追告 B『シン・エヴァンゲリオン劇場版』
『シンエヴァ』声優14名集結!シリーズ完結への思いを語る 映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』来場御礼舞台あいさつ
本日3月28日(日)朝9時より「シン・エヴァンゲリオン劇場版」を観てきました。
上映後、声優陣の舞台挨拶の生中継(ライブビューイング)もありました。
よって、朝9時から12時45分までの長時間となりました。
前日には、「プロフェッショナル仕事の流儀 庵野秀明SP」をNHK+で視聴しておきました。
監督他の製作人のドキュメント+映画本編+声優陣による舞台挨拶
四半世紀付き合ってきたこの作品との最後に相応しい対面となりました。
前作「Q」で挫折した往年のファンにも満足してもらえる内容だと思います。
以下、若干のネタバレを含みます。
※
・本作は、主人公のシンジ君が各主要キャラを見送る卒業式です。
鬱展開や中二病系、セカイ系じゃない、青空のような作品でした。
セカイ系の走りであるエヴァが、それを全力で否定した最後なのがいいですね。
・ネット等を観ると、号泣したと多く見かけますが、まったくそういう要因がありません。
むしろ前へ進もうと頑張っているシーンが多いから、泣いてられません。
・旧作の頃は、描かれている内容を深く考察するのが流行りましたね。
本作も、意味の分からない宗教的な単語は出てくるものの、あまり気にしなくていい。
時代のせいなのか、監督の心境の変化なのか分かりませんが、旧作のようなエログロも薄まり、本編で出てきたものは本編内で解説、解決していました。
考察するまでも無くなったのです。
・主人公のシンジ君が、前作「Q」でまた旧作のようなネガティブキャラになりました。
本作の最初はそれを引きずりますが、とりまく環境が、彼を元に戻します。
そうさせてくれた「人」と「自然」っていいなあと思いましたよ。
・本作は、主人公・碇シンジ君が精神的に成長し、父親である碇ゲンドウの方が子供のまま。
立場が逆転してしまっています。
結局、碇ゲンドウは、死んでしまった唯一の理解者である妻と再会したいがために、世界を巻き込む大がかりがことをしてしまいました。
「仮面ライダーウィザード」のラスボスも、死んだ娘の復活のために世界を巻き込んでましたね。
考えが幼稚です。
シンジ君の方が精神的に追い越してしまう。
父親と息子の精神的な対話は重要だけれど、ちょっと長かったなあ。
・エヴァンゲリオンのような人型同士の戦闘シーンより、空中戦艦同士の戦いの方が、物凄く見応えがありました。
あれはもう、特撮の分野のような動き。
前作から登場する「AAAヴンダー(すりーえーゔんだー)」の活躍が凄い。
やはり、敵へめがけて一点突破し、数秒だけ持てばいい・・・という無茶な動かし方をさせるのは熱いですよね。
庵野監督の「ふしぎの海のナディア」でも、N-ノーチラス号という空中戦艦が大活躍しましたね。
人型同士の戦いは、CGを駆使して動きまくって、正直、何をやっているのかよく分かりませんでした。
しかし、特撮大好き監督ですから、空中戦艦の扱いはさすがですね。
・「プロフェッショナル仕事の流儀 庵野秀明SP」にて、映画撮影所の中でモーションキャプチャーを利用した人の芝居の撮影風景がありました。
あの撮影場所が、劇中でも登場してましたね。
事前に観ておいて良かったです。
「プロフェッショナル」の冒頭、駅の階段をスマホで動画撮影しながら庵野監督が走り回っていました。
あのシーンって、本編のラスト部分を描くための取材だったのかな?
・旧作と大きく違うなあと思った本作の大きなテーマは、「人間の力で解決する」というところでしょうか。
神様か何かが作った訳の分からないものではなく、主人公側は、人間の英知と努力で解決しようとするのです。
主人公の父親とは真逆。
そういや、本作の敵と呼ばれる人物って、碇ゲンドウと冬月コウゾウだけです。
他に東條するのは、主人公たちが乗る空中戦艦のクルー、そして第三村の人たちだけ。
世界を巻き込んだ話だけれど、随分少ないですね。
ヴンダーの搭乗クルーは、そこまでキャラを深く描かず、旧作から出ているメインキャラに多く焦点があてられているので、余計、人が少ないように感じます。
・登場しているキャラがみんな、旧作より精神的には大人になっています(碇ゲンドウを除く)。
実際に現実世界にいそうな感じ。
あまり、アニメキャラじゃないから、キャラとしての特徴は薄まりましたね。
「綾波レイ(のそっくりさん)」は、多くの人間や自然と触れ合うことで人間的になっていきます。
「式波・アスカ・ラングレー」は、逆に戦いの中で人間じゃなくなっていきます。
テレビ版の時とはちょっと違いますね。
本作では、この重要な2キャラが、そこまで重要に扱われていません。
所詮は、量産型のレイとアスカということなのでしょうか。
どうも監督の演出から、この2キャラへの愛情が薄まっているように思うのです。
その代わり、マリというキャラを重宝するようになっています。
きっとマリのキャラは、庵野監督の奥様が影響しているように思います。
監督が結婚したり、60歳になったのが作品に反映されているのですよね。
・旧作は、シンジ君とアスカの2人エンド。
本作は、シンジ君とマリの2人エンド。
正直、最後までマリのキャラに感情移入できぬまま終わってしまいました。
シンジ君に必要だったのは、「母親」だったのかな?
その為に、マリというキャラが必要だったのかも。
・舞台挨拶中継は豪華でした。
やはりトーク術は、山寺宏一さんがダントツでしたね。
山寺さんは一流の声優ですが、芸能人・タレントとしてもピカイチ。
短い言葉でピシっと伝え、そして笑いもとれる。
さすがです。
山寺さんが司会でも良かったかも。
「僕の代表作というと加持と、アンパンマンのチーズと書かれる」というコメントに笑いました。
※※※
四半世紀前、TVアニメをはじめて観た時、「あっ、これは東京のアニメだ」と感じました。
アニメはたくさんあるけれど、その作風というか雰囲気が、「東京」を思わせたのです。
私の思う東京って、派手なもんじゃないです。
少し背の高い雑居ビルの屋上で、薄青空の下、工事の音とか街の雑踏を聞く感じ。
派手どころか、むしろ無表情。
そういう無表情な世界と人間が、いかに色を取り戻していくか苦悩する内容だと思っていました。
新劇場版シリーズのラストである本作。
ついに主人公は色を取り戻しました。
旧作と違って分かりやすくなっているので、世界の人が観ても理解しやすいと思います。
いつの間にか、世界を相手にするアニメ作品になっていたのですね。
宇多田ヒカル『One Last Kiss』
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