2010年04月24日

映画は字幕派? 日本語吹き替え版派?

sakura2010shinanoriver01.JPG
※「Nikon AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8 G ED」レンズを使用
(APS-Cセンサーのカメラで使うと90mmになり、中望遠レンズとしても普通に使えますね。
本日、信濃川沿いで撮影したのですが、まだ桜の鑑賞が出来ますよ)

「ズームイン!!SUPER」にて、大人向け映画の日本語吹き替え版が人気である事を紹介していました。
映画ランキング一位「アリス・イン・ワンダーランド」など、日本語吹き替え版に力を入れている作品が大ヒット中です。
映画ランキング五位「シャッターアイランド」は、「超日本語吹替版」と銘打っています。

街頭にて一般の方にアンケートを実施。
字幕版と日本語吹き替え版、どちらが好きか答えてもらいました。

字幕派の意見は、日本語吹き替え版だとイメージが変わってしまう、好きな俳優の生の声を聞きたいなどの答えが返ってきました。

日本語吹き替え版派の意見はといいますと、ずっと字幕を見ていると疲れてしまう、映画を見ているのか字幕を読んでいるのか分からなくなるなどの答えが返ってきました。

アンケートの結果、全体的には字幕派が多かったのですが、シニア世代、10代の若者は吹き替え派が多いという結果になりました。
シニア世代は字幕に追いつけないと言うのが主な理由。
10代は、字幕の方が楽という分かりやすさを優先していました。

昔の外国映画ファンは、できるだけオリジナルにこだわっていました。
10代が分かりやすさを求める理由として、テレビで放送される吹き替え版映画の延長として、映画館に行くからとの事。
確かに吹き替えだと分かりやすく、自分達の日常に近いです。
そして、若い人達が外国映画より、日本映画を好む傾向にあるのも、大きな理由。
2006年を境に、外国映画より日本映画の方が、興行収入が上になっています。
吹き替え版は、若者の洋画離れを引き止める秘策の一つでもあるのです。

レンタル屋では、ビデオからDVDへメデイアが移行された感がありますが、大抵の外国映画のDVDは、字幕と日本語吹き替えの二つを一枚のDVDで選択できるようになっています。
また、人気の海外ドラマですが、テレビ放映では日本語吹き替え版であり、その浸透が吹き替え容認の後押しをしているとか。

DVDの吹き替え版制作の現場では、とある変化が起きています。
吹き替え版が好きな人達が、インターネット上で議論を交わすようになり、制作側もそれを無視できず、むしろ意識して作っているそうです。
ファンの意見をチェックし、制作に反映しているというのは、大きな動きですね。

映画ランキング一位「アリス・イン・ワンダーランド」が日本語吹き替え版の上映に力をいれている理由は、「3D上映」だからです。
大迫力の3D映像に集中できるように、吹き替え版の上映比率を大きくしました。

一般的な洋画は、吹き替え1:字幕9の比率。
一方、「アリス・イン・ワンダーランド」は、吹き替え6:字幕4なのです。

あの大ヒットした映画「アバター」も同じ理由で、吹き替え4:字幕6です。
私も3D版が見たくて映画館へ行ったのですが、その時は吹き替え版を見ました。
新潟のその映画館で3D版を見るには、吹き替え版しか無かったのが理由なんですけれどね。
でも、映像に集中できて良かったです(宇宙人達同士の会話は字幕だったのですが、確かに読むのが面倒でした)。

現在公開中の「シャッターアイランド」は、「超日本語吹き替え版」と銘打っております。
何が今までの吹き替え版と違うかと言いますと、一言で言えば「意訳」なのです。

日本人が普通に会話しているような自然な言い回しで、違和感のない言葉になっています。
日本人に違和感がないように、徹底した意訳重視なのです。
翻訳家のパイオニア・戸田奈津子さんが、はじめて吹き替えの監修をしています。

リアルな吹き替え版にする為、なんども稿正しています。
普通、台本の刷り直しは二稿程度。
超吹替版のシャッターアイランドは、四稿まで行いました。

例えば、どんなリテイクがあったかと言いますと・・・

※暴力に満ちている→とても暴力的だ→暴力にどっぷりの男だ→暴力にまみれている

こんな感じで台詞の修正を行った箇所は1,000以上だそうです。
さらにこの意訳は、本国で厳しくチェックされています。
O.Kだったのものだけが採用されたのです。

例えば・・・

You have outstanding defense mechanisms.

直訳:君の防衛メカニズムは大したもんだ。

意訳:とっさの切り替えしがうまい。

最終決定:身を守るための切り返しがうまい。

大分、分かりやすくなりましたね。
レオナルド・ディカプリオを演じた声優さんも、「とにかく自然な演技」を貫いたそうです。
また今回の場合、いつもならば一日で終わる仕事も五日かかったとか。

実は、字幕版が主流なのは、日本ぐらいだそうです。
日本にて外国映画が上映されはじめた当初から、日本人の識字率が高いこと、西洋に対するあこがれが字幕派が多い理由だそうです。

私が幼い頃、「エアーウルフ」「特攻野郎Aチーム」「ナイトライダー」など、日本語吹き替え版を普通に見ていました。
むしろ、オリジナルを聞いた方が違和感があったりします。
それとは別に、外国映画を普通に字幕で見たりもします。
どちらでも対応できるし、どちらが優れているとか関係ありません。
最近、映画もドラマも、どこかで見たことのあるものの焼き直しや、原作モノばかり。

字幕・吹き替えの優劣より、「作品そのもののクオリティ」を上げて欲しいというのが私の感想です。
ここで言う「クオリティ」というのは、「リアルさ」ではありません。
勿論、リアリティも大事だけれど、もっと大切なのは、コアな映画ファンだけではなく、一般の人達が維持でも映画館で観てやると思えるような「華」が欲しいのです。

Posted by kanzaki at 2010年04月24日 21:29