2021年11月03日

「アイの歌声を聴かせて」の感想〜コミカルな中に伏線を散りばめ、とても秀逸な脚本でした

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アニメ映画「アイの歌声を聴かせて」を観ました。


田園風景にある高校を舞台に、AIロボット「シオン」が、ひとりぼっちの女の子サトミに「私がしあわせにしてあげる!」と、周りを巻き込んで奮闘するお話しです。


折々、ディズニーのミュージカル作品のように歌って踊ります。
(この歌う理由も、きちんと理由付けされているのが凄い!!)


●映画『アイの歌声を聴かせて』公式サイト
https://ainouta.jp/



映画『アイの歌声を聴かせて』予告編



映画『アイの歌声を聴かせて』歌詞付きMV♪土屋太鳳「ユー・ニード・ア・フレンド 〜あなたには友達が要る〜」



AIロボットだと正体を知った5人の生徒たちとの出会い。
前半は各人物をAIロボットならではの行動で、コメディタッチで幸せにしていきます。


そして後半は、そんなAIロボット・シオンを救うためにみんなが奮闘します。


AIロボット・シオンと、女子高生サトミの関係は、ある意味、ドラえもんとのび太の関係に近いかもしれません。
だから、本当の意味での主人公は、サトミのほうなんでしょうね。


AIロボットの声は、土屋太鳳さんがあてています。
まっすぐで淀みのないキャラに、声がとてもあっていました。
しかも、歌声が素晴らしい。
ディズニー映画に負けないようなスケール感を持っている楽曲を存分に表現できる才能に驚きました。


実質の主人公・サトミは、福原遥さんが声をあてています。
声優さんより声優さんですよ。
実写映画とは表現方法が異なるアニメにおいて、ここまで喜怒哀楽をうまく演じられる俳優さんを知りません。


男の子の中でメインとなるトウマを工藤阿須加さんが演じています。
理系でうまく相手に感情を伝えられない男の子をうまく演じていました。


大抵、アニメ映画で俳優が声をあてると、残念な結果になることが多いです。
単なる客寄せ的な面が多い。
ところが、土屋太鳳さん・福原遥さん・工藤阿須加さんの3人は、劇中にて「良い意味で俳優の顔が浮かばない」ぐらい上手に声をあてていました。
これって凄いことですよ。
誰が声をあてているか知らないで鑑賞していたら、多分、殆どの人が声優さんが声をあてているのだろうと思うでしょう。
凄すぎです。



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1クールアニメのような超王道な展開。
脚本がとても丁寧で、技量のある方の脚本だと思いました。
前半のコミカルでテンポの良い展開の中にいろんな複線を散りばめ、後半にうまく回収しているからです。


姿かたちがゴミ箱と勘違いされる「記憶媒体」や、道路に書かれた「AI運転侵入禁止」「止まれ」、後半のメイン舞台となるビルの構造など、小道具・舞台を使った話の転がし方や心理描写なども上手です。


AIロボットは「命令しなければ動けない」という設定まで、見事に脚本に取り入れていました。
むしろ、話しの根幹となっています。


もしかすると、脚本が上手すぎるがゆえに、アクが無いかもしれない。
各パラメーターが全て4点のものより、1点と5点が混ざっためちゃくちゃなモノの方がネットでバズりやすい昨今だからです。


けれど、ネットでの評価も高いので、今後口コミで評価されていくように思います。



歌うアニメ映画といえば、ディズニー映画を連想しますよね。
ミュージカル要素を多く含み、観ている人に夢を与えてくれる作品が多いです。


「アイの歌声を聴かせて」は、ディズニー映画の中でも「アナと雪の女王」のような、大人でも共感できる作品と共通するものを感じます。
それは、がっつりした恋愛を主軸にせず、いってみれば半径5km圏内の日々の悩みや幸福を描いているからです。


現実的な舞台で巻き起こる「if」を主軸に、社会や個人が抱える問題をテーマにした作風という意味では、どちらかというとピクサー映画に近いのかもしれません。


おそらく多くの人が、この作品は「竜とそばかすの姫」とライバル関係として比較することでしょう。
歌が主軸で、主人公が田園風景暮らし、インターネットやデジタル技術で世界とつながっていますから。


両作品とも、小学校の女の子に観せてあげると、きっと喜ぶと思いますよ。
まずは世界ではなく、日本の観客を楽しませることを意識しているからです。
日本の土壌と感性、アニメとの親和性の高い歌で構築された作品。
今年も良い作品が世に出てきて嬉しいですよ。


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●「竜とそばかすの姫」を観た感想〜この作品は是非「夏(夏休み)」に観て欲しいです。学生時代の、あの頃の「成長」を思い出せるかも
http://kanzaki.sub.jp/archives/004888.html

Posted by kanzaki at 2021年11月03日 16:39