2021年03月14日

映画『すくってごらん』を観た感想〜和のテイストの美しい映像と、「救ってもらいたい」主人公が、ヒロインを「救いたい」と頑張る優しい世界観です

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●映画『すくってごらん』公式サイト
https://sukuttegoran.com/



映画『すくってごらん』予告(2021年3月12日公開)


・地方に左遷されたエリート銀行員のお話し。
原作は読んでいません。
内容が「金魚すくい」で「ミュージカル」仕立てなのだけ知って鑑賞しました。


・タイトルの「すくってごらん」の「すくって」は、「救う」の意味もあったたのですね。
救ってもらいたいと思っている主人公が、逆にヒロインを救うのが見どころです。


・悪役がいない映画で好きです。
良い人間の成分をすくって作ったような作品。


・全編、奈良県で撮影されたそうですが、あの昭和の古き街並みを舞台に、平成生まれの人たちの人生を描く令和の作品となっています。
地方を舞台にした作品って好きなのですが、こういう形で街を活かしていてうらやましいなあと思いました。
地元の人も喜んでいるのではないでしょうかね。


・金魚の赤色、夜のオレンジ色の灯、女性の着物の色柄・・・すべてが美しいです。
ミュージカル仕立てだけではなく、演出のいたるところで、舞台的な演出が施されています。
その流れが美しいので、ミュージカルアレルギーの人でも問題ないのでは?
映画というより、各ジャンルで活躍しているアーティストを集めて、「和」をテーマに街をひとつの舞台とした総合エンターテインメントイベントという感じです。
これは、外国の人にも受け入れられそう・・・むしろ、外国で大きく評価されそう。


・偏屈な主人公は能力も高いし、なんだかんだで街の人にも信頼されているようです。
誰しもが心の中で思う、ネガティブな気持ちを表情と言葉で出してしまうのが欠点。
あの、やさしい世界の中で唯一、我々側の人間とも言えます。
物語が動く中で、性格は相変わらず「歪んだプライド」みたいなものは消えていないのですが、「彼女を救いたい」という思いの方が上回り頑張ります。


・ヒロイン役の百田夏菜子さん。
さすが、「ももいろクローバーZ」の赤担当!
金魚の赤色に負けてません!
全編和装なのですが、その着こなしが大和なでしこで美しいですよ。
主人公が一目ぼれするのも分かります。
さすが、エンターテインメントで活躍しているだけあり、他の演者に負けない歌唱力でしたよ。
あの、金魚すくい屋という異空間でも、なんら違和感を感じさせず、主人公を招き入れる魅力はすごいです。
主題歌もばっちり。
ファンの方は、観て絶対に損はさせません。


・主人公とヒロインよりも、ヒロインが好きな男性・王寺昇、主人公を好きになった女性・山添明日香の方が好感度が高かったです。
演じた柿澤勇人さん、石田ニコルさん共にミュージカルやっていますからね。
この不思議な舞台でも、まったく臆することなくパフォーマンス全開です。


・柿澤勇人さんが演じた王寺昇役は、とても主人公のライバル役とは思えない優しさと穏やかさ、そして歌・ダンス・ピアノが抜群。
相手にどう言われようが、常に笑顔で相手に優しい姿。
こんな素敵な人に私はなりたいです。


・石田ニコルさんが演じた山添明日香役は、ものすごい美人で料理もできるし、店を運営し、歌やギターもできちゃう。
口は悪いけれど、相手を傷つけない優しさを持っています。
正直、ヒロインよりも、山添明日香の方に魅力を感じました。
すっかりファンになり、YouTubeのゲーム実況とか観ています。


・「スポーツとしての金魚すくい」は、あまりメインではなかったように思います。
てっきり、「ちはやふる」の金魚すくい版みたいなものを期待していたので、そこは残念。
古き良き時代の面影を残す街で、それぞれが「救う」のがメインでした。


・上映時間自体も短いですし、場面と場面を音楽でつないでいくので、あっという間でした。
限定された場所と時間、俳優だけで、ここまでどっぷりと世界観を作り出したのはお見事です!

Posted by kanzaki at 2021年03月14日 19:53