●『続 定年バカ (SB新書)』(勢古 浩爾 著)より
私はここ(クロイスターズ美術館)が好きでしてね」とマレンはだしぬけに言う。
「ここに来て、歩きまわってもの思いにふけるのが。
そのあいだはクソみたいな世界を忘れていられる。
私は今の時代がどうにも好きになれない」
「私もだ」とケラーは言う。
「しかし、これがわれわれの住む世界だ」
(ドン・ウィンズロウ『ザ・ボーダー(上)』ハーパーコリンズ・ジャパン、二〇一九)
ブライアン・マレンはニューヨーク市警麻薬捜査課のトップ、アート・ケラーは麻薬取締局(DEA)局長である(アメリカは数十年に及ぶ「麻薬戦争」で滅茶苦茶である)。
わたしもまた「今の時代」すなわち「クソみたいな世界」が「どうにも好きになれない」。
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文明が発達するとは、たかだか生活が便利になっただけ。
その分、人間が心身ともに退化した。
もう人間の作為が嫌である。
わたしの「クロイスターズ美術館」はなんだろう。
「歩きまわってもの思いにふける」ことができる場所。
昔行っていた公園を思い出す。
あるいは市内にある日本庭園。
保山耕一氏の奈良の風景を映した「時の雫」シリーズのような、作為のない、自然の映像も心が落ち着く。
午前九時半、ショッピングモールのなかにある「サンマルクカフェ」の、ゆったりとしたひとり席もいい。
音楽とアイスコーヒー。
これにタバコがあれば文句なしなのだが、それは失われた。
暫し、一刻の逃避。
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松原惇子の「わたしは、かっこいい老女になるわよ」ではないが、ジーパンを穿き、靴下を履き、バッグをかけ、キャップを被り、水をもって、さあ出かけるぞというとき、内心で「よしっ(行くぞ)」と気合を入れる。
快晴ならば、なお気分はいい。
それで半日、人と会わない。
人と話さない(店の人は別)。
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【コメント】
お盆休みに近づくにつれ、仕事でどんどん疲弊しています。
今回の休みは、そこそこ長いです。
休みに行うことを書き出してみたら、結構な数となりました。
しかし、それらは遊びとかではなく、やらなければいけないことです。
なかなか困ったものです。
やらなければいけないことをどんどん前倒しで行ってみようと思います。
ますます疲弊してしまいますが。
残った休暇は人に会わない!
一人静かに電車に乗って、美術館や植物園へ出かけたいと思っています。
考えるなら、そういう場所が良いです。
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