●『雇用破壊 三本の毒矢は放たれた (角川新書)』(森永 卓郎 著)より
お金に縛られないためにお金を貯める
今後の超格差社会の到来を前提にすると、庶民は、どのように生きていったらよいのだろうか。
私は、第一にやるべきことは、お金を貯めることだと思う。
「お金は空気と同じようなものだ。
十分あるときには、誰も意識しないが、足りなくなると、そのことしか考えられなくなる」
世界トップクラスの資産家と言われるアメリカの投資家、ウォーレン・バフェット氏の言葉だ。
私も、その通りだと思う。
給料日前にお金がなくなり、あたふたと資金繰りに走る人がたくさんいるが、私の目には、それがとても不思議な光景に映る。
たとえば、1カ月だけ生活を我慢して、貯蓄を持つようにすれば、資金繰りの心配などしなくてよくなるからだ。
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派遣労働者は、軍隊で言えば三等兵といったところだろう。
ただただ命令に従って働かされるだけで、いざとなったらさっさと切り捨てられてしまうのだ。
一方、下士官クラスに相当する正社員のほうは、どうだろうか。
正社員の安定した暮らしは、ホワイトカラー・エグゼンプション(高度プロフェッショナル制度)の導入で完全に覆る。
残業代を支払わずに労働者に無制限の労働時間を強要できる制度になっているのだから当然だ。
政府は平均年収の3倍(1075万円)以上の高度な職業能力を有する労働者に限定して導入するので、一般のサラリーマンに悪影響はないと主張しているが、すぐに規制が緩和され、一般のサラリーマンにも及ぶようになるだろう。
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日本経団連は、適用対象の労働者を年収400万円以上にするように要求しているし、アメリカの適用対象年収はすでにもっと低くなっている。
さらに、派遣労働の対象業務が、どんどん緩和されていった事実からみても、ホワイトカラー・エグゼンプションが一般サラリーマンに及ぶのは確実だ。
そうなったら、せっかく正社員になっても、とてつもない長時間労働を強いられ、しかもそれがみなサービス残業ということになるのだ。
それは、けっして妄想ではなく、一部の居酒屋チェーンやファーストフード、ドラッグストアなどの店長クラスには、すでに起きている実態なのだ。
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【コメント】
一般サラリーマンにまで、実質的にホワイトカラー・エグゼンプションが及んでいるのは事実でしょう。
中途半端な「テレワーク」導入企業が、実質そういう形だから。
ある意味、365日・24時間労働みたいな感じになっていて、「休日・有給」は実質「休憩」みたいな感じになっている。
だから収入は関係ない。
業態によっては、正社員は長時間残業、休日出勤は当たり前になっている。
ある意味、「正社員のサブスク」です。
働き続ければ、ひとまずの生活には困らない。
けれど疲弊した中だと、家事は大雑把になってしまい、コストがかかってしまう。
食事が外食ばかりだったり、ストレス発散にギャンブルや外でのお酒が増える可能性も高い。
丁寧な生活とは真逆になってしまう。
こんな状況を個人はもちろん、企業も根本解決できない。
そういうのを改善するのが政治なのだけれど、その政治が推奨しようとしているのだから困ってしまいます。
長時間労働と70歳までの高齢労働。
この組み合わせの中で働いていかなければなりません。
どうやって自分の人生の中に組み込んで、納得行く生き方をすればよいか。
「身の丈にあった生活」を改めて考えないといけませんね。
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