古今東西、名探偵と呼ばれるキャラは、一癖もふた癖もあり、推理・洞察力が強い反面、日常行動が奇妙で、そのギャップが魅力となっております。
エルもまた然り。

漫画版とアニメ版は基本的に同じキャラ設定ですが、映画版はちょっと違います。
けれどやはり、「エル」なんだと感じさせ、納得できます。

脚本、監督の演出もさることながら、エルを演じた松山ケンイチさんの力量が大きいです。
彼は、作品ごとの役柄によって演技・外見にいたるまで柔軟に転換させ、一貫して固定した役柄・イメージが存在しない「カメレオン俳優」「憑依型俳優」と呼ばれています。

映画「デスノート前編」のLの登場シーンの「バーン」と銃を撃つ振りをする演技は、脚本では1回だったものを人数分撃つようにしたのは松山さんの案。
同様にひょっとこのお面や、お供えを食べるのも彼のアイデアだそうです。
そのひょっとこのお面は、今回のスピンオフでも登場し、笑わせてくれました。
(デスノート本編に登場した小道具・・・例えばポテチ等、いろいろとニヤリとさせられました)

撮影現場にて、キャラクターを更に魅力的に仕上げたおかげで、デスノートの主人公の強力なライバルとして大活躍しました。
漫画やアニメでは、キラによって殺されてしまいますが、映画ではキラに勝ちました。
「デスノート前編」はキラが主人公ですが、「デスノートthe Last name」は完全にエルが主人公だったように思えます。
奇抜なビジュアルと行動だけれど、自分の命と引き換えにキラに勝った行動は、正に正義のヒーローそのものでしたから。

私は映画を最初に見たせいか、エルのキャラクターは完全に映画が基準となってしまったせいか、アニメ版のエルを見た時、「ビジュアルはそっくりだけれど、運動神経の良いエルは、ちょっと違和感があるなあ」と思いました。
それぐらい、映画版のエルは魅力的だったという証拠でしょうか。

ここ最近の名探偵と呼ばれるキャラクターの中でも一番好きになったエル。
そう思った人が多かったせいでしょうか、エルが主人公となったスピンオフ作品が出来あがりました。

wikiによりますと、デスノートは当初、テレビ連続ドラマ+劇場公開、配給東宝という企画で、日本テレビが映像化権を獲得したそうです。
しかし、日本テレビ側の都合によりテレビドラマ化が不可能となり、前後編へと企画変更。原作終了時期が決定していた為、前編6月公開というスケジュールを崩せず、急遽脚本:大石哲也、監督:金子修介が招集され、約1ヶ月半で前編脚本を作成するということとなりました。
原作どおりのテレビ連続ドラマが難しいならば、エルを主人公にした探偵物をやれば良かったのにと思いました。
それならば、それほど特殊映像を凝らしたものでなくても、十分に製作できたでしょうから。
そんなスタイルでドラマ化すると、「ガリレオ」みたいなってしまうのでしょうか?
ドラマ「ガリレオ」の最終回で登場し、我々を大爆笑の渦にした「レッドマーキュリー」とエルの戦いは見てみたい・・・。

エルは頭脳戦の名手ですから、スピンオフ作品も敵との頭脳戦を期待していました。
しかし残念ながら、そういう作品ではありませんでした。
よくよく考えてみたら、エルと頭脳戦で渡り合える好敵手であるキラを倒してしまったのですから、それ以上のキャラがいる訳ありません。
このスピンオフ作品中でも、エルに残された寿命である23日間の中の僅か数日間で、大量の事件を解決してしまいました。
つまり、彼に解けない事件はないのです。
そうしますと、エルを別の視点で描くのもアリでしょう。
だから、今回みたいなロードムービー(?)的なものもいいのかも。
スピンオフ作品は、そのスピンオフされたキャラクターの魅力を出せればそれで儲けもの。
ストーリーで本編にかなうわけないのですから。
そういう意味では、このスピンオフ作品は、私のようにエル好きの観客には満足な作品だったのではないでしょうか。
なにせ、最初から最後まで、エルを中心に描いているのですから。
松山ケンイチさん自身も、さすがに三度目の出演とあり、エルというキャラクターを思う存分に演じていました。
今までの作品以上に、エルからフェロモンと言いますか、どことなくエロさも醸しだされていました。

また、エル自身、デスノート本編の時より、性格が丸くなっていますね。
付き合うのが苦手な部類の少年や少女と一緒に行動することになり、手探りながらも心が通い合えたのは、周りにワタリや夜神総一郎のような、父親的な大人がいなくなったからでしょうかね。
自分の寿命も残り少ない。
自分の死を悟ると人は本能的に、自分という存在を別の形で残したくなるものなのでしょうか。
劇中、エルは自分の死後も、自分というものを残すために、BOYにはニアという名前(原作を知っている人ならばニヤリとするでしょう)、ヒロインである少女・二階堂真希には自分の声を吹き込んだ人形を渡したのだと思います。

このスピンオフ作品は、ストーリーは駄作の部類だと思うけれど、エル好きには何故かたまらない良作だと思いました。
なにせ、松山ケンイチさん演じるエルとは、もうこれでお別れなのですから・・・。

さて、このスピンオフ作品ですが、エルや二階堂真希のキャラは良かったものの、それ以外は殆ど残念なものでした。
話し自体は、エルが少年少女を連れ、敵の追ってを逃れて鎌倉まで行き、最後、さらわれた少女を助けに行くという、とてもシンプルなもの。
エルらしい頭脳戦は、殆どと言って良いほどありません。
また、敵である「ブルーシップ」と呼ばれるメンバー達もしょぼい。
とてもエルが最後に戦うに相応しい敵ではありません。

映像も、タイの村一つを爆破させるシーンや、飛行機が建物にぶつかるシーン等、多少は派手なシーンがあったものの、殆どはテレビの二時間ドラマ並みの映像でした。
きっと、お金がかかっているのでしょうが、それを微塵にも感じさせないしょぼさでした。
エルというキャラクターが魅力的に映っていれば、それだけで十分満足な作品なので、そこは期待しなくても良かったのですが、下手に派手にしようとしている部分があるだけ、とてもしょぼく感じました。

また、殺人ウィルスによる人間の皮膚の症状変化が、非常に気持ち悪いです。
皮膚にぶつぶつが出来て、血が滲み出し、苦しくなって死んでいくのですが、あんまり見たくない映像でした。
このグロ映像を断片的に映す程度ならば良いのですが、必要以上に映しているので、そこが不愉快でした。
「我々の特殊映像技術は凄いでしょ?」といわんばかり。

また、ストーリー的にも変な部分はありました。
例えば、南原清隆さん(ウッチャンナンチャン)演じるFBIの駿河秀明が唐突に登場するシーン。
なんの脈絡もありません。
ただし、駿河の空回りする活躍は、非常にコミカルなコント仕立てで、逆に好きでした。
でも、このポジションのキャラは、デスノート本編に登場する松田(ウルトラマンマックスの主役も演じた青山草太さん)でも良かったのではないでしょうか。
松田ならば唐突に登場してもまだ、観客は納得したと思います。
それに「最もエルにバカにされた男」が活躍の末、エルに認められたら、デスノートファンにも喜ばれるじゃないですか。
実は、松田はスピンオフにも登場予定だったそうなのですが、登場シーンがすべてカットされたそうで残念です。

エルが飛行機に飛び乗り、佐藤めぐみさん演じる三沢初音に銃を突きつけられて絶対絶命のピンチだったのに、次のシーンでは何でも無かったかのように登場するシーンにはがっかりでした。
「おいおい、そこで危機を回避するシーンこそ、観客が見たい場面だろ!」と思いました。
佐藤めぐみさんは、NHKの連続テレビ小説「ちりとてちん」に、A子役で登場しておりまして、スピンオフ作品でのキャラがどことなく、暗黒面に落ちたA子のキャラと被ってニヤリとしてしまいました。

●Megumi Sato Official site  
http://www.stardust.co.jp/rooms/sato/

・連続テレビ小説「ちりとてちん」
http://www3.nhk.or.jp/asadora/

そういや、特撮作品好きな人には、ニヤリとさせられる登場人物が沢山いましたね。
例えば、電車の中で携帯電話のワンセグ放送を見ていたキャラを演じたのは、川野直輝さん。
獣拳戦隊ゲキレンジャーにて、ラスボスである幻獣ドラゴン拳の使い手である金髪の青年・ロンを演じていました。

●川野直輝 オフィシャルブログ
http://kawano-naoki.arekao.jp/

・獣拳戦隊ゲキレンジャー 東映公式
http://www.toei.co.jp/tv/gekiranger/

このロンというキャラが、近年まれに見る悪役キャラでして、物凄くキャラとして強い印象でした。
印象に残る演技が出来る人なので、いろんな作品に今後起用されるのではないかと期待しています。

FBIの駿河秀明が運転する車に近づいてイチャモンをつけるおじさんを演じたのは、諏訪太朗さん。
最近ですと、「仮面ライダー電王」の第33・34話にて、街をさまよい歩いてピアノを探しては、見事な演奏で引きこなして回るふしぎな男を演じていました。

●仮面ライダー電王(東映公式)第33話
http://www.toei.co.jp/tv/den-o/index.asp?action=eps&num=33

・諏訪太朗 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%AB%8F%E8%A8%AA%E5%A4%AA%E6%9C%97

この方は、東映特撮作品に沢山出演しています。
私的には最近ですと、大河ドラマ「風林火山」や「ケータイ刑事 銭形海」の舞台版の印象があります。

ちなみにこのエピソードと第17・18話には、満島ひかりさん(沢田由香役)も登場しています。
デスノートでは、キラの妹・夜神粧裕を演じていましたね。
満島さんは、デスノートで松田役の青山草太さんが主役を演じた「ウルトラマンマックス」にて、アンドロイドのエリーや、映画「モスラ2 海底の大決戦」浦内汐里役をしています。

●満島ひかり Mitsushima Hikari
http://hikarisize.com/

F役の波岡一喜さんも、僅かな出演時間でしたが、非常に良かったですね。
私の大好きな役者さんです。
特撮ですと、「幻星神ジャスティライザー」で神野司郎/デモンナイト役を演じ、「ライオン丸G」で主役の獅子丸 / ライオン丸役を演じました。
一般的には、映画「HERO」の金髪の犯人(梅林圭介)が有名なのでしょうか。
そういや、「ライオン丸G」で共演した石橋蓮司さんとは、映画「HERO」、そして「L change the WorLd」でも共演していますね(「L」では同じシーンでの出演はありませんが)。

●公式ブログ「天下統一ゆえノ刻印」
http://ameblo.jp/namioka-kazuki/

まあそんな訳で、ストーリー的には「?」な感はありますが、エルのキャラクターは非常に魅力的に映し出されている作品です。
大笑いしたり、泣いたりする作品ではなく、ニヤリとする為に見る映画です。
いつもと違い、あえてネタバレを控えましたが、それは今度の金曜日で上映が終了するので、それまでに未見の方に見てもらいたいからです。

(追記)
新潟的なネタとしましては、鎌倉にいる研究者・松戸浩一のところへ行った際、エル達が缶に入ったお菓子を食べていましたが、あれは新潟県長岡市にあります浪花屋製菓株式会社の「元祖柿の種」です。

●元祖柿の種、浪花屋製菓株式会社のホームページ
http://www.naniwayaseika.co.jp/

Posted by kanzaki at 2008年03月16日 15:02