2007年09月01日

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」の感想【1】

10年ほど前、社会的ブームを巻き起こした「新世紀エヴァンゲリオン」。
庵野秀明総監督が再び、その作品を復活させました。
それが、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」。
Wikiによると全4部作になるらしい。


○全4部作(予定)

前編『ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:序 EVANGELION:1.0 YOU ARE (NOT) ALONE』(2007年9月1日公開、上映時間:98分)

中編『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』(2008年公開予定、上映時間:90分)

後編+完結編『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:急』+『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:?』(公開日未定、上映時間:45分×2)


完結編は完全新作となり、その終わりは企画段階の構想に近い、大団円となるエンターテイメント志向の作品になるそうです。
確か私が見たことのある初期の企画書によると、最後に月から最強の敵達が舞い降りて、それらと戦うと言う内容だったと思います。
本当にそんな感じになるのかなあと疑心暗鬼でしたが、実際に映画を見て、本当にそうなりそうな予感です。

この作品を公開当日に鑑賞しましたので、感想を書きたいと思います。
いつもどおり、ネタバレしています。

9月1日は「映画の日」(1000円で誰でも鑑賞できる日)。
しかも夏休み明けの土曜日です。
私が行ったシネコン系の映画館は激混みでした。
そのシネコン系映画館で最も収容客員数が多い1番館で上映されていたのが、ヱヴァでした。

当日初回、朝の上映チケットは、前日までに既に完売。
私は夜20時45分から上映の回を見たのですが、そちらもほぼ満員でした。
座席予約指定の回だったので、非常に助かりました。
当日最終上映は23時からだったのですが、そちらは自由席。
並ばないと良い席が取れません。
そのせいでしょうか、私が鑑賞し終わって出たところ、23時上映回を見るための長蛇の列が出来ていました。
一番後ろは、映画館の出入り口まで続いていましたよ。
この映画館を頻繁に利用している私ですが、こんなに混んでいるのを見たのは始めてです。
「新劇場版:序」の上映館数は少なく、目標としている興行収入は10億円だそうですが、これならば、「新劇場版:破」の時は拡大上映され、一般作と同じ扱いをされるのではないでしょうか。

映画館に行って驚いたのは、ヱヴァを見に来た客層でした。
10年前の映画の際は、私のようなヲタ系の人達ばかりだったのですが、今回は見た目も普通・・・否、イケメンやステキ女子の方が多かったです。
年齢も25歳以下が圧倒的でした。
以前のシリーズを見ていた頃、まだ10代前半だった人達ですよね。
思春期の目に、あの作品はどう映っていたのか気になるところです。

今回の新作は、旧作のリメイクではありません。
庵野監督自身が言っている通り、新作「エヴァ」は繰り返しの物語です。
時間軸は同じですが、行っている事が微妙に違っています。
パラレルワールドと言うより、前作の最後にアスカが「気持ち悪い」と言った後の世界を描いているようです。

それを感づかせるようにでしょうか、映画の冒頭が、前作のラストシーンを思わせる光景でした(砂浜と赤い波)。
前作の影響でしょうか、最初からこの新作に映し出される海は赤色をしています。
そして本作の最後に、カヲルが登場。
どうやらカヲルは、月にいるようです(地球から見上げて見える月かどうかは不明)。
この月には、赤い血の帯が付着しています(地球から見上げた月には無し)。
これは旧作のラスト、巨大化した綾波レイの首元から大量の出血をした際に付いたものですよね。
棺の中から裸で目覚めて起き上がったカヲルは、ゼーレの人(No.01)と会話します。
ゼーレの人は、旧作後半のモノリスみたいな物体として登場し、人の姿は現しません(新作では、ゼーレの人達は最初から人の姿を見せません。これも旧作との違い)。
カヲルが「また3番目か、変わらないね君も・・・。会える時が楽しみだよ、 碇シンジ君」と言うところから、前作の続き・ループだと分かります。
カヲルは、旧作の世界の記憶を持っているのですね。
カヲルのいた所には棺が幾つかありましたので、ひょっとしたらカヲルの他にも人間の姿をした敵(?)がいるのかもしれませんね。
それら全てが目覚めて、敵側もエヴァに乗って月から地球へ飛来して戦うことになれば、旧作の初期設定に酷似した内容となりますね。
そうすると、カヲルは使徒ではないのかな?

旧作同様に、セントラルドグマ最深部に、リリスが十字架にはりつけられています。
ミサトはヤシマ作戦の直前に、シンジを連れて行き、それを見せます。
旧作では、ミサトですら、リリスを見たのはかなり後半でしたよね?
今回、ミサトは最初からそれを知っています。
しかし、このリリスは、旧作と姿が違います。
顔に付けてある仮面が、使徒サキエルの顔なのです(それを見たとき、私は笑ってしまいました)。
ミサト自身が「リリス」と言っていることから、リリスに間違いないのでしょう。
しかし、カヲルのいる月には、このリリスに似た白い巨人が横たわっていました。
そちらの巨人の仮面は、旧作と同じゼーレのマーク(7つの目)が付いた仮面でした。
この月は幻想的な世界ですが、白い巨人の横たわっている周辺に、鉄骨やクレーン等がありましたから、決して未開の土地ではないようです。

セントラルドグマにあるリリスを旧作と違い、「第2使徒」と明言しています。
また、胸には既にロンギヌスの槍が刺された状態となっています。
旧作では、槍をさしたのは後半でしたよね。
まだ初号機が戦う以前から、壊れたビルの谷間に巨大な人型をかたどった赤い線がありました(殺人事件で、死体があった場所を人の形で線を引いたものと同じ感じ)。
あれが、第2使徒リリスが倒れた場所なのかどうかはまだ不明。
旧作よりもリリスの存在が、ネルフ職員達に公になっているのには驚きました。

新作を見るに、謎を謎のままにして観客に想像させるのではなく、ちゃんと作品の中で完結させようとしているのが伺えます。
10年前は、旧作の謎本が沢山発行されて、みんなが読んでいましたよね。
哲学者が作品を語っていたりしていたっけ。
そういう事が今回は無いような気がします。
エンターテイメント作品として仕上げるようですし。
「ふしぎの海のナディア」のように、きっちりと終わるのを期待しています。

【続く】

Posted by kanzaki at 2007年09月01日 23:45