2023年10月22日
映画『月』の感想〜主人公パートの話しが薄いです
●10月13日公開、映画「月」オフィシャルサイト
https://www.tsuki-cinema.com/
監督：石井裕也
原作：辺見庸
出演：宮沢りえ、磯村勇斗、二階堂ふみ、オダギリジョー
【あらすじ】
「舟を編む」の石井裕也監督が宮沢りえを主演に迎え、実際に起きた障がい者殺傷事件をモチーフにした辺見庸の同名小説を映画化。
夫と2人で慎ましく暮らす元有名作家の堂島洋子は、森の奥深くにある重度障がい者施設で働きはじめる。
他の職員による入所者へのひどい扱いや暴力を目の当たりにする。
そんな理不尽な状況に憤る同僚の青年さとくんは、正義感や使命感を徐々に増幅させていく・・・。
2023年製作／144分／PG12
ーーーーーーーーーーーーーーーー
【感想】
実際の障がい者施設の殺傷事件を題材に描いています。
観ていて不愉快になりました。
なので、感想は簡単に書きます。
正直、人にススメません。
週末に観るような内容じゃありませんから。
1番スクリーンなのに、お客様は10名ほどの年配ばかりでした。
一方、「キリエのうた」は、若い人の行列ができていました。
宮沢りえさん演じる主人公も、その旦那役のオダギリジョーさんも、事件の当事者じゃありません。
事件の犯人と接点があるというだけ。
２人は事件に直接関与していません。
だから、主人公パートが薄いなあと思いました。
主人公の夫婦の間には、産まれてすぐ病気で息を引き取った子供がいました。
主人公は再び妊娠しますが、高齢出産だし、もしまた子供に同じような事があるのではと悩みます。
ですので、今回の題材となった事件とはあまり関連性がないのです。
別作品で描けばいいんじゃないかと思いました。
それだったら、磯村勇斗さんが演じた事件の犯人を主人公にした方が良かったのではないかと。
その方が短時間で濃い内容になったんじゃないかなあ。
この犯人は、耳の聞こえない彼女がいます。
犯人とこの障がいがある彼女をもっと深掘りした方が良いと思いました。
犯人を主人公にしにくければ、この彼女視点で描く手もあります。
犯人は障がい者を殺していくのに、そのそばに付き添っているのも障がい者。
だからこそ、いろんな心情を描けたのではないかと。
耳の聞こえない犯人の彼女を有効活用しておらず、非常に残念でした。
これは社会問題とかを問うた作品のつもりなのでしょうが、結果的には単なるサイコホラーになっていました。
犯罪を犯そうとする犯人の心の描き方は、サイコホラーの犯人そのものでしたから。
映像作品として世に出すなら、もう少し救いのある展開にして欲しかったなあと思います。