2004年04月27日

東京交響楽団第26回新潟定期演奏会【2】

前回の続き。

飯森さんは次に、今回演奏する「マーラー ;交響曲 第5番 嬰ハ短調(最終改訂2002年版)」について解説しました。
「最終改訂2002年版」というのは、国際マーラー協会が、資料研究の発展著しいマーラー研究の動向を反映し、綿密な原典資料の研究のもと新たに校定した、この交響曲の最新の批判改訂版です。

今までとどこが違うのかと云うと、前回の改定版から、さらに、第1楽章で56箇所、第2楽章で84箇所、第3楽章で116箇所、第4楽章で26箇所、第5楽章で100箇所が変更されているそうです。
飯森さん曰く、「よくもまあ、数えたものです」。

どうして、こんなに変更したかと云うと、「作曲家は、自分で思い込んでいるところがあるから」だそうです。
「ここは、ピアノ」と、作曲家は書いたつもりでいるのだけれど、実際は書いてない。

今回の改訂によって、細部の表現(強弱記号やアクセント)が整合性を持つものとなったそうです。
そして、より振幅の激しい表現が生み出されるようになりました。

指揮者は今まで、譜面上には記載していないけれど、ここはアクセントを強調して欲しいと思ったであろう等と想像して、マーラーの頭の中に描いたものを再現していました。
今回、そういういろんな所を改定し、完璧なものとなったものを演奏するとの事。
演奏者も想像ではなく、実際に譜面に記載されているので、自信を持って演奏が出来るとも云ってました。

今回の楽器の配置は、見慣れてきた人には違いが分かるそうです。
今回は、ドイツ式のスタイルで行っているとか。
ちょっと、マイクの音が聞き取りにくくて、細かい説明が分かりませんでした。
確か通常と違い、客席から見て、左側にコントラバス、ビオラ等があるとか、何とか。
そこが、アメリカスタイルと違うところだそうです。
マーラーは、このドイツスタイルで演奏されることを前提に作曲したのですから、そのスタイルで演奏しようという事になったそうです。
ここ数年ヨーロッパでは、ドイツスタイルにするのか、アメリカスタイルにするのかを事前に選択して考えるのが当たり前になってきたそうです。

また、1st Violinsと2nd Violinsが対等の立場で演奏しているそうです。
まるで呼応するかのように演奏するので、聞いている人達がステレオ効果で、立体的に聞こえるのもポイントの一つだそうです。

第1楽章からはじまり、第5楽章まで続くのですが、77、8分もの長い演奏になるので、今のうちにトイレへ行った方が良いとの事でした。

そんな感じで、プレトークは終了しました。

自分で書いていて、専門的な事はチンプンカンプン。
けれど少なくとも感じたのは、大昔に創られた曲が、今なお進化し、改良を加えられている事の凄さです。
クラシックって、昔のスタイルを間違いなく正確に受け継ぎ、新しいものは余り歓迎しない雰囲気だと思っていました。
けれど一度出来上がったものでも、更に改良を加えていくという、その積極性。
作曲者の頭の中では、こう演奏されたであろうものを再現するという研究熱心さ。
凄いもんだねぇ。

次回は、実際に聞いた時の事を書こうと思います。

Posted by kanzaki at 2004年04月27日 07:00 | トラックバック (0)
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