2023年11月19日

映画『正欲』の感想〜傑作も問題作でもない。共感も驚愕もない

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●映画『正欲』公式サイト - ビターズ・エンド
https://bitters.co.jp/seiyoku/

監督:岸善幸
原作:朝井リョウ
出演:稲垣吾郎、新垣結衣、新垣結衣


【あらすじ】
横浜に暮らす検事の寺井啓喜は、不登校になった息子の教育方針をめぐり妻と衝突を繰り返している。
広島のショッピングモールで契約社員として働きながら実家で代わり映えのない日々を過ごす桐生夏月は、中学の時に転校していった佐々木佳道が地元に戻ってきたことを知る。
大学のダンスサークルに所属する諸橋大也は準ミスターに選ばれるほどの容姿だが、心を誰にも開かずにいる。
学園祭実行委員としてダイバーシティフェスを企画した神戸八重子は、大也のダンスサークルに出演を依頼する。

2023年製作/134分/


稲垣吾郎×新垣結衣『正欲』60秒予告


【新垣結衣×磯村勇斗】この世界で生きていくために、手を組みませんか?『正欲』


※※※


【感想】

先週、公開早々に観てきました。
エンドロールは、稲垣吾郎さんが先頭でした。
多分、観ていた人全員が、「主人公はガッキーちゃうんかい!」と突っ込んでいたと思います。

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新垣結衣さん、劇中のメイクのせいか、田中みな実さんに似た感じの顔でした。
もちろん、身長は新垣結衣さんの方が20センチぐらい背が高いのですが。
新垣結衣さんは35際、田中みな実さんは36歳。
婚期を逃した30代独身女性の役は、他の人でもできますよね。
新垣結衣さんが演じる役柄ではないように思いました。
疑似オナニー、疑似セックスとかのシーンがありましたが、そういう性的なものを新垣結衣さんに求めている人っているのかなあ・・・。


新垣結衣さんは、「ゴジラ-1.0」の山崎貴監督作品「ゴーストブック おばけずかん」の小学校先生役が似合ってました。
品性高潔ではなく飄々としていて、劇中の息抜き役です。
現在再放送中の朝ドラ「まんぷく」の松坂慶子さんのポジションです。
多分、主役よりもそういうポジションの方が輝くのかも。

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お話しとしては、マイナーな性癖というかフェチの人のお話し。
この作品内では、「水フェチ(?)」の人たちのお話しです。
水の動きとか感触とかそういうのが好きな人たちが登場します。


水フェチの新垣結衣さんと磯村勇斗さんが偽装結婚するお話し。
そう書くとコメディーな感じなのですが、稲垣吾郎さんとの接点を作るために犯罪に巻き込まれるという、かの「ダンサー・イン・ザ・ダーク」エンドです。
無理やりな最後だったなあ・・・。
しかも、ぶつ切りエンドで、各キャラの後日談もなし。


これでは、少数派はやはり危険だとしか印象に残らなくなってしまいますね。
マイノリティと、マイナーなフェチ、LGBTの区別がこの映画では理解できません。


稲垣吾郎さん演じる主人の嫁(専業主婦)と、登校拒否でユーチューバーを目指す小学生の息子が不愉快です。
先日鑑賞した「愛にイナズマ」に登場した、プロデューサーと助監督並みに不愉快です。


稲垣吾郎さんの役が、劇中で一番まともなのですが、ちょっと言い方がキツいので、家族の仲が悪くなります。
(なんていうか、稲垣吾郎さんが演じる検事の「正義の幅」が狭い)


描き方としても、稲垣吾郎さんの役は、他の登場人物たちから見れば適役なのですが、嫁と息子の態度が悪いので、観客もそんなに悪意とか抱かないと思います。
嫁と息子は、「自分たちは正義!」と主張を振りかざし、日常生活のやるべきことをしていないですから。
(嫁は部屋を片付けないし、夫に出す食事はレトルトのカレーをチンするだけだったり。
その癖、息子のユーチューブのサポートをしてくれるイケメンの為に美容関係は欠かさない)

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私が観て、見どころは、新垣結衣さんがお惣菜屋さんで、カニクリームコロッケを2個買うシーン。
店主が、「うちのカニクリームコロッケは、カニがたっぷりだよ」と言い、新垣結衣さんが「楽しみ」と微笑むシーン。
なんでもないごく普通のシーンなんですが、観客が新垣結衣さんに求めるのは、そういうごく普通のシーンなんじゃないですかね。
ふてくされていたり、敵意をむき出しにするシーンとか求めてないように思います。


傑作も問題作でもない。
共感も驚愕もない。
心を揺さぶるほどのものでもない。
映画ならば、ちゃんと登場人物たちの結末を描いて欲しかったですね。

Posted by kanzaki at 2023年11月19日 15:12