2005年01月23日

仮面ライダー剣(ブレイド)最終回の感想

(2005/1/24 追記あり)

2ndOP曲 「ELEMENTS」 の歌詞の最後「奇跡 切り札は自分だけ」とありますが、まさに剣崎一真、本人が切り札となって幕を引きましたね。
こういう自己犠牲によって世界が平和になると云うお話しは、「燃え」を期待して特撮を見ている人にとっては満足はいかないでしょう。
何せ敵をやっつけてハッピーエンドではないのですから。
戦わないと云うエンディングなので盛り上がりには欠けましたけれど、時間配分やらオチの付け方は平成ライダーの中で一番まとまっていたと思いました。
最後まで製作側が逃げずに作り上げた感じのラストでいいですよね。
仮面ライダーには、悲哀が似合います。
アギトや555は、ライダーキックで何が何だか分からないうちに終了と云う消化不良な感じでしたが、ブレイドは切なかったけれど、しっかりした終わり方だったと思います。
こういう賛否両論がありそうな終わり方って云うのは、後々まで視聴者の心に残るのではないでしょうか。
劇場版で語られた、始=ジョーカーを封印して終了と云う形より、ずっと印象的です。
「人である事を捨てて世界を守った」・・・これぞまさしく「異形のヒーロー」仮面ライダーと云う感じです。
劇中、剣崎の理想主義と、始の人間化が物語の中でどんどんと拡大していったので、テレビ版のラストの方がしっくりくるように思います。

メールマガジンにて、主役を演じた椿隆之さんが
「これだけは、皆さんに伝えたいので伝えます。剣崎にとってはハッピーエンドでした!!」
と書いていましたが、確かに自分の愛する人たちが幸せに生活できる世界の為、自分がジョーカーとなり、一人みんなの前から消え去ったのは、剣崎という主人公らしい選択だったのかもしれません。
(けれど、通帳に23円しか残高が無いので、今後が大変だろうなあ。まあ、不老不死だから大丈夫か)

脚本の會川 昇さんは、70年代中盤に放送されていたマイナー特撮作品「鉄人タイガーセブン」が好きだそうです。
そういや今回の終わり方は、タイガーセブンに似た空気を持っていましたね。
タイガーセブンの主人公は最後、自分に内蔵されている人工心臓の寿命が残り少なくなっている事を知り、自分の死に場所を求めて何処かへ消えて行きました。
みんなの元から消える様は、まさに剣崎と同じですね。
あと、「鋼の錬金術師」っぽい終わり方とも云えるかも・・・。

二つの公式サイトとも、ラストを迎えて、色んな趣向を凝らしています。

仮面ライダーブレイド:テレビ朝日公式サイト
http://www.tv-asahi.co.jp/blade/

・・・こちらは、トップページに何とも切なくなるような剣崎の姿が表示されているじゃないですか。
「運命と戦い続けること。新たなストーリーは今始まる・・・。」
また、出演者のラストメッセージも掲載されています。
橘さんを演じた天野さんの寝起きのような表情が、「ああ。やっぱり最後まで橘さんだったなあ、この人」と、ほっとしました。

ラストメッセージのページ
http://www.tv-asahi.co.jp/blade/011_last/index.html

天野さんは今度、CDを出します。

天野浩成さん「希望が丘」発売インタビュー
http://www.infoseek.co.jp/Special?pg=talent_if.html

そして下記が、彼の公式サイト

天野浩成 (あまのひろなり) オフィシャルウェブサイト
http://avexnet.or.jp/amano/

そんな訳で、神ナナは橘さん・・・もとい天野さんを応援し続けます。

お次は東映サイト。

仮面ライダーブレイド:東映公式サイト
http://www.toei.co.jp/tv/blade

・・・こちらは、クランクアップの模様が紹介されています。

さて、最終回を見た人ならば少なからず
「これでは劇場版と話しがつながらないじゃないか!」
と突っ込みをしたくなるでしょうね。
アドベンチャーゲームのように、

ジョーカーを
 封印する
⇒封印しない

「封印する」を選んだら、劇場版、
「封印しない」を選んだら、テレビ版。

視聴者は、アクションバリバリなものを選びたければ劇場版、悲哀を感じるものを選びたければテレビ版を選択すれば良いのではないでしょうか。
前回、黒田勇樹さんが警官役で登場しましたが、あれはテレビ版の「ジョーカーを封印しない」を選択した場合、アルビノジョーカーに変化しなかった志村純一だと思えば良いかと。
公式見解が無いから、様々な推測が出来て面白いですよね。
元々、こういう最終回にしようと製作側は考えていたのかもしれませんね。
劇場版をただのテレビ版のスペシャルとしてではなく、龍騎の時みたいにマルチエンディング、もう一つの可能性として見てみもらおうとしているのは、非常に凝っていて面白いです。

剣崎は行方不明になったけれど、何かしらの事情でジョーカーの姿になり、戦闘本能が燃え上がったとしたら、アンデッドサーチャーに反応して見つかるかもしれませんね。
まあ、そういう事が起きない為にも、公式サイトの「運命と戦い続けること。新たなストーリーは今始まる・・・。」と云う言葉があるのでしょう。
敵はアンデッドではなく、運命なのだと。

もう一人のジョーカーが生まれてバトルファイトも再開されたのだし、睦月がレンゲルに変身したら、リモートが使えるかもしれませんよね。
そうしたら、嶋さん、虎姉さんとか復活出来るし、剣崎がみんなの前から消えなくても大丈夫な方法が見つかるかもしれない。
でもやはり、アンデッドは闘争本能があるから結局は駄目かな?

テレビ版のラストで始が剣崎の幻を見ましたが、あれを見て、劇場版のラストに天音が始の幻を見たシーンを思い出しました。
他にも、映画と似たシーンがありましたよね。
例えば、剣崎と始の会話。

剣崎「アンデッドは全て封印した。お前が最後だ、ジョーカー!」

始「俺とお前は、戦うことでしか分かりあえない!」

こういう共通性を探し出すのも面白いです。

先週は、あんなにダークローチが大量発生して人々を恐怖に陥れているのに、何で警察とか自衛隊は戦わないのかと疑問に思っていましたが、今週はダークローチの数も倍増し、それを倒そうと無力ながらも拳銃を発砲する警官の姿が、非常に悲壮感を漂わせていて良かったです。

あの「私は謝らない」で有名な烏丸所長が、ブレイドと再会した際に「遅くなってすまなかった。天王路に命を狙われてな」と、さりげなく謝っていたのには笑いました。
烏丸所長は、チベットにあったモノリス(ねじれた鉄板)の調査に行っていたけれど、天王路達がやってきて日本に持って帰った。
その際、命を狙われたからこんなにも長く帰国出来なかったんですね。
演じていた山路和弘さんが、舞台の仕事で出演出来なかった事情を上手く逆手にとった設定でしたね。

睦月が幼い頃、コインロッカーに入れられたトラウマ、剣崎が幼い頃、火事の際に両親を救えなかったトラウマとか、結局、あまり全体のストーリーに関係なかったものもありましたが、大抵の謎とか設定は消化されて終了したのは良かったです。

さらば、剣崎!
ありがとう、ブレイド!
楽しい一年間をありがとう!

寂しいけれど、いよいよ来週からは、「仮面ライダー響鬼」がスタートです。
これからも、このサイトで色々と情報を提供していきますね。

追記(2005/1/24):
仮面ライダーを知らない人に、この最終回の話しをしたら、「”泣いた赤鬼”みたいなお話しですね」と云われました。
何のことか分からなくて検索したら、昔話なのですね。
読みたい方は、下記をご参照ください。

「泣いた赤鬼」
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Gaien/7211/Japanese/akaoni.html

ここに登場する青鬼は、人間と仲良くなった赤鬼の為に、自分が姿を消すお話しです。
赤鬼という姿ゆえに、村人から恐れられる悲哀。
青鬼のおかげで村人からの信用を手にするけれど、失ったものはそれより大きいことを知って泣いた赤鬼。
なんとも切ないお話しです。

青鬼がブレイドこと剣崎、赤鬼をジョーカーこと始と置き換えても、ぴったりと合うお話しです。
これが最終回のベースなのかな?
そして、次回の仮面ライダーが赤鬼をモチーフにしているところが、何かしらの関連性を感じさせますね。

Posted by kanzaki at 2005年01月23日 23:46 | トラックバック (0)