●『人生を守るための最後の時間術: 「ノンビリしながら成果を出す人」はどうやって時間管理しているのか?』(山口周 著)より
【スジの悪い仕事の元凶=クソ上司 】
管理職の仕事とは、組織のゴールを設定し、ゴールに至る道筋を明らかにして、その道程でメンバーが果たすべき役割を与え、その活動を動機付けたり指導したりしながらサポートすることです。
ところが、こういったことを全くせずに、部下を単なる便利使いとして利用するだけの管理職が少なくありません。
本書では、こういう管理職を以下、クソ上司と総称します。
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ビジネスセンスがない上に、自社の課題の優先順位付けがメチャクチャなので、そもそも「あれをやろう」「これをやろう」と言い出す仕事の多くが無意味であることが少なくありません。
こう言った仕事は典型的な「スジの悪い仕事」であって、どんなに一生懸命に取り組んだところで、組織内の評価は高まりませんし、成長につながる良い経験もできません。
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ここでは「クソ上司」にどう対処すべきか、という問題について考察してみましょう。
まず基本的な前提として、クソ上司の問題について本来的に対処すべき経営者や人事の動きが全く鈍いので、自分の人生を取り戻すためには自衛手段を取るしかないと認識すべきです。
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パッシブアプローチ=受け身な対処法としては、徹底的に「テキトーにやり過ごす」というアプローチです。
クソ上司の下でいくら努力しても、組織内での評価は高まらず、また成長につながる良い経験もできない、ということはすでに指摘しました。
こういう環境条件のもとで、仕事に対して出力を高めるのは人生の無駄遣いでしかありません。
自分のエンジンをエコモードに切り替えて、徹底的な低燃費を図るというのが一つ目のオプションです。
しかし、これはせいぜい一年程度であって、それ以上の期間にわたってパッシブアプローチを採用するのは危険だろうと私は思っています。
なぜかというと、最終的に人は仕事を通じてしか成長できないからです。
この点については後ほど触れますが、これまでの研究から、人の成長の7割は仕事の体験によっており、自助的な勉強はせいぜい1割程度しか寄与しないことがわかっています。
つまり「スジの悪い仕事」を減らして、それを余暇における勉強で埋め合わそうとしても限界があるということです。
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クソ上司から自分の人生を守るための二つ目の方策が、アクティブアプローチです。
これは、自分がクソ上司の役割を奪って、実質的にその上の上司の直属の部下、場合によっては社長の直轄領として動くということです。
パッシブが「やり過ごし」なら、こちらは「頭越し」ということになります。
先述した通り、クソ上司はアジェンダ設定能力がムチャクチャに低いので、会社にとって意味のある「お題」を設定できません。
そこで、自分のチームの仕事の優先順位を、クソ上司に成り代わって設定する、進捗管理も自分でする、というのがこのアクティブアプローチです。
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最後に、クソ上司から自分の人生を守るための三つ目の方策がラジカルアプローチです。
これは転職や異動などによって、そのクソ上司から逃れるというアプローチです。
転職には「攻めの転職」と「逃げの転職」があって、「逃げの転職」は結果的にあまりポジティブな結果にならないことが多い
。
そしてクソ上司から逃れるために転職するというのは、典型的な「逃げの転職」といえます。
私としては、パッシブ、アクティブの両アプローチについて模索した上で、本当にどうしようも無い、もう耐えられないという状況になるまでは、このラジカルアプローチは採用すべきでは無いと思います。
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視座の高い仕事をやっていくためには、どこかで余暇を充実させて、短期的な成果が求められる仕事からだけでは得られないような刺激やインプットを受けることが必要でしょう。
最終的に功なり名を遂げた人物の多くが、人生のどこかで不遇を囲い、その時期に仕事では得られないような刺激を得たことで後の飛躍の糧としているのは私たちに重大な示唆を与えてくれるように思います。
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ここでポイントになるのが、会社の中での意識を余暇に100%向けることはせずに、組織の大きなアジェンダを考えてみることです。
要するに、自分が部門長あるいは社長だったらこの局面で何をやるか、ということを考えてみるということです。
目の前のどうでもいい仕事に忙殺されていると、こういう「視座の高い思考」はなかなか出来ません。こういった時だからこそ、できることなのです。
思いついたアイデアをクソ上司に話しても、大概は理解してもらえず「そんなことを考えている暇があったら、俺の言う通りにやれ」などと言われるのがオチですから、コミュニケーションの相手は、組織の中で見識のありそうな人がいいでしょう。
おそらく、みなさんの周りにも「ああ、あの人は人望があるなあ、出世するだろうな」という人がいると思います。
まずは、そういった人にぶつけてみるといいと思います。
そうすると次に何が起きるか?おそらく何も起きません。
ただし、提案を受けた相手は必ずあなたの名前を覚えます。面白い奴がいるな、ということですね。
これを何度も繰り返してごらんなさい。誰もあなたをクソ上司の下で腐らせておこうとは思いません。
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【コメント】
攻撃的な文章ですが、書いていることは「組織内の自然の摂理」だと思います。
一人の社員が、いわゆる「上司ガチャ」でハズレを引いた際の、真っ当な対処法です。
ハズレ上司の比率は約4割と言われています。
確率論でいけば、2回連続でハズレ上司に当たる確率は、0.4の2乗で16%。
3回連続でハズレ上司に当たる確率は6%となります。
だから、連続でハズレる可能性は低いのですから、心に思うところがあるならチャレンジしてみてください。
異動、転職などいろんな身の振り方はありますが、上記の3つの方法は知っておいて損はありません。
逆に、ハズレ部下を引いたと思った上司は、部下の意識を向上させるためのツールにもなり得ます。
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