2004年06月14日

布袋寅泰 in トップランナー【6】

前回の続き

武田
「ギターソロを弾いている時って、次にBだっけかな、Cだっけかなみたいなことを思っているものなんですか?」

布袋
「もう思わないですね。
昔はそれこそ、はじめてスタジオミュージシャンの仕事とかに行くじゃないですか。
コードとか知らないから、ちっちゃいコードブックを隠して持っていって、みんなが見ていないときに、コードブックを見て、Aなんとかってこれかとか見て、その指の形にしたまま、ずっと待っているわけですよ(笑)
コードが書いてあった構成音の中しちゃ動けないんだっていう、音符に縛られる感覚が昔はあったんだけれど、全然そういうんじゃないんだよねぇ。
特に音が外れていても、いいんだよね。
そう思った瞬間から、本当のアドリブが弾けるようになりましたよね。
昔は本当に、ソロを弾くのがあんまり好きじゃなかったし、20年前のインタビューとか見ると書いてありますよ、きっと。
"髭を生やして、しかめっ面をしながら長いギターソロを弾くようになったらお終いだ"とか云ってましたからね」

自分の髭を触りながら照れ笑い。

布袋
「ソロで弾いているという感覚があまり無いんだけれど、どんどん自由になっている感じ?
ギターを弾けば弾くほど、音数が多くなてきった感じがするね。
音を抑えて、ドしか弾かないと思ったら、ドしか出ないけれども、ドの前にも、ドの後ろにも限りなく色んなレとファとシがあるわけじゃない?
ジャストじゃなくてもいいんじゃないかなあ。
知らないバンドが、ここで演奏をしていて、どのキーだか分かんなくて、どんな曲になるか分かんない、でも楽しもうということだったら、何も知らなくても全然、OK、OK、やらして、やらしてって感じでJAMが出来ると思うし。
今までJAMをたくさんやったからねぇ。
ロンドンとかで、それこそ酔っ払っちゃあ、どこどこのスタジオにブライアン・メイがいるというと、ドンドンとドアを叩いて、一緒にやりませんかって、殆どなんか酔っ払いが絡んだ状態でねえ。
相手も、渋々やっているうちに楽しくなってきたりさあ」

本上
「ソロになってから15年ぐらい経ちますけれども、様々なアーティストの皆さんと共演をされてきて、特に印象に残った方とかいらっしゃいますか?」

布袋
「たくさんいますよお。
それこそ、長年のアイドルだったデヴィッド・ボウイ。
オープニングアクトという形でしたけれど、お誘いをもらって、デヴィッド・ボウイが至近距離に来た時は、目がクラクラしましたよね」

本上
「デビット・ボウイのホテルの部屋に、布袋さんがお手紙を入れたという・・・」

布袋
「そうそう。
デヴィッビットさんがいらして、せっかく日本で数日ご一緒するんだから、同じホテルに泊まろうと思って、バーで飲んだりとか、そんなこともあって。
二日のうち初日が終わって、いつ俺と一緒にやってくれる? って声をかけてくれるのかなあと待っていたんだけれど、なかなか来なくってさあ。
初日が終わった夜、もんもんしているのも嫌だし、後で後悔するのも嫌だったから、拙い英語でレターを書いたんです。
明日、僕を誘ってくんないの? みたいな感じのニュアンスだったと思うけれど。
次の日、武道館に入ったら、彼が一緒にやろうよやろうよって感じで来てくれて。
"ヒーローズ"という曲と、"全ての若き野郎ども"の2曲をやろうよと云ってくれて、願いは通じたと思ったんだけれど、何を考えたのか、"僕、一曲でいいです"って感じになっちゃってさ(笑)
2曲なんてとんでもないって」

本上
「自由に切り替えられるようになったというのは、そういうことを重ねてきたからというのがあるんですかねえ」

布袋
「だからやっぱり、20年前は20年前のつい最近なんですよねえ。
5年前は5年前のつい最近。
今だったら、つい最近だったような気がする? 昨日のような気がするってうか、91年の何月でしたみたいな感じじゃない。
なんかの拍子に、急に巧くなったりはしないっていうか、結果的には最後まで結論が出ないから、続ける意味があるんだと思うし、賞状が欲しくてやっているわけじゃないですから」

今日はここまで。
布袋さんの子供のような素直な探究心、向上心・・・そういうのを持って実行したから、普通では叶わないような体験も実現できたんでしょうね。
長い間、一線で生きている人っていうのは、素直な人なのかもしれない。

この続きは、また次回へ。

Posted by kanzaki at 2004年06月14日 23:35 | トラックバック (0)
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