2014年06月01日

ディズニー映画「アナと雪の女王(原題・Frozen)」の感想

ディズニー映画「アナと雪の女王(原題・Frozen)」を観てきました。


●アナと雪の女王
http://ugc.disney.co.jp/blog/movie/category/anayuki

●wikipedia:アナと雪の女王
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%8A%E3%81%A8%E9%9B%AA%E3%81%AE%E5%A5%B3%E7%8E%8B


「THE・リア充向け映画」でした(褒め言葉)。


ネズミーランドへ行ったこともないし、「深夜アニメでブヒっているような私が観ていいのか?」と思うぐらい、とても王道です。
子供たちへ向けて丁寧につくり上げると、こんなにも良作が生まれるのかと感心しました。


最近は、媒体はアニメでも、視聴対象は大人というものが殆んどです。
だから、「子供たちが楽しめる作品って、本当にあるのかな?」と心配していました。


今回のように、子供たちが楽しめる上で、大人も鑑賞できるという優等生な作品を日本でも作って欲しいです。



【3D版の吹き替えを鑑賞】


観たバージョンは、3Dの日本語版です。
3Dを前提に制作したものは、やはり3Dで観たいかなと。


城の前の町をカメラが移動すると、まるで本当に自分がその世界へ入り込んで移動しているかのようでした。
この浮遊感みたいなものは、3Dならではです。


私が行った映画館では、3D版で字幕版は上映していませんでした。
吹き替え版は、松たか子さん、神田沙也加さんの技量が凄かったです。
お二人ともミュージカルの舞台をやりこんでますから、まさに適任です。
普通、海外アニメの吹き替えをタレントさんが行いますと、批判の対象になりますが、今回は絶賛の嵐です。
何ら違和感なしです。
最後のテロップを観るまで、雪だるまのオラフをピエール瀧さんが演じている事に気づかず、驚きました。
こちらも、まったく違和感ありません。



【「真実の愛」が時代によって変わった】


アナが、氷の魔法で死につつあるのを救う方法は、「真実の愛」です。
昔のディズニー映画なら、その愛を授けるのは、白馬に乗った王子様でした。
男女の愛が、物語のゴールだったのです。


時代が変わりました。
「真実の愛」は、アナとエルサ(雪の女王)の姉妹愛だったのです。


この映画を観た人達は、そこに至るまでに2回、ミスリード(視聴者を誤った解釈に誘導するような内容)があります。
一人目の白馬に乗った王子様は、実は悪者でした。
それじゃあ、アナと一緒に旅をした無骨な山男・クリストフか?
そう思わせておいて、姉妹愛に落ち着きます。


家族愛に着地したおかげで、老若男女誰もが受け入れられる作品になったのではないでしょうか。
ディズニー史上、2人のディズニープリンセスが主人公になったのは初めてだそうですし、姉妹愛(家族愛)がテーマというのも、良いオチだと思いました。



【れりご〜♪】



(一緒に歌おう♪『アナと雪の女王』「Let It Go(ありのままで)<歌詞付Ver.>」 松たか子 など関連動画)


映画を観ていない人でも知っているであろう「Let It Go」。
この映画の大成功は、もうこの劇中歌だと言っても過言ではありません。


当初、雪の女王・エルサは、もっと悪役っぽい顔と性格でした。
あまりにもこの歌が良すぎたので脚本が変わったそうです。


これを唱った場面は、魔法を使える事がみんなにバレてしまい、雪山へ逃げたシーンです。
氷の城を作り、自分ひとりだけで生きる事を決意します。
いわば絶望したシーンです。


けれど、ありのままの自分で生きようと、表情も明るく前向きです。
とても悪役とは思えませんよね。
ここまで良い曲ならば、脚本に影響を与えてもおかしくありません。


この曲は劇中だけではなく、物語が終わった後のエンドロールで、再度使われます。
May Jさんが歌うバージョンです。
物語が終わり、再度、雪の女王・エルサは「ありのままの自分」で生きようとします。
けれど今度は、ちょっと違う。
一人ぼっちで生きるのではなく、ありのままの自分をみんなに受け入れてもらって生きるのです。
同じ曲でも、劇中とエンディングでは、ニュアンスが変わるのです。
歌や曲は、そういう使い方が出来るのがいいですね。


幼いころの劇中歌「雪だるまつくろう」も、ラストシーンで再度、別の形で使われます。
幼いころの仲が良かった頃のように、再び姉妹が仲良くなる事を印象づけていると感じました。


歌の力って、本当に凄いと思いました。



【あっさり気味のストーリー】


アナ、雪の女王・エルサ、その他のキャラクターも、極端な性格な人物はいません。
悪役にしても、現実の世界にいてもおかしくない程度の性格です。
現実の世界では、どんな人物にだって陰と陽があり、悩みを抱えつつも前へ進もうとしています。
この作品の登場人物は、観ている人達が投影できるのが良いのでしょうね。
逆に言えば、マンガちっくな極端な性格はおらず、おりこうさん(常識人)ばかりですから、あっさり気味に感じる人がいるのは仕方ないのかも。


「真実の愛」を男女の愛ではなく、姉妹愛(家族愛)にしました。
昔の単純なラブストーリーにしていません。


アナは、エルサを連れ戻すため旅に出ます。
山男のクリストフ、トナカイのスヴェン、魔法の雪だるまオラフと北の山へ向かいます。
昔の映画なら、「西遊記」みたいに、その旅のシーンに時間を割きます。
各キャラクターの性格を描くのに使いやすいからです。
けれど今回の映画は、あまりありません。


雪の女王・エルサが、雪と氷の魔法が使えるようになった理由は語られていません。
持って生まれたもので終わらせています。
昔の映画なら、その魔法を使えるようになった経緯に時間を割きます。
特殊なモノはストーリー展開上、簡単でオイシイからです。


このように、濃く描こうと思えば出来る部分をかなりはしょっています。
しかもミュージカルですから、歌を唄うことで、心情や状況説明などを短くしています。


話しをはしょるのは、視聴者側の鑑賞力が高くなってしまい、今さらその部分を語っても、「これって、昔観た○○と同じだよね」になってしまいます。
大抵のストーリーは、テンプレ化されていますものね。
バッサリとカットしているのも、あっさり気味に感じる要因かなと。


印象的な歌を前面に出し、ストーリーをあっさり気味にしているから、プロモーションビデオのように、何度も繰り返し観たくなるのかなと思います。
それが、興行収入の高さに繋がったのではないでしょうか?



映像美、劇中歌の良さ、適度に抑えたストーリー展開。
リピーターを増やす要因満載です。


私が観た時は、親子だけではなく、恋人同士、20〜40代ぐらいの女性など、いろんな方が鑑賞していました。


7月16日にはブルーレイなどが発売されますが、大画面の3Dで鑑賞するのは劇場ならではです。
6月中旬で上映終了の映画館が多くなりますので、是非、足を運んでいただければと思います。

Posted by kanzaki at 2014年06月01日 23:16