2006年10月16日

10月スタートのテレビドラマの感想2:「Dr.コトー診療所2006」

普段、テレビドラマを見ることがあまり無い私。
しかし、この秋スタートのドラマは気になるものが幾つかありまして、第一話を見ました。
その感想なんかを書いてみたいと思います。

2.Dr.コトー診療所2006(第一話視聴率23.2%)

●「Dr.コトー診療所2006」公式サイト
http://www.fujitv.co.jp/kotoh/index2.html

本土から船で何時間もかかる離島「志木那島」の唯一の診療所に赴任して奮闘する青年医師・五島健助と、かたくなに心を閉ざす島民達が次第に五島に心を開く過程、人間的なふれあいを描いたヒューマンドラマ。その続編です。

私は前作もスペシャルも見ていません。
けれど、質の高いドラマなんだろうなあとは感じていました。
初回を見るにあたり、特に予備知識なしで見たのですが、さして違和感なく見ることが出来ました。
第一話を見た後に、簡単に前作までのあらすじ、キャラ設定に目を通しました。

ドラマの続編と云うのは、実に作るのが難しいと思います。
前作では、主人公に対して心を閉ざす島民達が次第に心を開く過程を描いた訳ですが、今回は「既に心を開いちゃっている」訳ですよ。
つまり、ドラマの王道である、「話しが進むにつれて人の心が変わって行く過程」を描けないのです。
ドラマは基本的に、感情が動かなくてはお話しとして成立しません。
続編は過去の設定をそのまま流用できるし、前作の人気にも便乗できますが、製作側はドラマとして登場人物達の感情を動かすのに頭を悩まします。

今回はそういった心に変化を付けにくいので、新キャラを投入したり、前作の登場人物達の後日談的なものとなっていますね。
原作があるので、その話を盛り込まなければ当然いけないのではありますが、前作で形作られた世界観を一度壊してしまい、再構築してがら最終回まで進んでいくのでしょう。
その破壊の最初として、星野彩佳(柴咲コウ)の乳ガン発覚があるのだと思います(原作にもある設定ですが)。

前作では、島の人達の心の変化を受け止める側に立っていたのが、五島健助(吉岡秀隆)・星野彩佳(柴咲コウ)でした。
しかし乳ガンと云う設定により、今度はあれこれと心が変化していく立場になりました。
基本的に一話完結だった前作。そして島の美しさが、視聴者の心を爽やかにしていました(見ていないのですが、おそらくそうでしょう)。
しかし今回はこの設定により、なにやら閉鎖感がありますね。
どうしたって、第二の主人公である星野彩佳の病気の為に、完全なる爽やかさにはなりませんものね。

新ドラマ「僕の歩く道」と幾つかの共通点があります。
ひとつは、第二の主人公がいること。
「僕の歩く道」は自閉症の主人公・大竹輝明(草なぎ剛)と同じぐらい、ヒロインである獣医・松田都古(香里奈)にもスポットをあてています。
自閉症の主人公では感情の起伏の表現は難しく、基本的には主人公の周りにいる人達の感情の変化(主人公に対する偏見など)を中心に取り扱っていくと思われます。
その代表格が、松田都古。
主人公の奇怪な行動をちゃんと理解し、周りの人達に説明します。
終始、感情を抑えていたのですが、第一話の最後で遂に主人公に対して感情を爆発させてしまいます。
彼女の精神的な成長も、ある意味主人公と同格に描かれることでしょう。

同じく「Dr.コトー診療所」の主人公である青年医師・五島健助もそれほど感情に起伏がありません。
いつも穏やかで優しい口調。そして沈着冷静。
いろいろな設定はあるものの、ドラマとしてはこの人物を動かすのは難しい。
更に、前作で既に島の人達の心も変化(主人公に対する偏見など)も解消されているので、これらの登場人物もドラマとして動かしずらい。
そうなると、乳ガンと云う設定を投入したヒロイン・星野彩佳に感情の起伏を持たせるのは必然でしょう。
現に第一話の最後で、彩佳が涙を流して「自分だってコトー先生に診て欲しかった」「コトー先生は自分の気持ちが分かっていない」ことを感情を爆発させて訴えていましたね。
先生に胸を見られるのが嫌云々・・・と云う台詞が、このキャラを象徴的にあらわしていましたね。
かなり最強のツンデレキャラです(お
このキャラを通して今後、主人公を表現していくのでしょう。

共通点の二つ目は、主人公のイメージ服があることでしょう。
「僕の歩く道」は黄色い服、「Dr.コトー診療所」は白衣。
感情的にキャラ付けしにくい主人公に「色」を持たせるのは重要ですよね。

このシリーズの新キャラである仲依ミナ(蒼井優)。
原作があるから投入するのは当然。
人物のキャラ設定としては、かなり王道ですよね。
元々のヒロインである星野彩佳(柴咲コウ)が完璧キャラなので、そのアンチテーゼ・間逆の性格になるのは当然でしょう。
手術の最中に血を見て倒れたり、いつも仕事で失敗。
性格もおどおどしている。
けれど、基本的にはとても素朴・純情。
見ている方としては、分かりやすいキャラです。
また、今回の作品が続編なので、前作までを知らない視聴者のガイド的なキャラでもあります。
この子を通すことで、前作の登場人物の説明をしやすいですから。
第一話で、「ミナって呼んでください」と云っていたけれど、これは何かの複線ではないですか?(原作を読んでいる人ならばお分かりだと思います。多分)
苗字で呼ばれたくない事情があるのでは?
本来の赴任時期よりも早くやってきているし、このまま最後まで単なるオドオドキャラで済ませる訳がありませんものね。
冒頭でも書いたように、登場人物の殆どが前作で感情の動きを描いてしまっているので、この新キャラの成長には期待したいところです。

木曜10時のフジテレビのドラマとしては、初回視聴率が過去最高だったそうで、現在も撮影中のスタッフ・出演者には朗報だったでしょうね。
ますます、製作に力が入ることでしょう。

前作が見たくなったのですが、実は新潟では夕方には再放送中。
しかし本日で最終回orz
DVDを借りようかなあ。

Posted by kanzaki at 2006年10月16日 00:27