2010年09月07日

「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」を読んだ感想【1】

内容紹介(amazonより)

●敏腕マネージャーと野球部の仲間たちが甲子園を目指して奮闘する青春小説。高校野球の女子マネージャーのみなみちゃんは、マネージャーの仕事のために、ドラッカーの『マネジメント』を間違って買ってしまいます。はじめは難しくて後悔するのですが、しだいに野球部のマネジメントにも生かせることに気付きます。これまでのドラッカー読者だけでなく、高校生や大学生、そして若手ビジネスパーソンなど多くの人に読んでほしい一冊。

●内容(「BOOK」データベースより)
公立高校野球部のマネージャーみなみは、ふとしたことでドラッカーの経営書『マネジメント』に出会います。はじめは難しさにとまどうのですが、野球部を強くするのにドラッカーが役立つことに気付きます。みなみと親友の夕紀、そして野球部の仲間たちが、ドラッカーの教えをもとに力を合わせて甲子園を目指す青春物語。家庭、学校、会社、NPO…ひとがあつまっているすべての組織で役立つ本。

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先日、ジュンク堂へ行ったら、
「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」
が沢山陳列されていました。
表紙には、「100万部突破」の帯が付いていました。

今年、一番よく聞いたタイトルの書籍だと思います。
この本は、このタイトルと萌え系の表紙で、既にヒットが約束されたようなものでした。
けれど、100万部を軽く突破するとは思いもしませんでした。

図書館のオンライン予約をしていたら、案外あっさりと借りることが出来ました。
早速、読んでみることにしました。
ここから先、ネタバレしまくりですので、ご注意ください。

この本の良いところは、非常に読みやすいところです。
ちょっと通ぶった人ならば、真っ先にこの文体に突っ込むでしょうね。
それぐらいシンプルな文章です。
だからこそ私は、誰でも理解しやすいのだと思います。
私は「雨が降っている」ことを文章にするならば、「雨が降っている」と端的に書いている文章が好きです。

ドラッカーの「マネジメント」というビジネス書の代名詞の言葉を引用して物語が進むのですから、なるべく誰にでも理解しやすいように書くのがいい。
そういう意味では、この小説の文章は適していると思います。

また、表紙をめくって裏側の一番右はじに、主な登場人物の名前や説明が書かれています。
シンプルな文体と言えど、高校野球のお話しですから、必然的に登場人物も多くなります。
なるべく混乱しないように表紙の裏側に、このような工夫をしたのは偉いと思います。
これでかなり、混乱が少なくなります。

登場人物の名前も分かりやすいです。
主人公はの名前は川島みなみ。
「みなみ」と言えば、野球漫画「タッチ」の浅倉 南(あさくら みなみ)を思い出しますよね。
高校時代、野球部マネージャーと新体操部に所属していたキャラクターです。
「甲子園に連れて行って」という南の夢を叶えるため主人公が頑張るお話し。

それに対して今回の「もし高校野球の女子マネージャーが〜」は、女子マネージャーが「マネジメント」という武器(本)を片手に、「野球部みんなを甲子園へ連れていくぞ!!」と率先して動くお話しです。

書籍「マネジメント」に書いてある意味を自分なりに理解し、野球へ応用していきます。
そして、それが野球部を甲子園出場へ導いていく事になるのです。

文章が分かりやすいだけでなく、主人公たち登場人物にもクセがありません。
東大受験合格者を輩出する進学校なので、漫画「ルーキーズ」のような不良はいません。
最初の頃は、考えの違い、思い違い等があったせいでギクシャクしていた野球部。
けれど、性格そのものは素直な部員ばかりなので、主人公達の創意工夫により、じょじょに部員たちの結束が高まり、練習にも力が入っていきます。

現実の世界だと、「マネジメント」を応用しても、なかなかうまく物事が進まないこともあるでしょう。
けれど、これはフィクション。
たった一冊の本と女子マネージャーが生んだ奇跡を描くには、素直に動くキャラクター達の方が良いのだと思います。
世界観は、「ルーキーズ」や「クローズZERO」のような高校生活ではなく、どっちかというと「らき☆すた」「けいおん!」に近いと思います。
ほのぼの系というのでしょうか。

まあ表面的にはほのぼのですが、みんな胸の内には、色々な事を抱えているところは、案外、現実世界に共通しているのかも。
むしろそういう方が、リアルかも。

勿論、ちゃんと野球のシーンも後半は沢山あります。
けれど、最後の地区予選準決勝戦、決勝戦以外は、殆ど数行でおしまい。
試合で各部員が、どんな活躍をしたかよりも、今まで練習を真面目にやってこなかった部員達が、いかにして真面目に取り組むようになったかの方にページを割いています。

真面目にやったからと言って、現実世界では急に強くなれるわけではありません。
けれどいいじゃありませんか。
たった一人の少女の願いが、沢山の人達を大きく動かすエピソードというのは、読んでいて清々しいものです。

続く(本当は一気に書きたいのですが、仕事が忙しくて、なかなか書けません・・・・)

Posted by kanzaki at 2010年09月07日 23:55