2006年10月16日

10月スタートのテレビドラマの感想3:「セーラー服と機関銃」

普段、テレビドラマを見ることがあまり無い私。
しかし、この秋スタートのドラマは気になるものが幾つかありまして、第一話を見ました。
その感想なんかを書いてみたいと思います。

3.セーラー服と機関銃(第一話視聴率17.3%)

●「セーラー服と機関銃」公式サイト
http://www.tbs.co.jp/kikanjyu2006/

「セーラー服と機関銃」とは赤川次郎の長編小説(1978年)。
1981年に薬師丸ひろ子主演で映画化され、1982年には原田知世が主演でテレビドラマ化。

・セーラー服と機関銃 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%BC%E6%9C%8D%E3%81%A8%E6%A9%9F%E9%96%A2%E9%8A%83

「セーラー服と〜」と聞くと、薬師丸ひろ子さんが機関銃を撃ち「カ・イ・カ・ン」と云うシーンを思い起こすでしょうね。
今回のドラマでも冒頭に、最終回のクライマックスであろう機関銃を撃つシーンからスタート。
やはり、この象徴的なシーンが最初に映し出され、一気に引き込まれました。

私自身は、薬師丸さんの映画は見ていません。
テレビでこの映画が紹介される際、必ずと云っていいほど映し出される「カ・イ・カ・ン」のシーンと、目高組の組員たちが学校へ主人公・星泉を迎えに来るシーンしか知りません。
ですので、どんなストーリー展開かは分からないのですが、星泉(長澤まさみ)と佐久間真(堤真一)の二人だけで相手の事務所へ乗り込むところをから想像するに、他の組員は全員殺されてしまうのかなあ。
その敵討ちで殴りこみに行ったのではないかと。

このドラマを見る理由・きっかけの多くは、大ヒット映画「セーラー服と〜」のリメイクだと云う事の他に、長澤まさみさんが主演だと云う事が大きな要因ではないでしょうか?
今の時代には珍しく、東宝と云う映画会社の専属女優と云うポジション。
ですので、テレビへの露出はCMなどが殆どで、ドラマに出てもサブキャラばかり。
主人公としての彼女を見たければ、映画館でお金を出さなければ観ることが出来なかった訳ですから、ファンとしては嬉しいことでしょう。
また彼女としましても、ここ最近の主演映画が今ひとつ興行収入に伸びが無く(「ラフ」は、今年の東宝作品の最低興行収入)、イメージダウンにもなりかねない状態でした。
最新作「涙そうそう」は公開第1週の週末興行成績は1位、次の週も2位をキープしており、本人も関係者もほっとしていることでしょうね。
(「ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟」が公開8週目なのに、いまだ10位にランキングしている事の方がもっと驚きですが・・・)

映画のヒットで弾みのついたところで、いよいよ主演ドラマ放映開始。

公式サイトの組員達と並んでいる写真を見れば分かりますが、長澤さんは背が高いですよねえ。
168cmありますし、そして堤さんよりも肩幅があります。
けれど、画面上ではあまりそのモデル体系を強調せず、基本的に昔ながらの古風なイメージを出しています。
主人公・星泉は、モロに男が描く典型的な女子高校生ですよね。
ショートカットのせいでしょうか、長澤さんが昔の広末涼子さんに似ています。
広末さんのキャラも、男が描く典型的なパターン。
21世紀になってもやはり古風な女の子の方が、男は好きなんですよね。

公式サイトに、各キャラクター紹介のページがあります。
そこに主人公・星泉の細かい設定が紹介されています。

中3まで、父と同じ床屋に通っていた。
高校入学を機に、友人の和子の紹介で、美容院デビュー!

BSでメジャーリーグを見ることがある。シアトルマリナーズのファン。

生真面目な性格なので、ボタンは一番上までとめている。

中3のときに、おこずかいで買ったポシェット。生真面目なので物持ちがいい。

中2から背がグングン伸び、高1の5月でこの身長になる。

落ち込むと相田みつをの詩で勇気をもらっている。

キャラクター紹介中1から相田みつをのファン。中1のころの口癖は「人間だもの」だったらしい。

イチローが好き。

ポシェットの中には、メモ帳・ハンカチ・財布・生徒手帳・携帯・エチケットブラシが入っている。

初恋はまだ。

靴下は白。そして、この長さが基本。

いつも同じスニーカーを履いている。

星泉と云いますか、中年男性が思い描く長澤まさみ像そのままですね(汗
垢抜けない、生真面目な感じ。
劇中のキャラと、一般大衆が描く長澤まさみさん像が、これほどまでにマッチした作品もないでしょう。

最初、機関銃をぶっ放すシーンから始まったので、暗い雰囲気で展開するのかと思ったら、目高組のメンバー紹介がやけにギャグっぽく明るかったので、ちょっと戸惑いました。
そのまま引き続き見ていますと、必ずしもシリアス一辺倒なお話で無いことが分かり、この雰囲気にもすぐに慣れました。

原作が昭和の王道的ストーリーですから、やはりドラマも昭和テイストの王道なストーリー展開でした。
最初、組長になってくれと依頼されて断るけれど、色々な事を通じて勢いあまって了承する。
けれどその直後、いきなり襲撃をくらい、早くも後悔するところが面白かったです。
その時、主人公を佐久間真(堤真一)が必死に敵の攻撃から守る姿が、この二人の関係を一発で具現化していて良かったです。
先代の組長の遺言どおり、主人公を身体を張って守る佐久間真。
この二人の年齢差もまた絶妙です。
歳が離れているので、恋愛関係にはならない。
けれども二人は一心同体で、文字通り命がけで生き抜く。
二人の間に流れる空気・時間がとても好きです。

「僕の歩く道」「Dr.コトー診療所2006」の感想でも書きましたが、この二作同様、この作品も第二の主人公(佐久間真)がいることが分かります。
恋愛にはならない男女。星泉と佐久間真。
けれど、二人は共に生き抜く運命共同体。
第二の主人公も、主人公と同じぐらい劇中で細かく描いています。
星泉は主人公だけれど、ごく普通の生真面目な女子高生なので、ヤクザの世界ではとても弱い存在。
漫画みたいに、主人公に特殊能力があるわけではなく、巻き込まれ型の平凡キャラ。
この主人公を普通じゃない環境で、主人公らしく活躍させるには、それを上手くフォローする第二の主人公が必要。
こちらは、ヤクザの世界にどっぷり浸かり、しかもその世界の中ではハイスペック。
これだけ二人のスペックに違いがありすぎるからこそ、見ていて面白いんですよね。

それと、「僕の歩く道」の主人公の服は黄色、「Dr.コトー診療所2006」の主人公は白衣、「セーラー服〜」は文字通りセーラー服を着用。
やはり、着ているものに特徴を付けるのはキャラ設定の中で重要なようですね。

このドラマは他のドラマと違って全7話なので、物凄く話しが短いです。
その為、話しをテンポよく進めていかなければいけません。
第一話の途中まで、のんびりな展開だなあと思っていたら、主人公の家が何者かに荒らされて、しかも父親は事故ではなく殺された疑いが出てくる・・・ここら辺からストーリーに加速が付いて最後まで一気に視聴する事ができました。
父親殺しの犯人探しと云うのもサイドストーリーとして進んでいくのが、連続ドラマを続けて見るのに良いエッセンスになるのではないかと思います。
これが無いと、女子高生がヤクザの組長になって、場違いなところで活躍するドタバタコメディになりかねませんものね。
父親は劇中、それほど細かく描かれていませんでした。
まあ、普通に優しい父親だなあと思った程度。
けれど話しが進むに連れて、実はこの優しい父親には裏の世界の顔があった・・・なんて云う展開もあるかもしれませんね。

全7話中、中盤の話しは、目高組の構成員と星泉との交流話し・人情話しが中心になりそうですよね。
その部分で各組員を細かく描き、視聴者が親近感や感情移入を出来るようにすれば、最後の悲劇(予想ですが、星泉と佐久間真以外の組員は、敵対する組に殺される)の際、視聴者はその展開に泣き、星泉と佐久間真が敵の組へ殴りこみに行き、機関銃をぶっ放すシーンまで食い入るように見てしまうでしょう。
だから全7話と短いですが、中盤で主要人物を丁寧に描いてほしいものです。

特撮好きな人は、このドラマをお茶を飲みながらのほほんと見ていたとしたら、ある人物の登場の際、お茶を吹いてしまったかもしれませんね。
本田 博太郎さんが、敵対する悪道ヤクザ・浜口組の組長を演じていました。
この組長、表向きは浜口物産の社長だそうです。
本田さんは特撮番組「仮面ライダーカブト」にて、第二の主人公・加賀美新(仮面ライダーガタック)の父親・加賀美陸を演じています。
劇中、表向きは警視総監なのですが、ZECT(仮面ライダーを作った組織)と云う組織の実力者なのです。
どちらの作品でも同じ年齢設定。
しかも、キャラクターまで一緒なんですよ(汗
不気味に笑いながら怪しい台詞を云うところなんて、ウリふたつ。
「セーラー服〜」にて、「めだかの学校」の歌を怪しく歌っている姿を見ていると、仮面ライダーカブトを見ている錯覚さえ覚えました。
恐るべし北京原人。

総じて、女性よりも男性の方が食い入るように見てしまうドラマだと思いますよ。
今期のドラマで他に似たようなタイプのドラマが無いので、視聴率もそこそこ安定してとれるのではないでしょうか。

Posted by kanzaki at 2006年10月16日 23:36