2008年10月19日

ゲーム機を使ったゲーム以外のビジネス

私は、PSPという携帯ゲーム機を持っています。
PSPを買う前に持っていたゲーム機と言いますと、スーパーファミコンになってしまうので、本当に久しぶりにゲーム機を購入しました。
でも、ゲームは殆どしません。

ゲームが全く嫌いかと言うと、そうでもありません。
しかし、ゲームに時間を拘束されると、他の事が出来なくなるのでやっていないという感じです。

PSPを持っていますが、UMDディスクで購入したものは、カーナビ用の地図ソフトや星座のデータベースといったものだけ。
PSPと言えば「モンハン」が定番なのでしょうが、多分、一生やらないと思います。

普段のPSPの活用方法ですが、

・ブラウザで「2ちゃんねる」「ウィキペディア」といった軽いサイトの閲覧
・GPSユニットを装着して、自転車で出かけた際のポータブルナビ
・ワンセグチューナーを装着して、テレビのニュースを見る
・音楽、動画、ネットラジオの鑑賞

上記のような事に使っています。
ある意味、手のひらサイズのパソコン的な使い方です。

最近のゲーム機は、パソコンを凌駕する機能を搭載しておきながら、パソコンより敷居が低いので、誰でも手軽に楽しめる仕様となっています。
あとは「使い方」が問題です。

最近、ゲーム機が異業種分野を巻き込んだ使い方をされ始めました。
今回は、雑誌「日経ビジネス」に掲載されていました、ゲーム機の意外な利用方法をご紹介したいと思います。


(1)日産GT-Rのプロモーション展開に使用

日産は来年1月、GT-Rという車を欧州で発売します。

●日産:NISSAN GT-R [ GT-R ] スポーツ&スペシャリティ/SUV Webカタログ ホーム
http://www2.nissan.co.jp/GT-R/R35/0710/index.html

GT-Rは日本の国内専用車です。
しかし、「グランツーリスモ」という全世界で5,000万本も売れたゲーム内に登場したおかげで、海外のクルマ好きにも「幻のクルマ」として存在が知られるようになりました。
知名度が高まり、海外からも「買いたい」というリクエストが舞い込むようになりました。

この車、800万円近くする高級車でして、欧州での販売目標は、月間75台。
販売台数が少ないので、広告費は全くといっていいほどかけられない状態です。

そこで日産は、ゲームを使ってプロモーション展開をすることにしました。
実際、昨年12月の日本国内および今年7月の米国での販売も、同様に展開しました。

発売前の発表会の様子を、PS3のユーザー向けにリアルタイムでネット配信したり、新車発売と同時に、ネット経由でGT-Rの新型をダウンロードして遊べるようにしました。

こういった展開のおかげでしょうか、米国では月間125台に対して既に1,700台の受注を獲得。
欧州でも既に1,700台を受注しているそうです。


(2)PSPが医療の現場で活躍

今年10月から関西地区の20箇所の接骨院において、PSPが医療の現場で使われることになりました。

施術者が、首からぶさげたPSPの画面を患者に見せ、治療内容と費用を確認してもらいます。
入力した内容は、PSPの無線LAN機能を使い、外部の専用サーバーへ送ります。
患者には、領収書を兼ねた施術内容証明書をプリンタで印刷して手渡します。

PSPはある意味、ネット接続の出来る小さなコンピュータ。
しかも端末の価格は安い。
コスト削減が重要な個人経営の医療現場に活用できるのではないかと考えられました。
そこで、神戸にあります「LEIS(レイス)」という会社がシステムを開発しました。

個人経営の接骨院は大抵、経営者が施術者を兼ねている場合が多いです。
医療保険を保険機関へ請求する事務作業は非常に手間がかかり、とてもその事務処理だけに時間を割いている余裕はありません。

そこでレイスという会社がその事務作業軽減のシステムを開発したのです。
PSP経由で送られたデータの管理、保険料請求代行もレイスが行い、利用料金として治療費用4%をマージンとして貰う形になっています。
来年中にはこのシステムを全国60箇所にまで拡大する予定だそうです。


(3)ゲームを使った広告展開

ネット上の広告といいますと「バナー広告」が一般的です。
しかし、そのバナーをクリックされる事はあまりないのが現状です。

そこで視点を変え、ゲームを使った広告展開に着目しました。
商品などの広告をゲーム化することを「アドバゲーム」と言います。
今、この市場が急速に展開しているそうです。

ゲームに満足した人は、商品に興味や関心を持つ割合が高く、ブランドを認知してもらいやすいそうです。

JR東日本ですと、「モバイルスイカ」のアドバゲームがあります。
イメージキャラクターのペンギンが登場するオセロ、ギター演奏、アクションの三種類のゲームがあります。

サントリーの缶コーヒー「ボス」、明治製菓のガム「キシリッシュ」等もゲーム広告の展開をしています。

ゲーム広告の費用は、およそ1ゲーム500万円前後といわれています。
ちょっとコストが高いですよね。

電通はコストの低下の為の工夫を始めました。
広告主からゲームの雛形を選んでもらい、商品やメッセージに合う形にカスタマイズする仕組みを準備します。
年内には70本以上の雛形を用意する計画だそうです。


(4)Wiiが「本棚」になる

任天堂「Wii」を使った新しい試みとして、デジタルコミックの配信を予定しています。
マンガの提供元は、講談社、集英社、小学館、角川書店。
コミックはインターネット経由で専用ソフトを使い、ダウンロードして購入します。
ダウンロードしたものは、ニンテンドーDSに持ち出せる形になる予定です。

マンガ雑誌の販売数は低迷しており、ピークだった1995年の4割程度まで落ち込んでいます。
マンガを多くの人に読んでもらいたいという出版社の思惑が、このサービスに繋がりました。

今までもパソコンや携帯電話を使って、似たようなサービスがありましたが、大手出版社が一堂に会するサービスは今回がはじめて。
コンテンツを一箇所に集めて「ポータル(玄関)」化した方が、より多くの人が集まると考えた結果です。

パソコンのサービスではお金を取るのが難しく、大半が広告モデルでした。
しかしゲームにはお金を払ってコンテンツを楽しむという文化があるので、この媒体を使うサービスに期待が掛かっています。


以上、ゲーム機を使ったゲーム以外のビジネスを紹介しました。
以前、学校の授業にニンテンドーDSを使ったケースがあり、ニュースでも取り上げられていましたよね。
こうやって記事になるのは、まだ「物珍しい」からというのがあります。
しかしいずれ、パソコン、携帯電話に続く新しい「生活情報端末」になるかもしれませんね。

sanpo20081019.jpg

船というものに子供達が興味を持ってくれて、船萌えな私には嬉しい事です。

Posted by kanzaki at 2008年10月19日 22:10