2015年02月04日

映画『KANO 1931海の向こうの甲子園』を観た感想〜2009年の甲子園決勝戦・新潟県の日本文理高等学校の勇姿を思い出しました

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●映画『KANO 1931海の向こうの甲子園』公式サイト
http://kano1931.com/


映画『KANO 1931海の向こうの甲子園』予告編

●wiki-KANO
http://ja.wikipedia.org/wiki/KANO

『KANO 1931海の向こうの甲子園』(かのう いちきゅうさんいち うみのむこうのこうしえん - 原題『KANO』)は、2014年の台湾映画。 「かのう」とは、大日本帝国統治時代の台湾に実在した嘉義農林学校(現在の国立嘉義大学)の略称「嘉農」を日本語読みした当時の呼び名である。 2014年3月7日、第9回「大阪アジアン映画祭」オープニング作品として台湾以外で初上映され、「観客賞」を受賞した。 台湾制作であるが、舞台となった時代背景からセリフの多くは日本語であり、一部に台湾語、客家語、原住民語(アミ語)が使われている。 日本では2015年1月24日に公開された。


今年、はじめて映画館へ行きました。
前評判通りの良作でした。
3時間を超える作品なので、トイレには気をつけてね。
海外の作品ですが、99%日本語なので観やすいです。


台湾の弱小野球部が、一人の監督の登場により鍛えられ、甲子園へ行くお話しです。
生まれた国がそれぞれ違うメンバーが、力をあわせて勝ち進みます。
本当にあったお話しというのも凄い。


ひたむきな高校球児達の姿が、本当にさわやかでした。
一球一球、まったく手抜きをせずに全身全霊で戦う姿。
観ていたら、物語を通り越して「あ〜、いい試合を観させてもらったなあ」と感じました。


新潟県民ならばきっと、2009年の第91回夏の甲子園大会と重ねてしまうと思います。
日本文理高等学校は、新潟県勢で史上初のベスト4及び決勝戦へ進出し、県勢初の準優勝を果たしました。


2009年の第91回夏の甲子園大会では、新潟県勢で史上初のベスト4及び決勝戦に進出し、県勢初の準優勝を果たした。
同91回夏の甲子園決勝戦では中京大中京(愛知)戦でスコアは4-10の6点差、9回表2死ランナー無しで「あと一人」の状態から、打者七人の猛攻でスコアが9-10のわずか1点差にまで詰め寄る、驚異の健闘ぶりを見せた。
しかし、最後の打者が強烈なサードライナーに倒れあと一歩及ばず、新潟県勢初の全国制覇は惜しくもならなかったが、夏の甲子園大会史上歴史に残る名試合となった。
これ以降、「弱小」と言われていた新潟県勢、または北陸、甲信越勢に対するイメージが払拭されていくこととなる。
また、この試合で解説をしていた小縣裕介が2点差まで追い上げた場面での「繋いだ!繋いだ!日本文理の夏はまだ終わらない!」という実況はのちの甲子園大会においても毎年のように流されている名場面となっている。
(wikiより)



あの中継を観ていた時、「まるでマンガみたいな展開だ」と興奮しました。
最後、負けてしまったのですが、勝った相手校よりも、日本文理の選手たちの方が笑顔でさわやかだったのが印象的でした。
今回の映画は、まさにあの感動を再びスクリーンで味あわせてもらいました。


殆んど宣伝をしていないし、上映されるスクリーンも本当に少ないです。
新潟市は1館のみ。
上映は、朝と昼の2回のみ。
普通に働いている人には、興味があっても観るのが難しいです。
きっと、テレビで放映されることは無いでしょうから、本当に残念です。


ディズニー映画「アナと雪の女王」「ベイマックス」みたいに、アメリカと違う方向で宣伝したら、大ヒットしていたかもしれません。
アナ雪は20〜30代女性を意識して宣伝したし、ベイマックスはアメコミヒーロー的な部分を隠して、スタジオジブリ的な雰囲気で宣伝しましたよね。


一生懸命に野球に取り組む男の子たちの姿を中心に宣伝すれば、若い女の子達に人気が出たように思います。
イケメンが多いですしね。


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選手側の主人公的ポジションのアキラ役 ツァオ・ヨウニンさんは、松坂桃李さん似で、とても精悍で印象に残ります。
劇中はピッチャーですが、彼は大学で現役外野手をしています。
そのかたわら、日本の事務所に所属しているので、今後テレビ等で見るようになるかもしれませんよ。


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俳優・永瀬正敏さんが演じた近藤兵太郎は、選手たちを怒鳴って指導します。
しかし、単なる根性論的スパルタではなく、ちゃんと技術的な事を理論的に指導しています。
自分の感情を喜哀楽で出すことはあまり無いのですが、野球部員達を育て愛する気持ちが、十分伝わります。
これは確かに、子供たちから慕われると思いました。

●wiki-近藤兵太郎
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BF%91%E8%97%A4%E5%85%B5%E5%A4%AA%E9%83%8E

近藤 兵太郎(こんどう ひょうたろう/へいたろう、1888年 - 1966年5月19日)は、日本人の野球指導者。愛媛・松山商や、台湾台南州立嘉義農業学校(現在の国立嘉義大学)野球部などで監督を務めた。松山商野球部を初の全国出場に導くなど戦前の黄金時代の礎を築いた監督として、また日本統治下の台湾の嘉義農林学校を率いて甲子園に出場し、準優勝に導いたことで台湾野球史にもその名を残した。


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劇中、慕われる存在の人物として、八田與一(はった よいち)が登場します。
日本では殆どの人が知らないかもしれません。
しかし、台湾の教科書に載っている有名な日本人です。


●wiki-八田與一
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AB%E7%94%B0%E8%88%87%E4%B8%80

八田 與一(現在の字体では八田 与一、はった よいち、1886年2月21日 - 1942年5月8日)は、日本の水利技術者。日本統治時代の台湾で、農業水利事業に大きな貢献をした人物として知られる。

・八田與一(八田与一、1886年2月21日 - 1942年5月8日)
台湾の日本統治時代に、台湾南部の嘉南平野に水利施設と鳥山頭ダムを建設し(水利工事全体を嘉南大?と呼ぶ)、作物の生育が難しい嘉南平野を穀倉地帯へと変貌させた。台湾では知らない者がいない日本人土木技師である。


ダムを作り、田畑を潤す用水工事を指揮した方です。
現在でも烏山頭ダムでは、八田さんの命日である5月8日に慰霊祭が行われています。
台湾で今なお、感謝されている日本人を俳優・大沢たかおさんが演じています。


劇中、野球部員をはじめ地元の人達から慕われているのがとても良く分かる演出でした。
大沢たかおさんは、そんな尊敬される人物を上手に表現していました。
俳優・永瀬正敏さんが演じた近藤兵太郎とは真逆で、いつも笑顔なんです。


両者とも表現は違いますが、尊敬され、慕われる大人です。
劇中の両者は、私と殆んど年齢が変わりません。
私なんて心が弱いですから、両者の立ちふるまいを見ると情けなくなります。


ここに登場する大人は、本当に大人です。
サブキャラも印象的なシーンを残します。
例えば、アキラは、農業の先生からパパイヤの差し入れを貰います。
パパイヤの実を大きくする方法を教えてもらいます。
パパイヤの木の根っこに釘を刺すのです。
「パパイヤは根っこに釘を打ち込むと、もう自分は死ぬと思って、最後の力を振り絞って大きな甘い実をつける」のです。
このセリフは、甲子園決勝にて、アキラが指に大怪我をしても最後まで戦うシーンへつながります。


八田與一さんのエピソード、そして上記のセリフ。
この時代、台湾では農業が生活の根幹になっているのがよく分かります。
野球だけではなく、農業の方からもアプローチしているのが面白いですね。


機会があれば、是非観ていただきたいと思います。

Posted by kanzaki at 2015年02月04日 07:00