2008年09月13日

ポーラ美術館コレクション―モネ、ルノワールからマティス、ピカソまで

新潟県立万代島美術館では8月9日から10月5日まで、「ポーラ美術館コレクション―モネ、ルノワールからマティス、ピカソまで」展を開催しています。

休日に行きますと混んで嫌なので、なかなか行けませんでした。
ちょうどぽっかりと平日の午後に休みが取れたので、鑑賞しに行ってきました。
近所なので、自転車で気が向いた時に行けるのはありがたいです。

さすが平日の昼下がりだけあり、殆どお客さんがいませんでした。
おかげで一作一作をじっくりと鑑賞できたし、絵画の横にある詳しい解説も、一つ一つ読むことが出来ました。
大体3時間ぐらいかけて全てを鑑賞したのですが、一冊の長編歴史小説を一気に読んだかのような満足感がありました。

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下記は、パンフレットからの抜粋。

巨匠の「名画」。
ポーラ美術館コレクション
モネ、ルノワールからマティス、ピカソまで

2002年9月、箱根仙石原に開館したポーラ美術館は、印象派や日本の近代洋画や日本画など、約9500点の美術作品を収蔵しており、日本最大級のコレクションを誇ります。

中でも西洋絵画は、印象派やセザンヌ、ゴーガン、ゴッホなどのポスト印象主義、そしてピカソ、マティスら20世紀絵画に至るまで、体系的に収集されており、美術史を語るうえで重要な時代や作家たちの作品を網羅しています。

ポーラ美術館のコレクションの優れている点として、それぞれの時代を代表する画家たちにとって、重要な意味のある、いわゆる「名画」ばかりを所蔵していることです。これらの作品群はポーラ・グループのオーナーであった鈴木常司氏が40年以上にわたって収集したものですが、作品の歴史や時代背景を研究したうえで、ヨーロッパの近代美術の流れがわかるような収集を心懸けたと言われています。コレクションの多くが「巨匠の名画」ばかりなのも、このような背景があるからかもしれません。

本展ではこのコレクションの中から、モネの「睡蓮」、「グランド・ジャット島」、「セーヌ河の日没、冬」、ルノワールの「水浴の女」、セザンヌ「4人の水浴の女たち」、ゴッホの「ヴィゲラ運河にかかるグレーズ橋」など、ポーラ美術館が所蔵する作品の中でも最も人気があり、かつそれぞれの作家を代表する作品とも言える名画73点を紹介します。

印象派の誕生からマティス、ピカソの登場まで、西洋絵画の粋の結晶とも言える名画の数々をこの機会に是非ご覧下さい。


上記文章に「印象派」という言葉があります。
これは、どういう意味かと言いますと・・・、

●印象派 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%B0%E8%B1%A1%E6%B4%BE

印象派(いんしょうは、仏:Impressionnistes)または印象主義(いんしょうしゅぎ、仏:Impressionnisme)は、19世紀後半のフランスに発し、ヨーロッパやアメリカのみならず日本にまで波及した美術及び芸術の一大運動である。
1874年にパリで行われたグループ展を契機に、多くの画家がこれに賛同して広まった。
また、「印象派」・「印象主義」の概念は、音楽の世界にも適用される。
写真の発明による肖像画産業の低迷と、「見た感じ」の面白さに気付いたヨーロッパの画家たちは、写実主義から離脱し、絵画独特の表現方法を探索し始めた。
そのような中で、細部やタッチにこだわらず、新たな空間表現と明るい色使いを多用した印象主義が発生した。
それまで、どちらかと言えば暗く重苦しい絵画が多かったヨーロッパで、明るい印象派の絵画は主流と言えるほどに流行った。
この運動以降の絵画は写実主義から開放され、芸術性やメッセージ性のより強いものに変化し、キュビズムやシュールレアリスムなどのヨーロッパにおけるさまざまな芸術運動が生まれる契機となった。


画家達の描いた作品は、下記ページ中盤にある「印象派」「後期印象派」という所から参照してください。
各画家達の細かい解説もあります。

・ヴァーチャル絵画館
http://art.pro.tok2.com/index.html

リアルに描くのだったら写真の方がてっとり早い時代になってしまったので、リアルさよりも、絵画だからこそ出来る「物事の分解と再構築」を表現してみたといったところでしょうか。
つまり今で言うところの「デザイン画」「イラスト、アニメ」に近いんじゃないかなと思いました。
同じ角度の筆跡だけで描いたり、「線」ではなく「点」だけで絵を描いたりと、描き方そのものが斬新。
精密な描き方ではなく、2次元的でポップかつメッセージ色が強い絵・・・そんな風に感じました。
2次元的で明るい絵は、当時流行した日本の「浮世絵」が影響しているというのが面白いですし、日本人としては嬉しいところです。

各画家達の解説を読んでみますと、彼ら印象派の画家の多くは、裕福な生活とは無縁だったようです。
その代わり、いろんな場所を転々として描き続け、同じ考えの画家達が寄って集まり、大いに楽しみ、そして激しく衝突して絶好したりと、かなり自由かつ荒々しい生き方のようです。

実際に作品を間近で見てみますと、お世辞にも上手い絵とは言えないものが多かったです。
インスピレーションで、自分の頭に描いたイメージをトレースするような感じなので、リアルさとはかけ離れた子供のような絵でした。
2次元的なものが多いし、中心に描かれた人物と後ろの背景は境界線が無くて融合しています。
筆で描いた線の多くは荒くて太く、絵の具が盛り上がったまま固まった部分が多い。
描かれた各オブジェの比率が、実際とはかけ離れている。
有名なピカソの絵に至っては、横を向いた顔なのに両目が描かれている!

私は忠実に描かれた絵の方が好きなせいか、最初は展示してある絵に抵抗感がありました。
しかし、じょじょに、その勢いのある画に圧倒され、飲み込まれていました。

音楽で言えば多分、彼らはクラシックではなく、ロックやポップスをカンバスに描いたのではないでしょうか。
固っ苦しい伝統や忠実さよりも、当時の人達の心を高揚させるような勢いのある画風。
ほら、昔はロックやバンドをしていると不良だとレッテルを貼られ、蔑まされた時代があったじゃないですか。
新しい音楽は昔の人には雑音に聞こえるからなのでしょう。
けれど、若い世代には共感をしてもらえた。
印象派の絵というのは、そういう位置にあるのではないかと思いました。

なかなかこうやって実物を見る機会なんてありません。
これらの作品を本やパソコンの画面上で見ても、その勢いや力強さはなかなか伝わりません。
まだ開催中なので、是非ご覧ください。

Posted by kanzaki at 2008年09月13日 20:47