2009年08月17日

「劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー」と「侍戦隊シンケンジャー 銀幕版 天下分け目の戦(3D版)」の感想【2】

ネタバレで書きますので、これから見る方はご遠慮ください。

●「劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー」

この作品で一番気になったのが、ディケイドのパーソナルカラーであるガーリーピンクが、とても濃い色だったことです。
テレビ版は割合、薄いピンク色なのですが、劇場版はガーリーピンクを通り越して、ショッキングピンク、蛍光ピンクになっていました。
テレビ等でオンエアされている予告編を見る限り、なんらテレビ版と彩色に違いはないのに、劇場で見た時は、とにかくピンク色が濃く、目立って発色していました。
これはデジタル上映だったからなのでしょうか?
このピンク色の方が個人的には好きなので良いのですが、他の人にはどう感じられたのでしょうかね。

内容は1時間足らずの短い中で、全部のライダーやら懐かしの敵幹部・怪人等、詰め込めるだけ詰め込んだので、ストーリーは付け合せ程度でした。

ディケイドの敵組織である大ショッカーの大首領は、実は仮面ライダーディケイドに変身する主人公でした。
忘れていた記憶が蘇り、その後、全ての仮面ライダーと戦い勝つ事で世界の消滅を防ごうとします(実はそれでは世界は戻らないのだが)。
そして仮面ライダー達を倒して優勝し、大ショッカーの大首領として再び君臨します。
「世界の破壊者」というのは本当だったのですね。

敵の大首領が仮面ライダーの主人公だったというのは斬新なのですが、再び正義に目覚めて、その組織そのものを壊滅しようと立ち上がるまでのプロットが今ひとつでした。

映画をそのまま見ているだけだと、首領に祭り上げられていたのは、色んな仮面ライダーの世界へ自由自在に行き来できる能力があるから。
用済みになった途端に捨てられたので、「お前らをぶっ潰してやる!」という逆切れな感じです。

今までテレビ版の中で、仲間達や各ライダーの世界で出会った人達との間で感じた事、経験が全く無視されています。
首領だった時の記憶が蘇った後も、今までの旅の記憶があるのですから、せめて仲間達を基地の地下へ落とすシーンでは、悩んだり、葛藤する仕草の一つも欲しかったです。

自分が首領に君臨する事で最悪を回避しようとしたとか、妹の事を思って仕方なくなったとか・・・おそらくそういう意図が主人公にはあるのかもしれないけれど、今ひとつ画面から伝わってきません。
だから、最後の戦いに挑むまでの盛り上がりや、カタルシスが感じられません。

主人公が記憶を取り戻したことで大首領の人格が表面に現れ、今までの各世界への旅の記憶が消えてしまい、悪に徹するキャラになった方が面白かったかも。
しかし、夏みかん達の強い思いのおかげで、主人公が悪の人格に打ち勝ち、再び正義に目覚める方が熱い展開だったように思います。

再び正義の心に目覚めるきっかけの一つとして、GACKTさん演じる結城丈二(ライダーマン)に説教されますが、どうもあそこもチグハグな感じ。
しかも、結城丈二の右腕を銃(?)に換装して敵に向けて撃とうとして画面が変わってしまいます。
戦う前に終わってしまって残念ですよ。
ここは、DVDのディレクターズカット版で補完されるのかもしれませんが。
ちなみに、GACKTさんが歌う映画の主題歌PVでは、この右腕の銃からスペースコブラの如くぶっ放しています。
このキャラだけでスピンオフできそうな感じですよ。
それ故、本劇中での活躍が殆ど無いのが非常に惜しい。

更に気になったのは、テレビ版でアポロガイスト様が、常にディケイドに戦いを挑んでいるのですが、自分の組織の首領の顔を知らなかったのでしょうかね。
それとも、他の幹部は知っているのに、彼だけは知らされていなかったのならば、これは非常に辛い立場です。
このまま行くと、テレビ版のラスポスはアポロガイスト様で、そのまま劇場版へ話しが流れていくように思うのですが、どう収拾するのやら。

そういや劇場版にて海東が、アマゾンライダーのギギの腕輪を盗んでおり、最後にアマゾンへ返していますが、昨日のテレビ版でのアマゾンの回では、そんなシーンはありませんよね。
テレビと映画はパラレルなのでしょうか?

劇中の前半で、最強の仮面ライダーを決める「ライダートーナメント」を実施した際に現れた各ライダーと、最後の大ショッカーとの戦いに現れた各ライダーというのは別人なのでしょうかね?
別人じゃないと、前半で悪のディケイドにやっつけられたのに、なんで最後にディケイドに力を貸したのか理由が分かりません。
そもそも前半の「ライダートーナメント」に、なんで各ライダーが賛同して出場したのかも理由がはっきりしません。

今回の映画は「お祭り」なのだから、バトルが派手で楽しめればそれでだけでもいいのですが、なんか見ていますと、その戦いも右肩下がりなんですよね。
全ライダーが登場して敵と戦っているのですが、各ライダーの個性的な戦闘方法は殆ど見られませんでした。
各ライダーの特殊能力エフェクトをCGを使って表現していたら、上映時間も予算も足りないでしょうが・・・。

けれど最後、全員のライダーキックで、シャドームーンもろとも大ショッカーの建物を破壊するシーンはなかなかでした。
しかしこれも、既にテレビの予告等で見てしまっているので、驚くほどではありません。
それどころか、もう一つの見せ場である巨大化したディケイド・コンプリートフォームのネタバレも、昨日のテレビ版の中で見せちゃいましたよね。
バトルシーンに期待している人も多いかと思いますが、テレビ等の宣伝で見る事の出来る映像が全てだと思って構いません。
それ以上のサプライズはありません。

クウガの新フォーム「クウガ・ライジングアルティメット」も映画の見所の一つだったと思うのですが、全く活躍していません。
見た目がカッコいいので、敵を圧倒して欲しかったのですが、シャドームーンにディケイド共々、コテンパンにやられています。
そしていきなり、9月からの新番組「仮面ライダーW」の主人公ライダーが現れて、シャドームーンを圧倒。
なんだか、「沢山のライダーがいなくても、Wが一人いれば済むんじゃないか?」と思えたほどです。

せっかく上映時間が短くてバトル中心の話しなのですから、何度もみたくなるようなライブ感、高揚感、熱い魂みたいなものを感じさせて欲しかったですよ。
1回見れば十分な感じでしたもの。

おじいちゃん(光栄次郎)は死神博士ことイカデビルだった訳ですが、何故か再びみんなの前に平然と現れて、他の人も受け入れていました。
実は死神博士は、光栄次郎に似た別人なのかもしれません。
劇中でも曖昧な感じだったし。
仮に同一人物だったとしても、死神博士・イカデビルはギャグを前面に押し出し、あまり大悪党な雰囲気を見せていませんでしたし、他のみんなも納得したのかな?

なんだか愚痴ばかり書いているのですが、これは帰宅して冷静になったから書けること。
実際に見ている間は、どんどんと話しが進んでいたおかげで、ここまで不満を思っている暇がありませんでした。
一応、エンディングは綺麗に収拾し、まだまだ旅は続くみたいな感じでした。
そして冬に公開されるディケイドとWのコラボ映画へ続くのでしょうね。
ディケイドはレギュラー陣が少ないし、どんな世界観でも対応できる設定が強みです。
今後も、各ライダーとのコラボを楽しませてくれる事でしょう。

今後は毎年、春は超・電王シリーズ、夏は現役のライダー、冬はディケイドと新ライダーのコラボという感じで三作が公開されるみたいです。
いつの間にやら仮面ライダーが強力な東映のドル箱になりましたね。
東映は他に、戦隊、プリキュアもあります。
そして、ドラマ「相棒」まであります。
そのうち、ディケイドと相棒がコラボする日も近いかもしれません(是非、実現してくれ)。

続く。

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bisyo03.JPG

仮面というのは不思議ですよね。
そのお面そのもので表情を作り上げておきながら、その下の真の表情は隠してしまうのだから。

Posted by kanzaki at 2009年08月17日 22:29