2024年06月05日

デンマークの「高齢者福祉の3原則」

fukusi3gensoku.JPG

●『ビジネスパーソンが介護離職をしてはいけないこれだけの理由』(酒井穣 著)より


【高齢者福祉の3原則(アナセンの3原則)】


デンマークでは、1979〜1982年の間に、党派を超えた高齢者問題委員会が設置されています。
この最後の1982年に、世界的に有名な「高齢者福祉の3原則」が打ち出されました。
この委員会の委員長が、ベント・ロル・アナセン(Bent Rold Andersen)氏です。

ーーーーーーーーーー

この高齢者問題委員会が打ち出した「高齢者福祉の3原則(アナセンの3原則)」とは


\験莊兮海慮饗

⊆己決定の原則

残存能力活用の原則


です。
これらは、現代の日本の介護においても、根底に流れる大事な哲学になっており、人生に選択肢を残しておくことの重要性にも強く結びついています。

ーーーーーーーーーー

【\験莊兮海慮饗А


生活継続の原則は、いかに心身が弱り、厳しい状態になったとしても、その人の生活は、できる限り、それまでの生活が継続されるべきだという考え方(ageing in place)です。


これは、別の角度から考えると、老人ホームなどでの介護(施設介護)は理想ではないことを示しており、自宅での介護(在宅介護)を支持しています。


仮に施設介護が必要ということになっても、そもそもデンマークでは、そうした介護施設はあたかも普通の住宅のようになっています。
そこでは、それまでの生活が少しでも継続されるように、使い慣れた家具などを自室に持ち込めるのです。


実は、高齢者が生活環境を変えることには、現役世代が想像する以上のストレスがあり、様々な病気(特に認知症)が悪化することが知られています。

ーーーーーーーーーー

【⊆己決定の原則 】


「自己決定の原則は、いかに心身が弱り、厳しい状態になったとしても、生き方や暮らし方については、あくまでも自分で決定すべきであるという考え方です。


本人がどうしたいのかという意思が最も重要であるという考え方自体が、日本ではあまり根付いていない可能性もあるので、特に意識する必要があります。


実際に、日本の場合は、周囲に迷惑がかかるとか、親の教育方針とか、他の人の意見を尊重するといった考えが浸透しすぎていると感じます。

ーーーーーーーーーー

【残存能力活用の原則】


残存能力活用の原則は「できないこと」をケアするのではなく、まだ「できること」を認め評価するという考え方です。


デンマークでは「手を差し伸べる」のではなくて「背中に手をまわす」ことが大切とされます。
日本のおもてなし(ホスピタリティー)の考えでは、相手の求めることを先回りして行うことがよいとされます。


しかしこれは高齢者福祉の場面では逆に働いてしまう可能性があります。
本人が自分でできることまで先回りしてしまうと、まだ残されている能力が弱体化してしまう可能性が高いからです。


デンマークでは「介護が必要な人」に対して至れり尽くせりのサービスを届けるのではなく「生きる主体性を持った大人」に対して自分のことは自分で行ってもらうという「当たり前」が大切にされているのです。


※※※※※


【コメント】


社会福祉というか、「人生の後半を生きる指針」と言っても過言ではありませんね。


今の生活を維持しつつ、主体的に考え、できることに集中する。


昔は、定年後は海外で暮らすとか、地方移住して農家や蕎麦屋をやるなんて事がよく聞かれました。
実際、やっている人って何割なのでしょう。
実行した人は僅かで、成功した人はほんの一握りでしょうね。


メディアでとりあげるような幻想的なことにうつつを抜かしていられるような現実世界では無くなりました。
現実に即した、正しい生き方。
それを実現するためにも、こうした福祉に関する知識は独学でいいから学ぶべきなんでしょうね。

Posted by kanzaki at 07:05
Old Topics