2017年08月29日

R.U.R.(ロッサム万能ロボット会社)〜人間はロボットによって、せっかく楽ちんになっても、その余暇に、新たな仕事を詰め込んでしまう性質の生き物だと思うのです


世界ではじめて、「ロボット」という名称が使われた作品は何だと思いますか?


それは、「R.U.R.(ロッスム・ユニバーサル・ロボット)」という戯曲(シナリオ)です。
第一次世界大戦が集結したばかりの1920年の作品です。


●R.U.R. - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/R.U.R.

R.U.R.(ロッサム万能ロボット会社)は、チェコの作家カレル・チャペックによる戯曲。 1921年に発表された。
この劇の発表によって「ロボット」という言葉を創り出した、歴史的作品である。
しかし、劇の内容からアイザック・アシモフがロボット三原則を使った作品を発表するまでの間、ロボット=反乱というイメージが付きまとうことになる。


●ロボット (岩波文庫) _ カレル・チャペック, Karel Capek, 千野 栄一 _本 _ 通販 _ Amazon
https://www.amazon.co.jp/dp/4003277422/


●青空文庫「R.U.R.(Rossum's Universal Robots)-ロッサム世界ロボット製作所)
http://www.aozora.gr.jp/cards/001236/card46345.html
(無料で、翻訳された作品を読むことが出来ます)


●2012年01月25日の記事「R.U.R.(ロッサム万能ロボット会社)〜1920年、世界ではじめて「ロボット」という言葉が使われた作品」
http://kanzaki.sub.jp/archives/002559.html



【話しの内容】


この作品で登場するロボットは、人間そっくりの労働用人造人間です。
サイボーグとかアンドロイドに近いです。


人間をしのぐ知性を持って話し、人間の何倍もの労働をこなします。
1体120ドル。
1日に15,000体も製造出荷しています。
ロボットのおかげで、人間は働かなくてすむようになります。


ロボットを製造するRUR社の経営陣はこう言います。


「すべてをロボットが生産するので、物には値段がなくなるのです。
貧困もなくなります。
そう、仕事もなくなります。
もう労働というものがなくなり、何もかも生きた機械がやってくれます」


「もう額に汗して得たパンを食べることはない。
飢えや渇きを、疲れや屈辱を知ることもない。
人間は自由であり、何ものにも制限されることはない。
自分を完成させること以外のいかなる課題も、いかなる仕事も、いかなる心配もする必要はない。
人間は創造主になるのです」


その結果、人間はなにもすることがなくなりました。
ただ存在するだけ。


RUR社の経営陣は、「自分を完成させること、創造主になること」こそ人間の究極の自由と考えました。
しかし、現実は大きく異なりました。


やがてロボットたちは団結し、人間を掃討します。


「全世界のロボットに告ぐ!
われわれ、ロッスムのユニバーサル・ロボットの最初の組織は、人間を敵であり、宇宙に家なき者であると宣言する」


造反する理由を人間にこう答えます。


「あなた方がわれわれロボットのように有能ではないからだ」


全世界の人間は一掃され、最後はRUR社の技師一人だけがこの世に残ります。
彼はこう述懐します。


「かつて奉仕することの中に何か良いものがあったし、恭順さの中に何か偉大なものがあった。
労働や疲労の中には徳のようなものがあった」


※※※


【多分、人間は楽ちんにならないと思うのです】


大昔に作られたSFなのに、現代でも通用するシナリオだと思います。
むしろ、現代人の方が気になる内容かも。


AIという言葉が身近になりました。
クルマの自動運転というものが、もう目の前までやってきています。
体にコンピューターは埋め込まれていないけれど、スマホを片時も手放さずにネットにつながっています。


「R.U.R.」では、人々は働かなくなり、まさにダメ人間になっています。
もし実際に、便利なロボットが誕生したら、本当に人間は全く働かなくなるのでしょうかね?


仕事に、パソコンとインターネットが導入されて隨分経ちました。
便利なのですが、ちっとも楽にはなっていません。
むしろ、もの凄く細かい仕事が増える一方です。
昔はもっと、仕事に「隙間」があったというか、ざっくりとおおらかだったように思います。


給料は一向に上がらないのに、もの凄く精度の高い仕事を誰もがしなくてはならなくなりました。


パソコンとインターネットの導入で、以前では考えられなかった仕事をやるようになりました。
ロボットが仕事の世界に入ってきたら同じように、以前では考えられなかった仕事を人間がやるようになるかも。


人間は、せっかく楽ちんになっても、その余暇に、新たな仕事を詰め込んでしまう性質の生き物だと思うのです。



ロボットといえば、ガンダム。



数あるガンダムシリーズの中で、もっとも好きな作品です。
1989年の作品なのに、色あせません。


●『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』公式サイト
http://www.gundam0080.net/
(なんと今年8月29日、Blue-rayメモリアルボックス発売!)


そういや、たった1行の救いのある台詞だけのために、わざわざ小説まで買ったなあ。

Posted by kanzaki at 2017年08月29日 20:03