2004年06月10日

布袋寅泰 in トップランナー【3】

前回の続き

テロップ
『history』

ナレーション
「布袋寅泰さんは、1962年2月1日生まれ。群馬県高崎市の出身。
現在は長身ですが、幼い頃は小柄でお母さんっ子(母:富子さん)。
はじめて手にした楽器は、意外にもピアノでした」

武田
「ギターには、いつ出会ったんでしょう」

布袋
「ギターに出会ったのは、13.14ぐらいだったと思うんですねぇ」

武田
「ギターの音が聴こえてすぐ飛びつきました? それとも・・・」

布袋
「サウンドじゃなかった気がするんですよねぇ」

武田
「格好だったり・・・」

布袋
「うーん。街を歩いていたら、そこに"T.TREX"と云うバンドの"マーク・ボラン"のポスターがあって、その硬骨な表情でギターを鳴らしている瞬間の写真を見て、
"あーなんてこの人は気持ち良さそうにしているんだろう・・・"
って思って視線を下に降ろしたら、ギターがあったんだね。
と、云い続けてきたので、それが本当のような気もするし、もっと云ってしまえば、岩手県に親戚がいて、親戚の兄ちゃん・姉ちゃんが、フォークとか何とかをやっていたりとか。
まあ、誰かの家でビートルズの音楽がかかっていたりとか、そういうのがあったと思うんだけれど。
でも、ギターが欲しいなと思ったのは、そういう格好からだっという気がしますね。
カックイイ! って云うさ、うん」

解説テロップ
『マーク・ボラン(1947〜1977) "T.REXのリーダーであり、グラム・ロック界のヒーロー"』

武田
「(まだ子供だから)すぐには買えませんよね?」

布袋
「まあ、いろんなインタビューで云っていて、お母さんにとってはもう時効なんだけれど・・・。
お母さんのお財布から1万円をくすねてですね、楽器屋さんへ行って、ストラトキャスターだったかなあ・・・」

武田
「アンプが付いていたやつですよね」

布袋
「アンプが付いてて、ケースも一応付いて・・・付いて無かったかなあ?」

武田
「ケース、付いて無かったです」

布袋
「ダンボールで持ってきたよね。うーん」

この会話から、以前、武田君に見せた事がある事がうかがえますね。

武田
「悪い子だったんですか?」

客席から含み笑い。

布袋
「まあ、そういう事をやる子は、いい子じゃないでよねえ(笑)
でも、いわゆる"ワル"かと云うと、"ワル"じゃないですね。
小学校では生徒会長だったし(ニヤリ)」

武田
「えっ!? 云う事、聞けー!みたいな。 (握りコブシを上げながら)コラー!みたいな」

布袋
「そういう生徒会長じゃなかったけれど・・・。
小学校の生徒会長って、
"昨日、校庭に、このブルマーが落ちていました"
のような、落し物紹介みたいなもんじゃん」

MC、観客の笑い。

布袋
「でもね。天邪鬼なところがあって・・・。
僕らの時代の群馬は、全員、坊主にならなきゃいけなかったんだよね。
坊主になることも嫌だったし、強制的に自分を決められるのが嫌で・・・。
僕は私立の学校へ行っていたんですけれど、そこが非常に自由な学校でね。
長髪もO.Kだし、私服だったし、そこで大らかに育ちながらも・・・。
今はこんな顔になっちゃったし、コワモテなイメージもあって、アニキな感じがあるかもしれないけれど、リーゼントとかした事がなかったし、どっちかというと長髪で、イエローモンキーの人みたいな感じでしたよ」

武田君、笑ってます。

布袋
「結構、キャーキャー云われていたしさ」

ナレーション
「高校に進学した布袋さんは、ますますギターの魅力に引き込まれていきます。
そして、3年生の3学期、高校を中退。
母親の反対を押し切り、上京します」

布袋
「だから非常に母親には、結局、世話になりっぱなしですよね」

武田
「(上京する時、)何てお母さんを説得したんですか?」

布袋
「息子の信じているものと云うものに、自分も委ねてみたいと云う気持ちになってくれたんだと思うのね。
結局、東京に出てきてからも、バイトをやるんだけれど長続きしないし、結局は仕送りに頼っている訳ですよ。
一応、バイトをやったけどね、コーヒー屋さんとか。
あと、渋谷でバイトの募集があったんで行ったんだけれど、
"背が高すぎて、お客さんに圧迫感を与えるから駄目"
だって。
なんじゃそれ! と思いながら・・・」

武田
「店長を圧迫(威圧)していたんじゃないんですか?」

布袋
「(大笑いしながら)そんな事はないですよ」

本上
「それは、何屋さんだったんですか?」

布袋
「コーヒー屋のウェイターですよ。
銀座でバイトをやったりとか・・・でも、何をやっても中途半端。
とにかく働いた金は全部、ギターにつぎ込んで、そうすると家賃が払えないし、でも洋服は欲しいしみたいなさ、ワガママ放題だったねえ。
よく許してくれたと思うねえ。
その頃、
"とにかく、やめろ。ギターなんて、あなたが好きなのは分かるけれども、それでご飯を食べていくのは、並大抵の事じゃないんだから、やめなさい"
と、何度も云われたんだけれど・・・。
でも、武道館ではじめてやった時に呼んだら、
"あなたは、やると思っていたわ"
と(笑)」

会場、爆笑。

布袋
「そういう意味では、サッパリしたお母さんですよね」

武田
「最初にギターを手にした時、アンプを通して、その1万円のギターに運命を感じました?」

布袋
「いや、これっぽちも感じませんでしたねえ。
(ギターを演奏する格好をしながら)だって、音が出ないんだもん。
エレキギターって、アンプを繋げば音が出ると思っていたから。
イメージした音が出ないんですよ。
ギャ〜ン! なんて無い。
パカポンッ! みたいなさ。
逆に、これが俺の運命だと思ったのは、やっぱ、氷室京介さんと・・・。
田舎が一緒だったんですけれど・・・」

今日は、ここまで。
さあ、いよいよ氷室さんとの運命の出会いについて語ってくれます。
どんなエピソードが飛び出てくるやら。

今回のお話を聞いていて、「人の運命」と云うものは、案外、ドラマチックなものではないんだなあと思いました(良い意味で)。
今回のエピーソードでは、ご自身は「運命」だと思わないと云っているけれど、私にはむしろ、そういう地味な出来事の集大成が「運命」に思えます。
きっと他人が原稿を書くと、「伝説のロッカー誕生秘話」みたいな、それこそ「プロジェクトX」並の伝説的な人物に「造り上げて」しまうんだろうなあ。
だから逆に、今回のような地味なお話しが聞けて良かったです。
「運命は、何気ない日常の先にあるものなんだ」って思えたから。
平凡な生活をしている人が、いきなりスーパースターの街道を歩くのではなく、自分の好きなことを日常の中で見つけて、普段から何気なく接して歩み続けていたら、その平凡な道の先に、スーパースターの道があるのでは。
よく飲み屋の女の子とかが「私は今、こんな所で働いているけれど、いつか××になりた〜い」と云いますよね。
その際はこちらも、「そうだね、頑張ってね」と笑顔を作って云うけれど、内心はそうは思っていません。
「こんな生活をしていて、どうやると××になるんだよ。××になる為に、日々、何かをやっているの?」と問いたくなります。
布袋さんみたいな、とてつもなくビッグな人だけでなく、世の中に生きている人みんなが、「運命」へ向かう事ができるチャンスはあるのだと思います。
けれど間違ってはいけないのは、その運命は、自分の日常の生活の先にあると云う事。
夢を実現するには、その夢へ続く道と、現在自分が立っている道とを繋ぎ合わせる作業が必要なんだと思います。

この続きは、また次回へ。

Posted by kanzaki at 2004年06月10日 23:21 | トラックバック (0)
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