●映画『大怪獣のあとしまつ』公式サイト
https://www.daikaijyu-atoshimatsu.jp/
公開と同時に「令和のデビルマン」と、ネット上に酷評記事が載りましたね。
ある意味、強烈なキャッチコピーとなっています。
けれど、そこまで酷くは無いですよ。
シリアス&リアルなものを期待していた人が、三木聡監督「時効警察」等の深夜ドラマのコメディテイストを観せられたから怒っているのだと思います。
これは三木聡監督より、押井守監督に任せた方が良かったかも。
「機動警察パトレイバー」の特車2課のような現場の活躍と、政治家や上層部の思惑をうまく展開できたのではないでしょうか。
(むしろ、パトレイバーのエピソードとしてやったらいいかも。怪獣モノは実際にあるし)
※
「シン・ゴジラ」が終わり、今度は「シン・ウルトラマン」が始まりますが、本作はその舞台の入れ替え作業をする裏話的なものです。
怪獣を倒したあとの死骸処理を扱った特撮映画。
これは、特撮・SF好きにはたまらない内容ですよね。
昔、「空想科学読本」という本が大ヒットしました。
ゴジラや仮面ライダー、ウルトラマンなど、特撮番組やアニメなどで常識になっている変身、巨大化等が科学的にどこまで正しいのかを本当の科学で検証する内容です。
●マンガやアニメ、ゲームの世界を科学的に検証する『空想科学研究所』
https://www.kusokagaku.co.jp/
特撮・SFファンは、作品が空想科学だと認識しつつも、そこに本物の科学考証を求め、リアリティを追及します。
この映画の予告編を観て、多くの人はそういう部分を求めていたと思います。
それがコメディというか、コントみたいなノリで展開するし、最後のオチも途中で分かってしまいますからねえ・・・。
コントみたいなノリの原因は、政治家パートの部分です。
政治家たちが、あれこれ現場無視で騒いでいました。
この映画の半分以上が、それに費やされています。
顔も名も知れている俳優さん達の無駄遣いでした。
政治家パートをごっそりカットすると、1時間もありません。
死んだ怪獣の現場処理に携わる人達は、そこまで悪くありません。
どうやって怪獣の死体を後始末するのか、スペシャリスト達がもっとあれやこれや検証をして試し、失敗を繰り返す・・・そういう現場の活躍をもっと観たかったです。
トライ&エラーの作戦数が少ないのです。
政治家パートとギャグを減らして、こっちに費やしてもらいたかったです。
キャラとしては、火薬を使った爆破関係のスペシャリスト役・オダギリジョーさんが良かったです。
一番、キャラが立っていたと思います。
彼とならず者的な感じの仲間達が、現場で活躍するのは良かったですよ。
政治家や軍人じゃ役に立たないから、異業種のスペシャリストが招集される・・・ブルース・ウィリス主演映画「アルマゲドン」みたいな内容だったら面白かったのにね。
「アルマゲドン」みたいな、本業以外のならず者たちによる現場判断の活躍を観たかったなあと。
オダギリジョーさんの演じたキャラを主人公にしたら、かなり面白かったと思います。
展開が遅いから緊迫感がありません。
体内の熱で爆発が起きる設定は、タイムリミットのある緊迫感を生む要素だったはずなのに、どうもそこまで追い詰められた感じはありません。
※
主人公を演じた山田涼介さんは、特別感を演じさせたらとても光る人なので、人選は正しかったです。
唯一、最後までブレず、ギャグパートにキャラが侵食されませんでした。
この主人公についてのオチは、途中で観客は気づいてしまいます。
それは良いのですが、劇中でもっと「普通の人とは違う」ということが分かるエピソードが欲しかったです。
振り返ってみるとクライマックス以外、実は何も行動していないのです。
勿体ないなあ。
※
さて、現実世界で本当にこのような事が起きたらどうやって解決するのでしょう。
一番近い事例は、クジラの死体処理だと思います。
●土中で2年の眠り「漂流クジラ」の価値ある行く末
https://www.sankei.com/article/20210724-FDGRDPEHLFL73NBXTAJIRHYAII/
・港湾局によると、クジラの死骸は一般廃棄物にあたる。
廃棄物処理法に基づき、港湾を管理する大阪府が処分することになった。
クジラのような巨大な漂流物は、裁断して焼却処分するのが通例だ。
死骸の陸揚げには費用がかかり、処理施設への運搬にあたって重機の手配も必要になる。
・大阪湾で10メートルを超える鯨類の漂流が確認されるのは珍しく、地元の大阪市立自然史博物館(同市東住吉区)が「学術的な価値がある」として引き取りを希望。
骨格標本として保存することになった。
●マッコウクジラに学ぶ廃掃法
https://www.yy-sanpai.com/cat-5/1359.html
腐敗の進行により異臭が凄い中での作業は、本作品でも同じような事を描いていました(主にギャグとして)。
映画に出てくる怪獣は、表面が物凄く堅いそうなので、裁断して焼却処分するのは大変そうです。
粛々とやるしかないので、映画的ではないですね。
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